ネメシス

ゲームボーイ版 1990年2月23日発売

3500円 1M

横スクロールシューティング

8方向移動 ボタン配置は2種類から選択可能

GB版グラディウス
コナミの新ハード参入1作目というのは、まずグラディウスシリーズというのが伝統にあるのだが、このGBに関しては、第1作目がモトクロスマニアックスという意外な作品であり、グラディウスシリーズが登場したのはそれから実に5ヵ月後のことであった。

これはGBというハードが、シューティングには向かないハードということなどが大きく関係していると思われるのだが、いずれにしても看板ゲームであるグラディウスシリーズの発売が参入からこれほど遅れるというのは、コナミとしては非常に珍しいパターンだった。

しかし、遅れた分ゲームそのものは素晴らしい出来を誇っており、このあたりはさすが横スクロールシューティングの雄コナミ、と唸らざるを得なかった。

GBというシューティングには不向きなハードで、これほどまでにクオリティの高いゲームを作り上げるためには、やはりある程度ハードにこなれてからではないと作れないと思うので、今思えば参入第1弾がモトクロスのゲームであったというのは、ネメシス開発のための布石だったのかもしれない。

伝統通りにいきなりグラディウスシリーズを発売したら、ここまでの作品を作りあげることは不可能だったと思うので、参入第1作をあえて他の作品を選んだコナミの選択は、正しかったと言えるだろう。


ゲーム内容
ゲームの基本的なコンセプトはこれまでのグラディウスシリーズを踏襲しており、GBというハードでありながら十分グラディウスというゲームを楽しむことが出来る素晴らしい完成度となっている。

ステージは全5面とエキストラステージから構成されており、その中にはもちろん火山面やモアイ面など、伝統的な面も含まれている。

パワーアップもほぼ初代グラディウスのものとなっているが、ミサイルが2段階でバラバラに発射され、レーザーが短く単発、シールドは一見前方のみに見えるが実は全体バリアなどの特徴がある。

スコアや残機はプレイ画面で表示はされず、面の開始直前のみに確認することが出来る。

そしてスタート直後にコンフィグ画面が表示され、最初にプレイすることが出来る面や、残機、連射の有無、ボタン配置などが設定出来るのだが、このようなコンフィグが設定出来るようになったのは、家庭用のグラディウスシリーズではこのGB版ネメシスが最初だ。

今でこそこういったコンフィグは当たり前なのだが、当時はほとんどなかっただけに、プレイヤーにとっては非常に好感が持てるシステムだったものだ。

これでサウンドテストが出来れば文句なしだったのだが、こういったユーザーフレンドリーな部分も、当時のコナミがファンに絶大な支持を得られていた要因のひとつだったと言える。



GBというハードの特性
上記で解説したように、小さい画面でありながら十分グラディウスの面白さを堪能することが出来るのだが、GBというハードの制約による特徴が随所に見られる作りともなっている。

一番わかりやすいのは、自機の動きだろう。初期のGBというのはスクロール時の残像が非常に強く、そのためキャラクターが常に画面上を動き回るシューティングゲームをそのままGB上で再現しては厳しいだろう、とコナミが考えたのか、自機であるビックバイパーの動きがキャラクター単位で動くようになっている。

これなら確かに残像は抑えられるのだが、その動きの範囲がかなり大きいため、ドット単位の操作が要求されるグラディウスシリーズではかなり辛いのだ。

特に後半の4,5面などはかなり地形が複雑になっているため、それらの弊害が強く浮き出てしまう。

そして自機の動き以外でも、パワーアップにもそういったGBというハードの特性が強く現れている。

グラディウスの魅力といえば、やはり長いレーザーという部分にあると思うのだが、このGB版ネメシスではファミコン版の初代と同様の短さな上、何と単発なのだ。これでは敵を一掃する間隔というのは味わえないし、弾切れも常に起こってしまうため使えないことこの上ない。

ノーマルショットやダブルなどもハードの特性により、キャラクター単位での動きとなっているため使いやすいとは言えないのだが、正直レーザーを使っていくよりは楽に進めるだろう。

総合的に見れば素晴らしい作品であることは間違いないため、これらのような欠点があるのが残念で仕方がないのだが、GB初の横シューということを考えたらやむを得ない部分もあるし、何よりコナミでなければここまでの作品を作り上げることは出来なかっただろうから、正直上記であげた欠点などは些細な問題だろう。

非常に細かいグラフィックの書き込み、かつてのグラディウスシリーズの名曲がステレオサウンドとなって復活、画面一杯を占めるほどの巨大な面のボスと破壊したあとの演出などは、まさに横スクロールシューティングの雄、グラディウスシリーズの名に恥じぬ出来栄えだ。当時のプレイヤーたちは、初めてこのゲームをプレイした時に、誰もが私が受けた衝撃を同じような体験をしたことだろう。こういった感動は、現在性能の良くなったハードでは体験することが出来ないものがあった。



面紹介
GB版ネメシスの面は全5面+エキストラステージから成っており、その中には火山やモアイ、要塞などこれまでのシリーズでお馴染みの面も登場するのだが、面そのものはGB版オリジナルとなってはいるものの、BGMはほとんど過去のシリーズのものが使用されているため、アレンジ移植的な意味あいが強い面構成となっている。

しかし、だからと言って適当に作られた感は全くなく、どの面もそれまでのGBのゲームとは比較にならないほど素晴らしいグラフィックとなっているし、BGMもGBの音源を十二分に活かした出来となっているので、面やBGMの流用に不満を唱えるグラディウスファンなどまずいないだろう。

それでは、早速そんなGB版ネメシスの全5面+エキストラステージを紹介していこう。


1面 火山ステージ


1面でやってくるのは、やはりグラディウスシリーズを象徴するステージである火山ステージだ。BGMも前半初代グラディウス4面の曲が流れたと思うと、今度は誰もが知っている初代グラディウス1面の曲が流れていく、という構成は、本当にグラディウスファンにはたまらないものだ。

そしてこの面で特筆すべきなのは、上下の地形のスクロールが独立しており、擬似的な2重スクロールを表現している、ということだ。アーケード版やファミコン版ではこのような表現はなかったので、何故GB版がこのような表現を取り入れたのかはわからないが、これは特筆すべき事柄だろう。またその上下の地形には当たり判定がないので、それらの地形によってやられることはない。

面の最後には初代グラディウスと同様、火山弾が噴火してくるのだが、火山がかなり高いので、バリアは必ず装備しておこう。

ボスもグラディウスでお馴染みのビッグコアだ。かなり大きいので最初は驚くだろうが、上下に動きながらオプションのショットでコアを撃っていけばいいだろう。








2面 細胞ステージ


2面はこれまでの面のアレンジというよりも、GB版のオリジナル面に近く、BGMはファミコン版グラII2面の曲が流れる。この面は常にザブが出現するので、常にバリアを張っておくようにする。

前半の道が狭くなっている所を過ぎたすぐ後の、上に付いているハッチを破壊し、そのハッチがあった場所に入ると、エキストラステージへと行くことが出来る。そのエキストラステージはMSX版のグラ2に近く、BGMも同じだ。

ボス出現直前には初代グラディウスの2面のようにザブラッシュがあるのだが、GB版はオプション2個しか付けられない上弾切れを起こしやすいので、必ずバリアをスタンバっておこう。

ボスはオリジナルのクロウラー。縦に長いレーザーを数発撃ってきたあと、突進してくるのが攻撃パターンだ。突進してきたらすぐに奴の間へと移動すればいいのだが、GB版は操作性が良くないので、慎重に操作していこう。









3面 モアイステージ


3面はグラディウスには欠かせないモアイ面だ。上下スクロールこそしないものの、感じとしてはファミコン版グラIIに近いものがあり、BGMも同じものが流れる。さすがにGBの性能上、イオンリングはあまり撃ってこないので、さほど苦戦せずに進めるだろう。

中ボスは四隅から真ん中へ突進し、ひとつになったと思ったらすぐに分裂して地形を跳ね返りまくるという、少々危険な敵となっているが、耐久力はそれほどでもないので、一気に撃って破壊していこう。

ボスはオリジナルのストライカー。トゲのような弾を、7方向に2回撃ってきたあと突進してくるので、弾を撃ってきたら上下どちらかへと動いていけばいいだろう。








4面 骨ステージ


グラディウスシリーズでは比較的見ることの出来ない骨ステージ。BGMは以前のシリーズからのものではなく、新曲のようなのですが、これはかなりの名曲と言っていいほどの出来だ。前半はMSX版グラ2の4面のように、正面から岩石のようなものが飛来してくるのだが、これはグラ2同様破壊出来ないので、しっかりとよけていこう。

中盤以降は敵はあまり出現しないものの、その代わり地形が入り組んでいるため、速めに前へと抜けていかないとスクロールに負けてしまう。

中ボスはアイアンメイデンのような敵が、右と左からジャンプしてくるが、動きはゆっくりなので自機の方へ近付く前に破壊してしまおう。

ボスは正面から弾、下方からミサイルという、複合攻撃をしてくるが、ミサイルがあれば下方からのミサイルは楽に倒せるので、正面だけに集中していけばいいだろう。








5面 要塞ステージ


最終面である5面は、やはりグラディウスの伝統通りに要塞面だ。BGMはMSX版グラ2の7面の曲が流れるのだが、これが実に素晴らしい曲なので、思わずプレイしながら聞きほれてしまうだろう。それだけに、サウンドテストが出来ないのが何とも残念だ。

さて内容だが、まずはこの面も2面同様に、ザブがあちこちで出現するようになっているので、常にバリアをスタンバっておこう。

後半は道がかなり狭くなっており、その間をMSX版グラ2のようにコンテナが右から流れてくるのだが、ただでさえ地形が狭いのに加え、操作性が悪いおかげでここはかなり難しい場所だ。常にショットを撃ち、前方にショットが通るか確認して位置を合わせるようにしておこう。

最終ボスはグラディウスの伝統に反して攻撃してくるが、適当に弾をばらまいてくるだけなので、普通に撃っていれば倒れてくれるだろう。奴を倒すと1周クリアとなり、エンディングを迎えることが出来る。








エンディング


エンディングは要塞の爆発シーンから始まるが、背景と爆発シーンのみで、要塞は表現はされてはいない。その後ビックバイパーのアップが映し出され、スタッフロールへと流れていく。




















エキストラステージ


最後に紹介するのが、2面の下の画像の位置から入ることが出来るエキストラステージだ。感じとしてはここもMSX版グラ2のエキストラステージに近く、BGMも同じなのだが、こちらはグラ2ほどいやらしくはなってはおらず、初めてでも十分抜けることが出来る。

よって、余裕がある限りスコアと1UPを拾っていこう。








私のゲーム感を変えたゲーム
90年2月下旬、ようやくドラゴンクエストIVが一段落した私が、その次に購入したのがこのGB版ネメシスでした。

ただ今であれば購入するのが当たり前な作品であっても、当時はRPGばかりプレイしていた日々でしたから、何故このゲームを購入したのか、今でもその理由がよくわからないのです。

理由として思い当たるのが、当時ほぼ毎号購入していたファミコン通信のネメシスの広告に載っていた、ネメシスのパッケージ写真のイラストを見て、昔ファミコンでプレイしていたグラディウスを懐かしく思ったことや、クロスレビューで辛口で有名だったTACO.X氏が8点を付けていた、ということあたりでしょう。


またGBでどうやって横シューが作られているのか、という疑問も興味につながったのだと思います。まあそんなこんなで発売日に、購入動機も覚えていないほどあまり期待せずに購入して行った訳ですから、初めてプレイした時のインパクトといったら本当に凄いものがあり、一瞬のうちにネメシスの虜になっていったものです。

そしてこのゲームによって、私にとってコナミが特別なメーカーとなっていき、秋になってSFCが雑誌で特集され始め、グラディウスIIIの記事が特集されるようになると、ファミコン版の沙羅曼蛇やグラディウスIIを購入していった私は、気が付いたらグラディウスというゲームが大好きになっていきました。



翌年アーケードゲーマーとなり、移植ではない本物のグラディウスシリーズを本格的にプレイしていった訳ですが、その原点は間違いなくこのGB版ネメシスにありました。

もしあの時、ゲーム雑誌を読んでおらず、ネメシスの広告も、ファミ通のクロスレビューも読んでいなかったとしたら、ネメシスは購入せずもちろんグラディウスには興味を持っていなかったでしょうから、そういった意味でも私にとってこのネメシスというゲームは大きな人生の分かれ道、だったのかも知れないですね。







GB版ネメシス ファミ通クロスレビューへ行く。


あとがき

今作はグラディウスシリーズのファンになったきっかけでしたから、最初から非常に力を入れて書きました。よって多少の加筆・修正はありますが、基本的な内容は公開当初とほとんど変わっていないと思います。このサイトには「当時のハードならではの感動」のような一文が良く出てきますが、今作がその最初でしょうね。


ゲーム成績表
キャラクタ 音楽 操作性 熱中度 お買得度 オリジナリティ 総合
3.42 3.61 3.60 3.59 3.43 3.00 20.65






inserted by FC2 system