ストリートファイターII
ダッシュターボ


カプコン 1992年12月17日発売

横画面 対戦格闘

8方向レバー パンチボタン×3(弱・中・強)

       キックボタン×3(弱・中・強)




2度目の改良版
1992年10月、ゲーメストによるストIIダッシュ大会の決勝が行われるなどまだまだストIIダッシュの人気が絶頂だった頃、都内のゲームセンターにおいてロケテストが開始されていたのがこの「ストリートファイターIIダッシュターボ」だ。

元々は海外でコピー品対策として発売された作品であり、日本では発売される予定はなかったらしいのだが、日本でもコピー品が出回ってしまったため、92年の12月に日本でも発売されるに至った。

発売と同時にストIIダッシュの対戦台は次々とターボへ入れ替わっていき、ダッシュの後を継ぎ当然のようにヒットを飛ばし、翌年9月にスーパーストIIが発売されるまで対戦台は連日大盛況という活気に沸いた。

しかしいくらコピー品対策とは言え所詮は焼き直しに過ぎなかったため、この事が一部のゲーマーからの猛反発を招いてしまい、アンチカプコン派を急増させる要因ともなってしまった。


コピー対策
前述のよう、このダッシュターボは海外でコピー品対策として先行されて発売されたのだが、日本でもこのターボの話題が上った頃からコピー品が出回るようになり、奇妙なダッシュがあちこちで見られるようになった。

一見して明らかに怪しいとわかる作品であったのだが、ちょうどターボの存在が明らかになった頃と重なってしまったため、オペレーターの方々がこれがターボだと勘違いしてしまったために国内のゲームセンターにも出回ってしまったという。





12月になってようやく日本でも正規にターボが発売され、無事コピー品は一斉に姿を消していったが、久しく見る事のなかった海賊版のゲームが溢れ返ってしまうという異常事態は、当時のゲームセンターに大きな暗い影を落とす事となってしまった。

*画像は正規のストリートファイターIIダッシュターボ


焼き直し
ストIIシリーズはこのターボで3作目を数えていた訳だが、さすがに「II」のバージョン違いが2作も続いてしまうと、次第にゲーマーの間にも拒否反応が出始め、カプコンへの非難の声が日増しに強くなっていった。

前作のダッシュも確かにストIIの焼き直しではあったのだが、四天王の使用や技の追加などストIIであってストIIではない印象を受けたし、それに何といってもストIIの新バージョンはプレイヤーたちが望んでいたことであったのだから、大方歓迎ムードで発売は迎えられた。





しかしターボは基本ベースはダッシュであり、さらにターボはダッシュの基板をそのままターボにバージョンアップさせて発売していたと言う事も重なって、安直に儲けようとするカプコンの姿勢に反発する声がたちまちのうちに上がり始めていった。

その声はゲーメストでコピー品特集があった時に、「ターボもカプコン内のコピー品」などというかなり厳しい投稿が紹介されたことや、さらにはゲーメストアイランドまでにカプコン非難の投稿が掲載されていた事からも、いかに当時大きな論議を巻き起こしていたかがわかるだろう。




個人的な意見としては、ダッシュはベガのはめ技などが問題となっていたことから、再調整品は出さざるを得ないだろうと思っていたので新バージョン自体には肯定的だったのですが、出すのであればターボという別ゲームではなくストIIダッシュ・バージョンBのように、ゲーム自体はダッシュのまま新バージョンを出すべきだったように思う。











ゲーム内容
ストII3作目にあたるこの「ターボ」は、名前の通りゲーム全体に大幅な高速化がなされたため、発売当時は普通にプレイするのも割りと大変だったりしたものだが、コマンド系の必殺技の入力タイミングなどは従来通りの入力で出せるよう調整されているため、必殺技が出し辛いということはない。

むしろ起き上がり昇龍拳などは逆に出やすく感じるほどであり、スクリューもまたしかりで、コマンド系必殺技に対する不都合は全く感じる事はなかった。

その反面連打系はスピードアップの影響をそのまま受けており、大攻撃などは連射装置がないと出すのは辛いだろう。

ダメージはダッシュよりも更に低めに設定され、特にスクリューが4回かけないとゲージが全て減らないなど、投げ系のダメージの低下が顕著となっている。しかしCPUのザンギはスクリュー3回かければ終わってしまうなど、露骨にCPUのダメージが大きくなっているのは嫌な感じがしたものだ。

ダッシュで使えたCPUへの足払いはめは当然修正され、アルゴリズムもさらに改良されているなど、CPU戦の難易度はかなり高くなった。その他のシステム自体はダッシュのままだが、エンディングの後にリュウのエンディングで使われた表彰台に使用キャラが立ち、そのキャラのBGMが流れるという演出が加わった。


キャラクターの相性
前述のようターボは随分とゲーマーの非難を浴びてしまった格好となってしまったものだが、その反面キャラクターの調整はしっかりなされており、キャラクターの能力間の差がかなり少なくなった。

ゲーメストにおける対戦ダイヤグラムでは、第1回目はガイル、2回目以降は3作目にして遂にリュウが1位に立ち以後そのままであったが、差はわずかなものであったため、その分プレイヤーの腕前がしっかりと反映されるようになり、お子様プレイヤーは通用しなくなった。よってそれまで下位に低迷していたザンギや本田も大幅にランクを上げることとなり、各種はめ技も姿を消したためストIIはこの3作目にしてようやく有意義な対戦が行えるようになった。



同時押し
リュウ・ケンが一気にランクを上げてきたのは、再調整されたという要因も大きいものの、やはり新たに発見された「同時押し」による要因が最も大きいだろう。

「同時押し」というのはパンチボタンとキックボタンを同時に押すと、必ずパンチボタンが優先されるというのは利用したバグであり、小足払いを出した直後に、小キックボタンと大パンチボタンを立って押すと、小足払いの戻りグラフィックがキャンセルされすぐにアッパーが出るため、その2つの技が連続して繋がるというものだ。





これにより相手の起き上がりに対して一気にアドバンテージを取ることが出来、またとっさにアッパー昇龍拳を出せない人でもすぐにピヨらせることが出来るなど、この同時押しの発見はリュウ・ケンのランク向上に大きな役割を果たしたものだ。

特にケンの、相手の起き上がりに対する「立ち小キック→小足払い→同時押しアッパー昇龍拳」は強力この上ない技であり、この技が使えるかどうかでケンの強さに天と地ほどの差が生まれた。因みに同時押しキャンセル自体は初代ストIIから存在していたが、実際に使われたのはターボからだった。


キャラクター紹介
ストIIシリーズ3作目のターボにおいて、一部のキャラクターに初めて新必殺技が追加された。

これらの新必殺技がインストカードにあった「隠し技」だったのだが、必殺技自体はすでにゲーメストで知られていたため、隠し技については様々なデマが飛び交ったものだ。

キャラクターのカラーも変更されたが、ターボではベガ以外こちらが本物となり、初代からのカラーはスタートを押して選択するようになった。


リュウ

新技の空中竜巻旋風脚が使えるようになった。

その他は回し蹴りにキャンセルをかけやすくなったなどの違いが目立つ程度で、基本的にはダッシュと変わらないがスピードアップの影響により波動拳のモーションが速くなったのは相当心強い。

ゲーメストの最終ダイヤグラムでも遂に1位に輝き、初代から使っている私としても実に感慨深いものがあった。







ケン

ケンもリュウ同様の変更点のみだが、スピードアップのおかげで昇龍拳の落下時に反撃され辛くなったのはとても有利だ。

因みにリュウ・ケンの空中竜巻旋風脚は、地上で左上に入れた瞬間にキックボタンを押すと、うまくいけば超低空の竜巻を出す事が出来る。









本田

下に溜め上と同時にキックボタンで、スーパー百貫落としが使えるようになった。

これにより飛び道具に対して一気に反撃することが可能となり、トリカゴ状態からの脱出も容易となったため、これだけでも相当パワーアップがなされたと言える。

このおかげでCPUも相当強くなり、キャラによっては普通に勝つだけでも大変だろう。







ダルシム

昇龍拳or逆昇龍拳コマンド+キックボタン×3orパンチボタン×3で、ヨガテレポートが可能となった。

レバー操作とボタンは位置に関係してくるのだが、これにより追い込まれるとどうにもならなかったダルシムの欠点が一気に解消された。

当然ダッシュであった空中当たり判定のバグもなくなっている。







ガイル

サマーソルトのスキがかなり大きくなり、通常技の判定も小さくなったので、通常技では飛び込みを返し辛くなったためお子様ガイルでは通用しなくなっている。

しかしそれでもまだまだ強く、対戦では上位に位置するキャラだ。










ザンギエフ

キックボタン×3で、高速回転のハイスピードダブルラリアットが出せるようになった。

技の判定自体はパンチよりも弱いので攻撃には使えないが、波動拳などはもちろん、サガットの下タイガーもよけられるので、これだけでも随分と楽になった。

そしてスピードアップの分、スクリューをかけた後でもすぐに相手に近付けるようになったのも非常に大きい。他に細かい違いとしては、ニードロップが下+小キックで出せるようになった。





春麗

ヨガフレイムコマンドで気功拳、空中で下に溜め上でキックでスピニングバードキックが出せるようになった。

空中SBKは乗っかり中に溜めて出すのが基本だが、地上からもボタンのタイミングを遅らせることで出すことが可能だ。また上昇中の無敵時間中にも攻撃判定が付くなど、大幅な強化がなされたと言っていいだろう。

通常技の判定もダッシュよりかは大きくなり、特に空中投げの判定が大きくなっているのは心強い。






バイソン

ターンパンチの出し際が無敵状態となり、波動拳にカウンターを合わせることなどが可能となった。

元々飛び込みが低いため相手に反応され辛くなったり、一部の技の判定も強くなっているなど、四天王では最もパワーアップされている。










バルログ

バック転がパンチボタン×3の同時押しへと変更され、他には大スライディングの距離が短くなった。

空中投げの判定も多少大きくなり、ダッシュよりかは決めやすくなっている。











サガット

タイガークラッシュが威力によって違いがはっきり分かれるようになった。

その他はジャンプ大キックのリーチが短くなった程度だが、スピードアップの分アッパーカットの引き付けが難しくなってしまったので、対空兵器として使うのは厳しいだろう。










ベガ

ダッシュでは圧倒的に強かった事もあり、ターボでは一気に弱体化が図られた。一番の違いはダブルニーで、当てた後のスキが大きくなり、ガードされたら確実に投げられてしまう。

サイコ投げも不可能、通常技の判定も非常に弱くなるなどダイヤグラムではダントツの最下位に沈んでしまったが、極めればまだまだそれなりに闘えるキャラだ。

基本能力が弱くなった分、CPUはこちらの技に対する反応がかなり良くなり、スピードアップされた事も重なってこちらはダッシュよりも強くなっていると言って良い。対策としては端に追い込んだらすかし投げが良く決まってくれるので、どうにかして端に追い込むようにしていこう。


個人的な思い出
私が初めてターボをプレイしたのは、ゲーメストのお店「マルゲ屋」へ行った帰りに神田のゲームファンタジアへと行った時の事でした。

いくら焼き直しとは言ってもやはりストIIのバージョンアップ版ということで、地元ではCPU戦はなかなか台が開くことがなくプレイ出来なかったのですが、日曜日の神田というのは人気がなく、ゲーセンも空いていましたので、あっさりプレイすることが出来ましたね。

地元では主に対戦プレイをしていきましたが、他人との対戦はあまり乗り気ではなかったので、気の合う友人とばかり対戦していきました。

あとがき

ターボもダッシュ同様、テーマが揃っていましたから難なく完成させる事が出来ました。シリーズ中キャラクター紹介を行ったのは今作が初めてだったのですが、攻略は作成するつもりがなかったため代わりに紹介でまとめたと言うわけです。





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