ストリートファイターII
ダッシュ

PCE 日本電気ホームエレクトロニクス

1993年6月12日発売 9800円

Huカード 20MbitROM

6ボタンパッド対応

十字キー キャラクター移動

パンチボタン×3(弱・中・強)
キックボタン×3(弱・中・強)
(配置は任意設定可能)


家庭用最初のダッシュ
前年にアーケードゲームとして発売された、「ストリートファイターIIダッシュ」の家庭用における最初の移植版。

当時主流の3機種のうち、画面写真の発表もこのPCE版が一番早かったので、PCEユーザーはそれなりに期待したものだが、当時すでにゲーセンではとっくにターボに入れ替わっており、今更感は否めなかった。







さらにSFCでターボがPCE版発売からわずか1ヶ月後に発売されることがすぐに決定し、そうなると明らかにSFC版より出来は悪いであろうPCE版を、わざわざ別売りの3980円の6ボタンパッドを購入してまでプレイする輩など滅多にいるはずもなく、結局盛り上がったのは発売直前までで、発売されてからは一気に地味な存在となってしまった。

移植自体はカプコン自身が行っているので、完成度は素晴らしいものがあったのだが、正直ターボがプレイ出来ないのでは移植する意味は皆無に等しいものがあった。

その後PCE版ダッシュは市場に溢れかえり、怒涛の勢いで新品・中古とも値下げされ、発売から半年も経たないうちに1000円もあれば買えるようになったのはユーザーにとっては良い現象だったが、発売直後に買った人はさすがに納得のいかないものがあっただろう。


PCE版の特徴
Huカードで発売されると聞いた時、やはりほとんどのユーザーは音に不安を覚えたと思うが、さすがにカプコンと言えど内蔵音源のみではどうにもならなかったようで、BGMに関してはかなり厳しいものとなっている。

ただしボイスとSEは全てPCMでアーケード版と同じ音を鳴らしているため、音質自体は劣っているもののSFC版ストIIよりかは迫力ある出来になっている。

画面構成はスコアこそ画面上部に分けられているものの、ゲージ部分は背景に直に表示されており、アーケード版に近い雰囲気を出すことに成功している。


PCEの性能上、BGやスプライトではゲージは表示出来ないため、チョキマークが黒く表示されてしまっているのが違和感があるが、PCEの性能を考えればやむを得ないだろう。

同様にスプライトを使わないと表現出来ない、ザンギエフステージの金網もカットされており、またダルシム面の像も左右1匹ずつ減り、その他2重スクロールは一切表現されていないが、床はラスタースクロールし、背景の人も動いてくれるので、その辺りはPCEとしてはよく再現した、と言えるだろう。

各キャラクターのカットされたグラフィックなどは、SFC版やMD版とほとんど変わらず、画面が上下に圧縮されキャラクターが小さくなってるのも同様だ。

ボーナスステージも他機種同様、ドラム缶がカットされ、車と樽のみとなっている。

コントローラは3ボタンパッドでプレイする場合は、セレクトボタンでパンチとキックを切り替えてプレイするが、そんな人はほとんどいないと思われるので、実質6ボタンパッド専用ゲームだろう。

当然ゲームの他に、新たに周辺機器を購入しなければならないというのは非常に好ましくないので、多少無理してでもここは6ボタンパッドを同梱すべきだったと思う。



ただ色々問題点はあるものの、操作感覚はもちろん、各キャラの特徴や敵キャラのアルゴリズムもアーケード版と全く変わる所がなく同感覚でプレイ出来るので、安いということもあってPCEユーザーのストIIファンであれば、十分プレイする価値はあったと言える。









個人的な思い出
私が最初にPCE版ダッシュの記事を読んだのは、93年4月発売のファミ通においてでした。

画面に対しては「おーやるじゃん」と素直に関心しましたが、記事にはやたら「四天王が使える」ということが強調されていましたので、その辺りでアーケードと家庭用の温度差みたいなものを感じました。

アーケードではすでに1年前に話題になったことだし、当時はすでにターボ全盛の時代でしたから、「今更何言ってんだ」とやや冷めた気持ちになってしまいましたね。



PCE版発売直前のファミ通では、PCE版とMD版の比較記事などもあったりして、「一体8ビットのPCEでストIIってどんな出来なんだろう?」という興味は尽きませんでしたが、すぐにSFC版のターボの発売が発表されましたので、PCEの専門誌を読むこともなく、当然購入にも至りませんでした。

それでもアーケードの移植作を中心に購入していた頃でしたから、いつかはプレイしてみたい、という願望は持ち続けていましたが、私の環境でプレイするとなるとシグマの4000円もする6ボタン専用コードが必須でしたので、そこまでしてプレイする気はさすがに起きませんでしたね。



翌年秋、ホリの3機種対応のスティックを購入した私は、ようやくPCE版のダッシュを購入しました。

すでにスーパーも発売していましたので、本当に今更、という感がありましたが、それでも今とは異なり機種によって移植の出来が全然違う時代でしたし、また安いということもあって、それなりに楽しむことは出来ました。











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