ゼビウス


ナムコ 1983年1月29日発売

縦画面 縦スクロールシューティング

8方向レバー 自機の8方向移動

ボタン1:ザッパー
 ボタン2:ブラスター

アーケードゲームの革命
スペースインベーダーによってビデオゲームの存在が認知されて以降、それこそ数え切れないほどのゲームが発売され、数々の名作が世に送り出されてきたのはご承知の通りだが、「最高のゲームとは何か」と決めるのは非常に難しい話であり、個々の主観に委ねられる以上それは不可能に近いだろう。

しかし、私がその質問をぶつけられた時に発せられるゲーム名は必ず決まっている。

そのゲームこそ、1983年に株式会社ナムコから発売された「ゼビウス」だ。

世代的にはゼビウス世代とは言えず、やはり90年前後の作品であるグラディウスIIIや、ファイナルファイト、ストII、ナイトストライカーなどの方が思い入れは確かに深いのだが、やはり最高のビデオゲームはゼビウス以外挙げる事は出来ない。「ゼビウスの前にゼビウスなく、ゼビウスの後にゼビウスなし」と言っても全く過言ではないほどに、ゼビウスがゲーム業界にもたらした影響はとてつもなく大きいものがあったのだ。



イメージカラー
ゼビウスのイメージカラーと言えばまず森林の緑が最も印象深く、次に海の青、敵機の銀、そして砂漠の黄色と言った所だろうが、当時としてはこれだけでも非常にインパクトのある作りであった。

あくまで私のイメージだが、ゲームウォッチやムーンパトロール、ファミコン版のドンキーコングをプレイしてきた影響からか、ゲームのカラーと言えば暗い背景に赤や黄色などの強い色がポツンとある印象が強く、緑と言う色はゲームの色としてはまるでイメージが浮かばなかったのだ。

そんな状況であったため、ゲームの事など何も知らない私の父親がゼビウスの画面に目を向けたよう、ゼビウスはゲームの事を何も知らない人たちをも自然と引き付ける事に成功したのだ。







撃ち分け
縦シューのショットというのは、ゼビウスに代表される空中用と地上用に分けられている撃ち分け式のものと、スターフォースを元祖とする空中・地上兼用になっているものに分かれていた。

しかし、後年発売された縦シューを見ると、ゼビウスタイプは同社のドラゴンスピリットや続編のドラゴンセイバー、コナミのツインビーシリーズが採用したぐらいであり、ほとんどの多くの縦シューは地上・空中兼用のスターフォースタイプとなっていった。

私自身も緻密なプレイを要求される撃ち分け式よりも、爽快感を体験出来る兼用ショットを採用している縦シューの方が楽だったし、最近などでは撃ち分け方式をロックオンレーザーという方式で採用している、タイトーのレイシリーズなどにはどうしても馴染むことが出来なかった。

またドラスピやツインビーでも、対地ショットは連射が可能となっているため、ゼビウスのような緻密さを要求されることはなかったのだ。

よって、大ヒット作の後には必ず模倣ゲームが乱発されるこのゲーム業界において、ゼビウスほどの大ヒット作品の二番煎じ的作品がほとんど存在しない、と言うのは異例中の異例であり、それがまたゼビウスの価値を高めている一因とも言える。それでは何故ゼビウスに限りそうなったのか、と言う事を次項で解説していこう。


ゲームバランスの凄さ
以上のように、ゼビウスのシステムやゲーム性を彷彿とさせるゲームというのは今日ではほとんど見受けられなくなってしまったが、それは結局ゼビウスを超えるゲームを作り出せなかったからに他ならない。

例えばグラディウスのゲージシステムが他のゲームには取り入れられていないのは、あまりにも独創的なシステムであるが故であり、導入したところでゲーマーからは所詮パクリと思われてしまうだけだからだ。

しかしゼビウスはシステムそのものに関してはグラディウスほど独創的なものはないため、真似しようと思えば真似は出来るだろう。それなのに何故ゼビウスのパクリ的ゲームがほとんど知られていないのか、それはゼビウスのゲーム性そのものがあまりにも優れているから、と言う事に尽きる。

それはそれぞれが異なったアルゴリズムでソルバルウを攻撃してくると言う、まるで人工知能を持っているかのような無数の敵キャラクターがまず思い浮かばれるが、もちろんそれだけがゼビウスの魅力なのではない。

ゼビウスの真の凄い所と言えば、空中敵の登場順にランダム要素があり、さらに難易度まである程度の幅を持たせている所だろう。これにより同じエリアであっても、毎回違う感覚でプレイ出来る訳だし、特に地上物の激しいエリアでちょうど攻撃が弱まり、ノーミスで抜けられた時の感覚はこの上ないものがある。

もちろんこれにより1000万点プレイヤーが続出し、スーパーゼビウスがあの難易度になってしまった訳であるが、この素晴らしいゲームバランスにより初心者から上級車まで満遍なく楽しめるゲームと言う、シューティングゲームの究極の命題のひとつをあっさりと達成してしまったのだ。

近年のシューティングで難易度設定を抜きに両者が楽しめるゲームなど、まずありえない話であるだけに、それを考えるとより一層ゼビウスの凄まじさと言うものを実感していただけるだろう。





当時の思い出
私がこの「ゼビウス」というゲームに初めて触れたのは、小学生の頃連れて行ってもらった熱海への旅行においてでした。

当時のゲームセンターのイメージというのは今とは比較にならないほど悪く、その頃私がよく通っていた駅前のプラモデル店に、ゲームの筐体が置いてあるのを知っただけで親に嫌がられたものでしたが、この時に行ったゲームセンターはさすがに遊園地の中だけあってとても明るく、すんなりと入れてもらえました。

そこで私の父親が最初に目に付いたゲームが、ずばりこのゼビウスだったのです。その理由としてはデモ画面をプレイ中のゲームだと思っていたらしいのですが、それでも私にとっては運命的な出会いでした。

それで100円をもらいプレイさせてもらえたのですが、当時はまだファミコンも持っておらず、まともにレバーも扱えない状態でしたから、面白さも味わえないまますぐに終わってしまいました。

グラフィックに関してもまだロクにゲーム画面を見たことがない時でしたから比較の対象がなく、ゼビウスのグラフィックがいかに優れていたかという事も実感のしようがありませんでしたので、特に印象に残る事もありませんでした。

それからファミコン版がコロコロコミックでも紹介された時に、その時になって初めてあの時のゲームがゼビウスと言う事に気付きました。

翌年になりそのファミコン版を買ってもらったのですが、それより前にスターフォースを購入していたため、このゼビウス独特の照準を合わせて地上物を狙い打つという緻密さに、どうしても私はなじむことが出来ず、ほとんどと言っていいほどプレイすることはありませんでした。








面白さに気付くまで
それからはほとんど縁がなかったのですが、ファミ通増刊の渋谷洋一氏のコラム、そしてザ・ベストゲームの影響などから、いかにゼビウスがアーケードゲームに残して来た足跡が偉大なものであったかと言う事を次第に理解していくようになりました。

そしてファミコン版から7年後にPCE版を購入し、その直後に神田のマルゲ屋へ行った時に訪れたWAVEというゲーセンで、実に8年ぶりにアーケード版ゼビウスと再会を果したのです。8年ぶりとあって記憶が薄く、懐かしさというものはあまり感じなかったのですが、やはり本物をプレイしているという喜びは何物にも代えがたいものがありました。

その日は13エリアのゾシーで終わったのですが、当時はすぐに終わってしまった訳ですから、私的にはそれでも満足して家路に着いたものです。




翌年、私のゲーマー時代の行き着けの店長がナムコ好きなおかげで、3つのゲームがまとめて入っている筐体にゼビウスが入り、早速プレイはしてみたのですが、その頃は横に置いてあったソニックウイングスにハマっていたため、同じ縦シューでも全く趣の異なるゼビウスにはどうしても面白さを感じることが出来ず、案の定すぐにやめてしまいました。

3年後にナムコミュージアムVOL.2を購入した時も、あのメガドラライクな画面では上下が隠れてしまうため非常に難しく感じてしまい、それなりにプレイはしたものの最高58万点までしか行かず、それっきりとなってしまいました。しかし2001年3月に2chにおいて作者である遠藤雅伸氏が登場したことにいたく感動した私は、久々にゼビウスをプレイしていきました。

この時はすでに使用していないTVがあったため、これを縦置きにしてプレイし始めたのですが、やはり最初のうちは100万点ぐらいで終わることが多く、またすぐにやめてしまったのです。


それでも、ビデオ・ゲーム・ミュージックの発売もありましたし、めげずに再びプレイし始めたのですが、私はこの時に遂にゼビウスの本当に魅力を知る事なり、途中で諦める所か延々夢中になり何時間も集中してプレイしていき、その後3日ぐらい経って遂に1000万点を達成することが出来ました。


あとがき

ゼビウスに関してはこのサイトとしては珍しく、ほとんど思い出話で占められていますが、これはDCでの公開時から画像と項の順序以外はほとんど手を加えていないためです。もちろんその後リメイクは考えたのですが、どうしてもリアル世代でないと言うハンデがあるためかページが埋まらず、最初の2項目を加えたまま止まってしまっています。攻略は無論PCでの製作時に公開されたものですが、文章の加筆・修正はあるものの基本的内容はほぼそのままです。

追記

最近ようやく文章が固まったので、新たにゲームバランスの項などを加筆しました。これは私が1000万点を目指している時に強く感じていた事ですが、ゼビウスの魅力は文章だけでは絶対に全ては伝え切れないと思っていますので、私的にはこれが精一杯の文章です。





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