ソニックウイングス



ビデオシステム 1992年3月18日発売

縦画面 縦スクロールシューティング

8方向レバー 自機の8方向移動

ボタン1:ショット

     ボタン2:スペシャルウェポン


シューティングの新しい風
1992年3月、世の中のアーケードゲーマーの話題はストIIダッシュ一色という感じであり、かつてゲームセンターで栄華を誇ったシューティングゲームは新たなムーブメントとなった格闘ゲームの前にことごとく敗れていき、もはや凋落の一途を辿っていった。

そんなシューティングゲーム冬の時代に、まさに救世主的な存在として発売され、シューティングゲーマーの心を救ってくれたのが、このソニックウイングスだ。













ランダム性とキャラクター選択
前年におけるストIIの大ヒットの要因は、ゲーム自体そのものも群を抜いて面白かったのだが、やはり毎回対戦相手の順番が違い、新鮮な気持ちで望めるのと、キャラクターが8人もいるため、一人でクリアしてもまた別のキャラクターでプレイし続けられるという二つの要素が大きかっただろう。そんなストIIが生み出した二つの要素を、思い切ってシューティングに取り入れてしまったのが、このソニックウイングスだった。

プレイヤーは日本、アメリカ、スウェーデン、イギリスの4カ国から選べ、なおかつ1Pと2Pでは機体が異なるためプレイヤーは計8機体の中から自機を選ぶことができ、そして前半3面はその4カ国の中から構成されているため当然のことながら選んだ機体の国は出現することはない。

8体の機体は、機体ごとに長所、短所がはっきりと分かれ個性がうまく付けられているのはもちろん、パイロットまでちゃんと設定付けられており、面クリア時のデモではそのパイロットの顔とセリフが画面に表示されていくため、プレイヤーは自然とキャラクターに対し愛着が沸いてくるようになる。




もちろん前半のランダム面は、同じ面であっても順番により難易度が変化し、特にボスに関しては攻撃パターンまで変化してしまうので、結果的にプレイヤーを飽きさせない。

こうして見るとまさにストIIそのものという感じだが、ジャンルが全くことなるシューティングということからパクリという感じは薄く、逆に新しいシステムを取り入れたシューティングが生まれた、というイメージの方が強かったため、発売当時は非常に斬新なシステムに感じられたものだ。

そしてこれらの特徴は翌年に彩京から発売された「戦国エース」に受け継がれ、以後同社から発売される縦スクロールシューティングのスタンダードとなったのは承知の通りだ。









このゲームが生み出したもの
上記で解説したように、このソニックウイングスの魅力はまずは前半面におけるランダム性と、8体もの機体から選んでいくキャラセレクトという部分にあったのだが、それだけではただのストIIのパクリとしてしか受け止められず、ヒット作へと至ることはなかっただろう。

しかしこのソニックウイングスは'92年度のシューティングゲームにおいて最大のヒットを記録し、年末のゲーメスト大賞のベストシューティング賞まで受賞してしまったのだから、ソニックウイングスならではの魅力も当然のことながら存在した。

そこまでのヒット作へと導いた最大の要因というのは、やはり1面1面の道中がそれまでのシューティングに比べ遥かに短いため、とにかくテンポが良く、それでありながら十分爽快感を堪能出来るほどゲームバランスが優れていた、ということに尽きるだろう。





それまでのアーケードゲームのシューティングの傾向としては、'89年に発売されたグラディウスIIIなどに代表されるように、1周までの時間が非常に長いゲームが多く、そのためなかなか気軽にプレイ出来るものではなかったため、全く対照的なシステムを取り入れたこのソニックウイングスのインパクトは非常に大きいものがあった。

またそれとは別にパワーアップの種類を1種類にし、わずか3つ取っただけでフルパワーアップ出来るというわかりやすさと、死んでも1つは必ずパワーアップが出現するため、シューティングでは常識として存在していたハマりの要素を極力減らしたということもこのソニックウイングスが生み出した大きな特徴だろう。

シューティングのパワーアップと言えば、色々な種類のパワーアップが画面中を泳ぎ、ゲームによっては変化までしてしまうため、一般人にはとっつきずらい部分があったのだが、このゲームではそれらの要素を一切存在しないため、初めてプレイする人でもすんなりとゲームに馴染むことができ、一般層をも引き付けることに成功した。




個人的な思い出
このゲームが発売されたのは、タイトル部分にあるように'92年の3月だったのですが、当時のアーケードゲームの話題といえばやはりストIIダッシュでもちきりであり、それ以外のゲームというのは正直なところほとんど話題にも登りませんでした。

もちろんこのソニックウイングスも例外ではなく、AOUショー特集でも座談会で少し触れられた程度で、ゲーメストの扱いも非常に小さかったため、私自身もほとんどノーマークでしたので、発売当時は全くと言っていいほど関心がなかったのです。

それから半年ほどだった'92年10月、当時仲のよかった同じクラスの友人が、お互いの行き着けのゲーセンにソニックウイングスという面白いシューティングがあるというので、相模大野に用事があった帰りに、その近くのゲーセンで初めてソニックウイングスをプレイすることになったのです。

私は縦クロールシューティングに関しては、当時雷電は2面ボス止まり、達人に至っては1面すらクリア出来ないという惨憺たる有様だったのですが、このソニックウイングスでもやはりうまくいかず、初プレイは2面に来た日本面のボスで終わってしまいました。

その日のプレイはそこで止めてしまったのですが、前述したように行き着けのゲーセンに設置してありましたので、そろそろストIIダッシュにも飽きてきたので何か他のゲームを始めようと思った時期とも重なったこともあり、それからソニックウイングスをやり込み始めていったのです。

幸い当時は毎月ゲーメストを購入していたおかげで、攻略に関してはまあ問題はなかったのですが、いかんせん腕がそれを実践出来るところまでは行っておらず、5〜6面から先へ進めないという状況がずっと続いていました。

11月になって沙羅曼蛇を1周し、初めてアーケードゲームで1コインでの1周を達成すると、翌年以降ゼクセクス、出たな!! ツインビー、1941、ナイトストライカーなど次々と1コインクリアを記録していき、ようやく私もアーケードゲームのひとつの壁を越えたような感があり、腕前もそこそこ良くはなっていったのですが、このソニックウイングスに関してはどうしても1周することはかないませんでした。




そして季節は初夏となった頃、ゲームセンターにはソニックウイングスをそのまま和風にしたかのようなゲーム、「戦国エース」が登場し、私は早速やり込んでいったのですが、ちょうどやり込み始めた頃に最終面までの攻略が載ったゲーメストが発売されたとはいえ、こちらの方はあっさりと1周を記録してしまい、以後軽い気持ちでプレイしてもほぼ2周目の半ばぐらいまで進めてしまうほど、ソニックウイングスで未だ苦戦続きの当時の私にとっては何とも皮肉な結果となってしまったものです。

7月になると今度はSFCでソニックウイングスが発売されたのですが、「SFCのソフト=高い」ということで購入はせず、アーケード版のみをやり込んでいったのですが、相変わらず1周は出来ない状態が続いていたため、10月頃になって購入し、最終手段とも言える「家庭用でやり込んでアーケード版をクリアする」戦法を取ることにしたのです。

SFC版はもちろんのこと横画面ですので、かなり違和感はあったのですが、基本的な部分は同じでしたので、長いこと私の壁だった6面のボスの攻略法もようやくマスターでき、最終面中ボスや大ボスの攻撃方法もゲーメストで読んだものとほとんど変わりはなかったので、大きな助けとなったものです。

そして忘れもしない1993年11月23日、行き着けのゲーセンにソニックウイングスをプレイしに行った私は、遂に1年越しの夢であった、ソニックウイングス1コイン1周を達成出来たのでした。


あとがき

今作はPCでの製作開始直後に製作されたものです。大ヒット作品にも関わらずあまり取り上げているページがありませんでしたので、それなら自分が作ってみよう、と思ったのが初期に製作したきっかけでした。よって初期なだけにやはり当時の文章は酷く、例によって後に大幅な加筆・修正を施してあります。攻略も同時に製作したものですが、今思えばそこまで作る必要もなかったかと思います。





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