天外魔境II


PCE SUPER CD-ROM2システム

ハドソン 1992年3月26日発売

7800円 CD-ROM

フィールド型RPG

 十字キー キャラクター・コマンド操作
Iボタン 決定
   IIボタン キャンセル


壮大なスケール
PCE CD-ROM2初のRPGであった「天外魔境」の続編。

今作は前年10月から導入された、バッファRAMを4倍の2Mビット(256Kバイト)に増やしたSUPER CD-ROM2システムを使用しており、92年最初の大注目ソフトとして発売された。

PCE史上最高傑作と謳われたイースI・IIを遥かに超えるアニメーション、久石譲氏による美しいBGM、岸田今日子さんを始めとする著名な声優の方々の参加など、当時としてはまさに空前絶後のRPGであった。





ファミコン通信などの総合誌ではまだまだ任天堂ハード中心という時代であったが、この天外魔境IIでは毎週プレイの過程が掲載されるページがあったりするほど、その注目度たるやSFCの大作にもひけを取らないものであった。

このゲームのおかげでSUPER CD-ROM2システムは一気に販売台数を増やし、それに伴いソフトもHuカードからCD-ROM中心となり、その結果純粋なゲーム内容よりも派手なアニメーションやBGMに力が入れられるようになるなど、良くも悪くもその後のゲーム業界に大きな影響を与えていった。






国がたくさん
前作ではとにかくアクセス時間が多く、特に戦闘シーンの読み込みには皆辟易しながらプレイしていたものだが、今作ではその点は完全に解消されている。1度の読み込みでフィールド、村、敵キャラなどのデータを全て読み込んでしまうため、これらの場面に変わった場合のアクセスは一切かからない。

洞窟などは別データとして用意されているため、アクセス時間がかかってしまうものの頻繁に出入りすることはないため、さほど気にはならない。

よって前作よりも遥かに快適にプレイすることが出来るのだが、1度に読み込む量は1つの国のデータが限界なため、ドラクエのようにほとんどの大陸が陸続きという訳には行かず、国ごとに完全に分けられた格好となってしまった。

つまりドラクエで言うなら、IIIのアリアハンのような孤立した国が、いくつもいくつも岩山に囲まれた形で存在すると考えてもらえば分かりやすいだろう。これによりいくらスケールが大きいRPGと言う謳い文句であっても、短い時間で終わるシナリオを何度も何度もクリアしていっているだけという感覚に陥ってしまう。

ストーリー自体は難しい謎解きというのは少なく素直に作られているが、クリアまで最低でも60時間以上は必要なため、アクセス時間が少なくなっても根気が必要な事には変わりなかった。






アニメーションとBGM
アニメーションはオープニングのタイトル画面から非常に凝っており、拡大・縮小、そして回転とSFCを意識した演出が展開されていくが、これは後に「PCEのSUPER CD-ROM2ならこんなことも出来るんですよ」と開発者の方が語っていたよう、SUPER CD-ROM2のデモ的な役割も果たしていた。

タイトル画面が終わると火の勇者4人や、マリとヨミが地球に向かうアニメーションなどまさにCD-ROM2しか出来ないアニメーションが展開されていき、これを見れただけでもCD-ROM2を買ってよかったと思わせるほど、当時のゲームの常識を遥かに超えたアニメーションであった。




声優による喋りなどは実にトータル3時間にも及ぶため、一部の重要シーンを除きADPCMとなっているのは前作同様だが、前作とは異なりセリフ部分が音声に合ってゆっくり表示されるため、前作のようセリフがわかっている状態で声を聴くという事はない。

重要なBGMはスタジオジブリの映画などでお馴染みの久石譲氏が担当しており、いずれも久石氏自ら指揮したオーケストラによるBGMを聴く事が出来る。









戦闘システム
基本的なシステム自体は、やはりオーソドックスなコマンド型RPGであるが、戦闘シーンは前作に比べかなり改良が加えられており、とてもテンポの良い戦闘が味わえる。

一見ドラクエの戦闘と変わる所はなさそうだが、こちらは自分のターンが回ってきた時にコマンド入力が行えるようになっているため、回復する前に攻撃されてやられてしまった、ということは絶対にない。

仲間は直接命令するか、AIによるオート戦闘かどちらかを選択する事が出来るため、経験値を上げるときはAIにすればとてもスムーズに戦闘を進めることが可能だ。



さらに通常の敵から最終ボスまで、全ての敵のHPが表示されるため、敵の残りHPを考えた上での戦略を立てる事も容易に可能となっていうる。

これだけ見ると随分と親切なシステムと言えるのだが、その分戦闘のバランスが悪く、初めて他の国へ行った直後だとほとんど敵にダメージを与えられなかったり、かと思えばちょっとレベルを上げたぐらいで一気にダメージを与えられるようになるなど、この辺りの調整はいまひとつだった。

通常戦闘でアニメーションする敵はいなくなってしまったが、ボス戦は攻撃時に必ずアニメーションをするようになっており、そしてどのボスもアニメーションと同時に攻撃を行ってくれるため、テンポが崩れることはない。

段が上がると体力と術が全回復するのは前作通りであり、ボス戦直前にレベルを上げるようにするのがコツだ。



個人的な思い出
このゲームは最初は91年の12月、SCDとほぼ同時期に発売される予定だったのですが発売が3月にずれこんでしまったため、そのお詫びとしてかこの「天外魔境II」と、すでに発売済みだった「ドラゴンスレイヤー英雄伝説」のゲームのさわりの部分だけを収録した「PCE SUPER CD-ROM2 体験ソフト集」なるソフトが1500円で発売されたのですが、私がSUPER CD-ROM2本体と同時に購入したソフトがその体験ソフト集でした。

SUPER CD-ROM2本体を購入したのは92年3月でしたので、体験版など買わずに本作品の発売まで待てば良かったのかも知れませんが、とにかく何でも良いからCD-ROM2の凄さを体験したいと思いましたので、そんな事は関係ないと思い迷わず購入していきました。



本作品はもちろん発売日に購入しまして、春休みということもありずっとプレイしていったのですが、あることがきっかけでデータが全て消えてしまい、さすがにやる気をなくした私は長い間プレイしませんでした。

のちに当時の友人がDUO-Rを購入したというので、その時に本作品を貸してその友人にクリアしてもらい、そのデータを私が天の声バンク経由で頂いて、自分がエンディングを見るという計画を実行したのですが、さすがにいきなり最終場面ではどこがどうなっているのかさっぱりわからず、クリアする気はまるで起きませんでしたね。

2年ほど経った頃、何がきっかけかPCEのゲームを改めてプレイしていた時、久々に天外魔境IIをプレイした私は飽きることなくずっとプレイし続けていき、購入から4年経ってようやく自力でクリアすることが出来ました。



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