天外魔境

PCE CD-ROM2システム

ハドソン 1989年6月30日発売

7200円 CD-ROM

フィールド型RPG

 十字キー キャラクター・コマンド操作
Iボタン 決定
   IIボタン キャンセル



CD-ROMの力を見せつけ
PCEのCD-ROM2システムにおける初のRPGが、この「天外魔境」だ。

発売されたのはCD-ROM2が発売されてから実に半年以上経ってからの事だったが、発表自体は1年前のCD-ROM2の発表と同時に行われていたため、「CD-ROM2の新作=天外魔境」というのが一般的ユーザーのイメージだった。よってこのゲームの発売で、これといったキラーソフトのなかったCD-ROM2システムに、ようやくユーザーは目を向けるようになっていったという訳だ。

もっともPCE本体とCD-ROM2システムを揃えると定価で8万円を超えてしまい、学生ユーザーにはとても手の届かないゲームであったため、この「天外魔境」はユーザーにとっては高嶺の花に等しいものがあった。



大作曲家
本作は前述のようCD-ROM2初の代表作というのが売りだったが、それ以上にのゲームの名を知らしめたのは、やはり何と言ってもあの坂本龍一氏がBGMを作曲していることだろう。

当時の坂本氏と言えば、87年に映画「ラストエンペラー」に自ら出演と音楽を担当されアカデミー賞オリジナル作曲賞を受賞し、まさに世界的な知名度を手に入れた頃であったから、そんな人がゲームのBGMを作曲されるというのは、ゲーム業界にとっては大変な名誉であった。

今なら確実に一般マスコミも取り上げることだろうが、悲しいかな当時はゲームと言えば負のイメージしかなく、ドラクエの行列騒ぎとそれに関する問題などがTVで取り上げられる程度だったため、一般的にはほとんど知られることはなかった。


ゲーム中で坂本氏が担当している曲はタイトル、中盤の橋のシーン、エンディングの3つであり、もちろんいずれもCD-DAで収録されている。

私はタイトル画面ぐらいしか記憶にないものの、和風の壮厳な曲はゲームのイメージにぴったりなものであり、これを聴けるだけでもゲームを買った価値があったと言っても過言ではない。しかし坂本氏以外のBGMは全て内蔵音源であり、さらに出来自体も良くなかったため、ゲームが始まると一気にテンションが落ちてしまったものだった。







改良を重ねて
この「天外魔境」は前述のよう、CD-ROM2と同時に発表されたが、開発当時のバージョンは発売バージョンとかなりの違いがあった。

当時各ショップに配られたプロモーション用ビデオに収録されているバージョンは、各キャラクターがネクロマンサーのように2キャラ分あるリアル系であり、戦闘も術を使うとジライアらのアニメーションが別枠で表示されるなど、かなり凝った作りとなっていた。

それを見た私はかなりの期待を抱いたものだが、発売バージョンはそのリアルさはどこへやら、一転してドラクエに近い感じの出来となり、開発バージョンのイメージは完全に消え去ってしまっていた。



何故にこうなってしまったのかはわからないが、前者の方が圧倒的に見栄えが良かっただけに、どこにでもあるようなRPGとなってしまったのはとても残念な事だった。











頻繁なアクセス
前述のよう坂本氏のBGMや、大容量を活かしたグラフィックやボイスというのがこのゲームの一般的イメージであったが、もうひとつ忘れてはならないのがCD読み込み時間の多さだ。

何せこの当時のCD-ROM2システムのバッファRAMは512Kビット、PCで言うなら64Kバイトしかなく、1度に読み込めるデータがあまりにも少なすぎるため仕方ないと言えば仕方ない事なのだが、単に家に入ったり、買い物をするだけで読み込み時間がかかってしまうというのはプレイしていて相当煩わしい。

さらに何と言っても辛いのが戦闘シーンであり、エンカウントしてから戦闘に入るまで何と6秒もかかってしまう。


それだけに戦闘シーンは凝っており、アニメーションをする敵や綺麗な背景など、他のRPGとは一線を画した出来となってはいるのだが、いかんせん6秒のアクセスというのはプレイする上で大変な時間の無駄だ。

4年ほど経った後、SUPER CD-ROM2に対応した特別バージョンの天外魔境が製作されたが、これは懸賞か何かに応募してしかもらうことが出来ない非売品だったため、そう簡単に入手出来る代物ではなかった。

よって私のようにSUPER CD-ROM2から購入していったプレイヤーは、ストレスが溜まって普通にプレイするだけでも一苦労だったものだが、PC上のエミュレータではこれらの欠点は見事なまでに解消されているため、現在では何のストレスも感じる事なくプレイ出来る。



個人的な思い出
私がこのゲームの存在を知ったのはCD-ROM2の発表と同時で、前述のプロモーションビデオなども持っていたりしたのですが、PCE本体は持っていたもののさすがにCD-ROM2は手が届く代物ではなく、天外魔境をプレイすることはずっと憧れのままでした。

92年3月にSUPER CD-ROM2システムを購入し、ようやくCD-ROM2のゲームが出来るようになると私はファイティングストリートを目当てに初めて秋葉原へと行ったのですが、それを購入する直前に入った小さな店で天外魔境が安く売っていましたので、その時に購入しました。





それでようやく長年の念願だった天外魔境をプレイ出来るに至ったのですが、イースをプレイした後ではさすがに見劣りが感じ、例の戦闘シーンのアクセスの長さや内蔵音源のBGMの悪さなども手伝い、購入前の期待感は一気に冷めてしまい、プレイするだけでも一苦労と言った感はありました。

それでも一応中盤の橋のシーンまでは行けたのですが、その後データが消えてしまったため、結局クリアは出来ないまま今に至っています。







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