R-TYPE

PCE ハドソン

R-TYPE I 1988年3月25日発売

R-TYPE II 1988年6月3日発売

Huカード 2M 各4900円

8方向移動 Iボタン フォース離脱
    IIボタン ショット



君の部屋がゲームセンターだ
1987年秋、突如として発表されたPCエンジンはコロコロコミックという強力なバックアップのおかげで、子供たちへの認知度は瞬く間に広がっていったが、売り上げは比例せずファミコンの足元にも及ばなかった。

「ビックリマンワールド」や「カトちゃんケンちゃん」など子供向けのソフトを揃えてはいたが、24800円という子供にとってはベラボーに高い価格設定では相手にもされず、ゲーマーからもモンスターワールドのキャラがビックリマンに変えられた事で怒りを買いソッポ向かれていた。




翌年1月には初のRPGである「邪聖剣ネクロマンサー」が発売され、それなりに注目を浴びてはいたが、ドラクエIIIの影に隠れ、その他のソフトもパッとしないこともあって苦しい状況は変わらなかった。しかし、3月に発売されたたった1本のソフトが、PCEを一気に注目を浴びるハードへと変貌させ、それまでの状況が嘘のようにPCE市場は活気付いていくこととなる…。

もちろん、そのソフトは今なおPCEの代名詞的存在となっている「R-TYPE」だ。




グラフィック
このPCE版「R-TYPE」は、言うまでもなく前年に発売されたアーケードゲーム「R-TYPE」の移植版だ。

アーケード版の「R-TYPE」は今更説明するまでもないが、自機の分身的存在のフォースというオプション、2画面にも及ぶ巨大戦艦、画面上を糸を引いて走り回る敵など、独創性溢れるアイデアでアーケードゲーマーを虜にし、その後の横スクロールシューティングにも多大なる影響を与えた不滅の名作だ。





そんな歴史に残るゲームが、発売から1年足らずで家庭用に移植されるというのだから、今の感覚であれば心が弾んだに違いないが、当時はそう期待したプレイヤーはいなかっただろう。

すでに当時はアーケードと家庭用は、ファミコン版沙羅曼蛇の移植を見ればわかるよう、同じビデオゲームという枠で括ってはならないほど性能の格差が開いていた時代であり、最新のビデオゲームが移植されると言っても所詮は名前だけが同じゲームが発売されるに過ぎない、という考え方しか出来なかったのだ。



そんな時代に、ハード上の制限でどうしても再現出来ない箇所こそあったものの、見た目そのものはアーケード版と変わらないレベルでPCEに移植されたのだから、その衝撃度は計り知れないものがあった。またアーケード版のR-TYPEは384×256というかなりの高解像度だったので、PCE版では画面比が再現出来ず上下にスクロールしてしまうが、それでも当時の家庭用としては最高の高解像度を実現している。

サウンドはアーケードのFM音源そのままとはいかなかったが、出来そのものは良く、当時はまだAVブースターが発売されていなかったのにも関わらず、ステレオ音源で収録されている。


難易度
さて、このPCE版R-TYPEはグラフィックだけでなく、難易度もほぼアーケード版そのままで移植されたことも当時としては異例だった。

というのは、その当時はファミコンが圧倒的にシェアを占めていたこともあったが、まだまだ家庭用ゲームと言えば「子供のおもちゃ」という印象が強く、アーケードの移植物は子供たちが楽しめるレベルの難易度合わせて発売する、というのが当たり前の風潮として残っていたからだ。





そんな頃に家庭用より遥かに難易度の高いアーケードゲームの中でも、屈指の難易度を誇るR-TYPEがそのままの難易度で移植されたのだから、当然のように賛否両論が巻き起こった。賛成派は「アーケードの忠実移植ならば、難易度も忠実に移植するのが当たり前」と言い、対する否定派は「家庭用なのだから、誰もが楽しめなければならない」といった具合だ。

どちらの意見も一理あって否定しがたいのだが、当時は家庭用ユーザーは攻略と言えば雑誌に頼るしかなかったため、雑誌はR-TYPEの攻略記事さえ載せておけば確実に売り上げが伸びる訳だから、編集者にとっては高難易度はありがたいものがあっただろう。

実際、R-TYPEの発売直後からPCEの雑誌がまだ増刊という形でこそあったが次々に創刊され始め、どの雑誌にも必ずR-TYPEの攻略記事が大きく扱われていた事実から、このR-TYPEが雑誌に大きな利益をもたらしたことは一目瞭然だ。

高難易度ということは攻略記事作りも一筋縄ではいかないはずだが、アーケード版の攻略法がそのまま通用してしまうということは、極端な話ゲーメストを参考にすれば良い訳だし、実際初代アイランド担当の御旅屋さんは「家庭用の雑誌は攻略ビデオを参考にしていた」と語っている。



編集者が他社の雑誌を参考にするというのは決して褒められることではないが、当時の家庭用移植では考えられなかった「アーケードの攻略が何ら変わることなく通用する」という事実ひとつだけでも、いかにPCE版R-TYPEの移植が優れているかというのを示すエピソードと言えるだろう。

また、当時は前述のように家庭用の移植は難易度が落とされていたことから、家庭用ユーザーはアーケードゲームを舐めていることが多かったので、このR-TYPEによりアーケードゲームのレベルの高さを家庭用ユーザーは改めて思い知ることとなったのも大きかった。


2枚のHuカード
そしてこのPCE版R-TYPEの最大の特徴が、全8面が前後半4面ずつ分けられ、前半をI、後半をIIとして別々に発売されたことだろう。

当時は4MHuカードが開発されておらず、苦肉の策で2枚に分けて発売したそうだが、Iを発売日に購入した人は2ヶ月待たないと後半がプレイ出来ないことを考えると、さすがに不親切と言わざるを得ない。

逆に言えば2枚に分けて発売しても売れるという自信があったからこそ出来た方法であり、実際出来そのものは素晴らしかった訳だからあまり文句は付けられないが、それならせめて2枚組とかで販売して欲しかったと思う。

IからIIへの継続は、Iをクリアした後にパスワードが表示されるので、それをIIのスタート時に入力してプレイすれば装備、スコアともクリアした状態のまま始めることが出来る。

Iがなくても一応プレイは出来るものの、当然ノーマルからスタートするため、実質Iの所有も必須となってしまうが、まあIIだけ購入するプレイヤーはほとんどいないと思われるので、あまり大きな問題ではなかった。

そしてIIをクリアすると再びパスワードが表示され、それをIで入力してプレイすると2周目をプレイ出来るようになっている。



面紹介


STAGE1

アーケード版もこの面は2重スクロールはしなかったこともあって、ほぼそのままの出来を誇っている。

ボスのドブケラドプスは若干チラついてしまうが、当時はその触手の動きのなめらかさに驚いたものだ。







STAGE2

背景の2重スクロールは再現されていない。

インスルーで若干チラつきが入るが、うまく点滅状態にしてキャラが完全に消えてしまうということを避けているのは見事だ。







STAGE3

BGが1枚しか使えないPCEでは厳しいと思われる巨大戦艦の再現だが、アーケード版そのままのグラフィックはもちろん、地形に重なりながら動くという動き方も再現しているのは素晴らしいの一言だ。







STAGE4

背景の星が再現されていないので真っ暗となっているのは残念だが、無理にスプライトで星を再現して処理落ちを起こさせようとせず、ゲーム性を第一に再現したのは正解だろう。

ボスのコンバイラーもアーケード版と同じ攻略法が使える。






R-TYPE I エンディング

4面をクリアすると、R-9が基地へと帰還するというPCE版Iオリジナルのエンディングを迎える。

クリアするとパスワードが表示されるので、IIのためにメモしておこう。




STAGE5

ちゃんと2重スクロールするが、PCEではラインスクロールを使わなければ再現出来ないため、奥の背景が簡略化されている。

この面の蛇を画面上に大きく出現させてしまうと、さすがにPCEでは画面がチラつきまくってしまうので、出来れば出現と同時に破壊してしまいたい。







STAGE6

この面も2面同様、2重スクロールは再現されていない。

前述したように、PCE版R-TYPEはアーケード版の攻略法がほぼそのまま通用するが、それでもこの面は経験上付属のパッドではかなり厳しいと思われるので、スティックを使用するのが無難だろう。そしてこの面のみのPCE版オリジナル要素として、DOPのラッシュ後に新たなボスが追加されている。

上下の砲台は破壊出来ず、弱点は奥で動いているコアなので、上に来た瞬間に対空レーザーで一気に破壊してしまおう。







STAGE7

この面も2重スクロールはないが、もちろん面そのものの難易度や攻撃パターンはアーケード版と何ら変わる所はない。






STAGE8

奥の背景がない分、アーケード版に忠実だ。フル装備でのボスの安地ももちろん使用可能だ。






エンディング
バイドを倒すと、2枚組に渡ったPCE版R-TYPEもようやくエンディングを迎えることが出来る。

先にも解説したよう、1周目のエンディングの最後にもパスワードが表示され、このパスワードを今度はIに入力してプレイすると2周目をプレイすることが可能だ。







個人的な思い出
私がPCEを買ったきっかけはビックリマンワールドやりたさでしたが、近所の年上の知り合いの方たちがR-TYPEを購入しハマッているのを聞いて、それならと2本目のソフトとしてこのR-TYPEIを購入しました。

当初はなかなか3面がクリア出来ず、しばらく4面クリアすることは出来ませんでしたが、前述の知り合いの方のアドバイスや、小学館の増刊として発売された月刊PCエンジンの攻略などのおかげで、私でも一応Iはクリアすることは出来ました。




しかしその後はワールドスタジアムやパワーリーグ、ファミコンの野球ゲームなどに興味が移行したため、後半のR-TYPEIIはあまり購入する気はならず、プレイすることはありませんでした。

それから3年後、近所の友人が私にR-TYPEIIをタダでくれるというので、「すごく難しいよ」という言葉と一緒にソフトを頂き、ようやく後半面をプレイすることが出来ました。

5面はクリア出来たものの、6面はハマりにハマってしまい中盤まで行くことすら出来ず、まるで歯が立たないままやめてしまいました。


1年後、シグマのスティックを購入してからはシューティングをプレイするのに理想な環境は整い、あらゆるシューティングをプレイしていったのですが、R-TYPEIIだけはどうしても苦手意識が消えなかったため、プレイすることはほとんどありませんでした。しかし、数年後にPS版のR-TYPESを購入した私は、あまりの面白さに時間を忘れてプレイしていきPS版は何とか1周することが出来ました。

それでPCE版もクリアしようと思った私は、久々にR-TYPEをI・IIと続けてプレイしていき、ようやくPCE版も1周することが出来ました。




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