ウィザードリィ
リルガミンサーガ


プレイステーション版 ローカス 1998年2月26日発売

セガサターン版 ローカス 1998年11月26日発売

5800円 CD-ROM



国産PC版の移植
全てのコンピュータRPGの根源とも言える、ウィザードリィ初期3作のPS・SS移植版。

両機種にはすでにシリーズの6,7作目が移植されていたため初期の3作は移植はされないだろう、と思われていた矢先の移植だっただけに、ファンの喜びもひとしおであった。

初期3作の家庭用移植自体は、ファミコンとPCEにおいて発売されているが、どちらの移植もかなりのアレンジが加えられているのに対し、今作では国産PC版の移植となっている。





国産PC版は85年にシナリオ1が発売され、作者であるR・ウッドヘッド氏がハマりすぎてしばらくの間アップル版の4の製作をほったらかしにしてしまった、という逸話まであるほど、その出来はアップル版を遥かに越えるものがあった。

ファミコン版しか知らない私のようなファンにとっては、まさに国産PC版というのは憧れのゲームであったが、やはりPC-9801というハードは高嶺の花だったため、プレイすることなど叶うはずもなく雑誌の記事を指を加えて眺めているだけだった。

そんな国産PC版が家庭用で初の忠実移植がされるというのだから、当時の私は店にあったパンフレットを見ただけで一気に期待感が膨れ上がったものだ。



内容
ゲームそのものは上記のように国産PC版の移植だが、インターフェースはファミコン版を参考としつつPS・SSに合わせてより操作性をアップしており、ウインドウなどの処理も桁違いに早いだけあって、プレイ感覚は快適そのものだ。

オプションも充実しており、日本語−英語の切り替えやダンジョンのポリゴンと線画の選択などはもちろん、モンスターのグラフィックもファミコン版と国産PC版の2種類が用意されている。

個人的にはファミコン版では文章以外全て英語でプレイしていたので、コマンドも英語が選択出来れば完璧だった。




ポリゴンのダンジョンは1シナリオに複数個用意されており、どれも凝った作りのものばかりなのだが、移動速度がかなり遅いためゲームに慣れていくとやや辛いだろう。

キャラメイキング時にはボーナスポイントを何回もキャンセルすることが出来るため、効率よくキャラメイキングが出来るようになったのも嬉しい。

アイテムは全て英語名の直訳であるため、ファミコン版しか知らない人はややとまどうかも知れないが、ウィザードリィのアイテム名はわかりやすいので悩むことはないだろう。

オートマップはONにしておけば、ボタン1発でマップを呼び出すことが出来るので、既成のマップなどを見なくても十分プレイ出来る。

戦闘時の画面構成は、モンスター表示によって変化し、PS版選択時はファミコン版、クラシック版選択時は国産PC版に近い画面構成となる。

PS版選択時の不確定グラフィックは、元のグラフィックを暗くしてあるだけで、ファミコン版の不確定グラフィックは使われていはいない。

BGMは全曲羽田健太郎氏の書き下ろしとなっているが、ファミコン版では割と明るめのBGMが多かったのに対し、PS・SS版では重厚さが目立ち、いかにも中世という感じの曲だ。

以上のように家庭用のウィザードリィ1〜3の移植としては最高と言ってもいいのだが、欠点もそれなりにあり、しかもそれらの欠点がかなりプレイヤー泣かせなのが辛かった。


プレイヤー泣かせの欠点
ウィザードリィと言えばキャンプや戦闘終了時などのタイミングで自動セーブされる、というのが基本だったが、PS版では任意セーブしか出来ず、さらにいちいちチェックが入るので、完了するまでとても長いのがまず挙げられる。

オートセーブがないぐらいであれば難易度が落ちるということもあるのでまあいいのだが、時間があまりにも長いため気軽に冒険を中断することが出来ないため、玄室の敵を復活させるのにもいちいち階を移動しなければならないし、善・悪の混合パーティなども作り辛いので、これはかなり面倒だ。

セーブが3ブロックということは、1シナリオに付き1ブロックということなのだろうから、シナリオ毎にブロックを分けるとかして、もっと早く終えれるようにして欲しかったものだ。

ダンジョンの移動もファミコン版の1などとは比較にならないほど遅いのも困りものだ。

線画にしてボタンを連打すれば多少は速くはなるのだが、以前のバージョンのウィザードリィはほとんどが歩くというより走る、というものだっただけに、何故このような作りにしたのか不思議で仕方がない。

他にも名前の漢字入力が面倒という点もあるが、常にキャラクターメイキングをする訳ではないので、やはり上記2つの点がこのゲームの最大の欠点と言えるだろう。




続編であるニュー・エイジ・オブ・リルガミンでは、セーブの点は改善されたものの、5はダンジョンの形が前4作よりも遥かに大きくなっているのにも関わらず移動速度はそのままであり、しかもこちらは線画にしてもボタン連打で速くならないため、移動の辛さはリルガミンサーガの比ではなかった。













博物館
本編以外の特徴として、倒したモンスターと獲得したアイテムがミュージアム内にてグラフィック付きで閲覧出来ると言うおまけがある。

これは開発者がどうしてもアイテムのグラフィックを載せたかったから、ということで作られたらしく、詳細なデータ付きで閲覧することが出来る。

本編でグラフィックを付け足すことが出来ない以上、このミュージアムというアイデアは良いと思うが、アイテムのグラフィック表示という点に関しては、ウィザードリィはやはり各プレイヤーの想像力を存分に活かして楽しむゲームであるため、グラフィックのイメージが固定されてしまうと言う意味では微妙な感じだ。





シナリオ紹介

PROVING GROUNDS OF THE MAD OVERLORD


記念すべきウィザードリィの第1作目にして、シリーズ最高傑作と謳われる不滅の名作。

シナリオ1はファミコン版にも比較的忠実に移植されたため、アイテム名などの違いを除けば、ファミコン版しか知らないユーザーでも普通にプレイすることが出来るだろう。

注意すべきなのは国産PC版を忠実に移植しているので、このPS・SS版ではポイズンジャイアントやフロストジャイアント、そしてアースジャイアントなどの巨人系にマカニトが一切通用しないことだ。



よって奴らに勝利するためには前衛の攻撃のみが頼りになるため、地下9〜10階に初めて降りた時のレベルでは太刀打ち出来ないだろう。


KNIGHT OF DIAMONDS

レベル13以上のパーティでプレイすることを前提としているためファミコン版では大幅にアレンジされてしまったシナリオ2だが、今作ではもちろん転送が自由に可能なため、国産PC版そのままの感覚でプレイ出来る。

転送時はレベルは変わらないが、ファミコン版とは異なり元のシナリオからはいなくなり、アイテムも全て消去されてしまうため、転送時は注意しよう。

このシナリオから登場した単語入力式の謎解きは、日本語と英語のどちらの答えにも対応しているが、最後の謎解きを英語で答える時はちょっと注意が必要だろう。




LEGACY OF LLYLGAMYN

ファミコン版では謎解きがアイテム交換に変更されたシナリオ3だが、もちろんPS・SS版ではオリジナルそのままの謎解きが移植されている。

このシナリオ3の謎解きの特徴は、一部にタロットカードの知識を必要とする謎解きが用意されていることだろう。

ほとんどのプレイヤーはタロットカードの知識など持っているはずもないので、ここは素直に攻略に頼ってしまおう。







PS版とSS版
この「ウィザードリィ・リルガミンサーガ」はPS版がオリジナル版として発売され、その後SSとWindowsに移植されていった。

PS版の時点ですでに非常に完成度が高かった事もあり、家庭用であるPS版とSS版ではさほど違いはないが、それでも多少の違いはあるので、ここで紹介していこう。

セーブ 前述のようPS版は3ブロック固定で、さらにセーブ前にチェックが入るため、1度のセーブにかなりの時間を要するために国産PC版やファミコン版のようなオートセーブがカットされている。

これに対しSS版はPS版のような任意セーブと、行動や戦闘終了ごとにセーブが入るオートセーブの2つから選択出来るようになっている。

当然SS版の方が遥かに快適にプレイ出来るが、SSはデータ破壊の危険性が常につきまとうだけに、パワーメモリーは1度挿したら絶対に抜かないようにしよう。
BGM PS版はCD-XA音源だったが、SS版ではCD-DAとなっているので、そのままCDプレイヤーでサントラとして使うことが出来る。
またPS版は通常戦闘が何故かモノラルだったが、SS版はちゃんとステレオになっている。
ウィンドウ処理 SS版はウィンドウ処理が若干もたついてしまうので、快適さと言う点では劣る。
ダンジョン SSはポリゴンの性能が低いが、このゲームにおいてはそれほど気にはならない。むしろ線画にした時の移動が、ボタンを連打してもPS版ほど速くならないのが辛い。
ボーナス
ダンジョン
SS版に追加されたオリジナルの高難易度のダンジョンだが、レベルはそのままのため、ここを経由すればシナリオ3も転送前のレベルでプレイすることが可能だ。


個人的な思い入れ
私はファミコン版とGB版しか知らないので、その昔発売されたウィザードリィマガジンなどを読んでいく度にいつかは国産PC版をプレイしてみたいとずっと思い続けていましたから、近所のお店でこのゲームのパンフレットを見て発売を知った時は迷わず購入を決めました。

そして発売日に購入したのですが、まあプレイして最初に思ったことはとにかく、快適だなあ、でしたね。

名前入力が面倒ということはありましたが、それ以外ではファミコン版を全ての面で上回っていましたし、シナリオ1は最後まで本当に面白くプレイ出来たものです。



シナリオのクリアは難なく出来たのですが、次のシナリオ2はファミコン版しか知らない私にはほとんど未知の作品だったため出来るだけ楽にプレイ出来るようレベルを上げまくりました。

因みにこの時は国産PC版は勲章やアミュレットを持っていてもワードナが出現する、というのは知らなかったので、アミュレットは他のキャラに持ち帰らせてエンディングを迎えました。

シナリオ2はそれなりに苦労するだろう、という覚悟で迎えたのですが、キャラが強すぎたことと、オートマップが見放題、ということがありましたから、思ったよりも簡単に最後まで進むことは出来ました。



最後の謎解きはウィザードリィマガジンで大変難解という解説がありましたので、さすがにそれなりに苦労するだろう、と思っていましたが、国産PC版はヒントがわかりやすく変更されているので、割とあっさりと回答は出来ました。

シナリオ3はそのまま転送するとレベル1に戻されてしまうのでわざわざシナリオ1で新キャラクターを作り、1と2の勲章を付けさせてから、転送させてプレイしていきました。

レベル1からのスタートはさすがにかったるいものがありましたので、シナリオ3はクリアまでしかやっておらず、その後のアイテム探しなどはほとんどせずにプレイを終えました。



全シナリオをクリアしても、その後しばらくの間シナリオ1〜2をプレイしていきましたが、すでにファミコン版にかなりの時間を費やしていながらもまだまだ楽しめるウィザードリィは凄いな、と改めてその偉大さを実感出来ました。


PLAYSTATION AND SEGASATURN FOREVER 90's


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