三國志V


PS版 1997年2月14日発売

SS版 1996年9月27日発売

コーエー 9800円 CD-ROM

歴史シミュレーションゲーム


名声
コーエーの人気シリーズの第5作目。

このシリーズは作を重ねるごとにシステムが複雑化し、初心者にはとっつきづらい作品となっていく傾向があったが、このVでは一転しかなり簡略化されたものとなっている。

そのVにおける1番の特徴と言えば、名声によりコマンド回数が決定されるシステムだ。

これまでは基本的に武将の数だけコマンドがこなせるようになっていたが、このVでは君主の名声によりコマンド回数が決まり、1ターンにつき最低3回、最高でも10回までしかコマンド入力をすることが出来ない。


これは中国を統一するためには、まず民の心を掴んでいかなければならない、という事から生まれたものだと思うが、このシステムのおかげでより人の上に立つ難しさという気持ちを理解出来るだろう。その名声を上げるイベントはいくつかあるが、最も重要なのは毎年1月に開かれる評定だ。

内政、人事、計略、外交、軍事のそれぞれの担当官が目標を提案し、君主が1つだけ目標を決めていき、その目標を達成したら名声が大幅にアップする、というものだ。

名声を上げなければずっとコマンド回数は3回のままだが、内政はボタンひとつで全て行われるし、後は軍事や人事ぐらいしかコマンドは消化されないので、回数が決められているとはいってもそれほど不便ではなかったりする。

オープニングや歴史イベントには三国志の映画か何かのムービーが使われているが、これらの映像は、SS版の発売後に放映された「知ってるつもり?!」で三国志を特集した時にも使われた。

また家庭用版では、PC版にあった担当の「特殊」がなくなり、戦闘時の陣形変更も各武将自身で変更出来るようになったりしているなどの改良がなされているため、PC版よりもかなりプレイしやすくなっている点も見逃せない。







武将
三國志Vもこれまでのシリーズ同様、いくつかのシナリオの中からひとつを選んでプレイしていくのだが、Vでは遂に184年の「黄巾の乱」が加わった。

もちろんこのシナリオでの主要君主は黄巾賊の頭である「張角」と、洛陽を本拠とする大将軍「何進」だ。

張角は武力以外の数値が全て高く、特に魅力が劉備以外では初となる99に設定されており、戦闘でも妖術が使えるなどかなり強力な武将となっているが、武将が一族以外は大したことはないのでさほど有利とは言えない。




対する何進軍は何進の能力自体は低いものの、部下に三国志の最大の英雄である「曹操」や、後その曹操と官渡で雌雄を決する「遠紹」などが配下におり、そして何と言っても君主の魅力を100にする「玉璽」を所有しているため、このシナリオでは断然有利だ。

武将の能力は統率がなくなり、武力、知力、政治、魅力の4つとなっているが、関羽の武力がII以来の99、周喩の知力も99になっているなど、全体的に数値が高めに設定されているのがVの特徴だ。そしてアイテムによる能力アップも大きく、倚天の剣などは12も武力が上昇するので、所有している武力87の曹操は99までになり、他の能力が全て90以上の曹操にとってはまさに鬼に金棒だ。


劉備が所有している雌雄一対の剣も武力が8上昇するため、武力79の劉備は87となり、ここまでの5作品の中では最も強い劉備となっている。


戦闘
III以降、戦闘はまず野戦から入り、攻城戦で城を陥落させる、というのが基本だったが、今回のVではガラリと戦闘を一新し、マップはかつてのHEX戦に近い2D画面となり、部隊は新たに陣形なるものが取り入れられた。

陣形は攻撃力、防御力、移動、そして海上などそれぞれに特化された陣形が用意されており、攻撃力の高い陣形で、かつ訓練度も最高ならば、武力が若干低くてもそれなりに戦うことが出来る。

ただいきなり全ての陣形が使える訳ではなく、大抵3つ程度しか使えないので、思い通りの陣形が組める訳ではない。



兵士は君主と軍師は20000人まで持てるが、それ以外の武将は勇名がないと将軍位が上げられず、将軍位のない武将だと8000人までしか持てないので、登録武将はかなり不利だ。

そしてこの戦闘で大きく役に立ってくれるのが、Vで初めて導入された「特別武将」たちだ。これは干吉仙人や左慈、司馬徽などの、三国志演義では君主に仕えることはなかった人物たちが指定されており、彼らは全ての陣形が使える他、妖術や仙術など並の武将には使えない特殊能力を持っているため、戦闘においてとても役に立ってくれるのだ。

特別武将はある程度月日が立つと勝手に野に下ってしまうため、仕官してきたらなるべくすぐに攻め込んでいくのが、このVにおける戦闘のセオリーといえる。


登録武将
この三國志Vでは、最大100人(SS版は50人)まで武将を登録出来る。

今回は君主と武将の製作時の違いはなく、能力も細かい所まで製作出来るようになっているのだが、やはり十字キーでの名前入力は面倒だし、能力も思い通りにするには根気が必要なので、武将作りはかなり大変だ。

また登録武将は勇名が0のため、ゲーム開始直後は将軍になれず最大8000人までしか兵士を持てないため、武力100の兵士でも戦場ではかなりの苦戦を強いられるだろう。よって新君主でのプレイ時は既成の君主よりも厳しい状況から開始されるが、それを乗り越えて中国を統一した時の気分はまた最高だ。



BGM
コーエーの作品のBGMは、ほとんど外部の方に製作をお願いしているが、正直な所BGMに関しての評価がそれほど高い作品というのはなかった。

だがTVドラマなどで活躍している服部隆之氏がBGMを担当している今回のVでは、ゲームとは関係なく単体のBGMとして聴いても素晴らしいBGMが多く、文句なくシリーズ中最高の出来となっている。

これら一部のBGMは、ゲーム音源とは別にCD-DAとしても収録されており、CDプレイヤーでじっくりと堪能出来るのも嬉しい所だ。





PS版とSS版
この「三國志V」は、先にSS版が発売され、その5ヶ月後にPS版が発売されたが、出来に関して言えば圧倒的にPS版の方が良い。

SS版は登録武将での顔グラフィック選択や、メイン画面でのウインドウ表示などの処理がとても遅く、ゲームの進行速度にかなりの影響を及ぼしている。

PS版はセーブに4ブロック取るため、セーブの時間がかかるのが難点だが、それ以外はSS版とは比較にならないほど速く、とても快適だ。




因みに余談だが、徳間書店のゲーム成績表ではSS版は23点とかなりの高得点だったのに対し、出来の良いPS版は20点程度だったのが個人的には気になった。

グラディウスDXパックもPS版の方が2点低かったし、どうもPSのユーザーは正統な評価が出来ていないような感じがしたため、この辺りの事なども当時の私がアンチPSに走ったきっかけのひとつだった。








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