全日本プロレス
FEATURING VIRTUA

SS セガ 1997年10月23日発売

5800円 CD-ROM

8方向移動 Aボタン 打撃
       Bボタン つかみ
      Cボタン 投げ



25周年記念
新日本プロレスのゲームは、PSでトミーから「闘魂烈伝」の名で発売され人気を博していたが、ライバル団体である全日本プロレスのゲームはSFCでメサイヤが発売したのみで、PS,SS時代ではなかなか発売されることはなかった。

そのようにゲームでも新日本が先行していたのだが、全日本プロレス旗揚げ25周年にあたる1997年10月に、ようやくセガサターン用ソフトとして、全日本プロレス公認のゲームである「全日本プロレス FEATURING VIRTUA」が発売されるに至った。




全日本プロレスは毎年10月には日本武道館で大会が開催されるのが恒例となっているのだが、このゲームはちょうど武道館大会と同じ頃に発売日が決定したため、この年の武道館大会で先行発売されるに至り、ファンはもちろん、レスラーやマスコミ関係者たちにも大好評を博した。


登場レスラー
レスラーは当時全日本のマット上で活躍していたトップレスラー10人に加え、バーチャファイターからウルフとジェフリーの2人が参戦し、後は隠しレスラーとして馳浩などが登場するようになっている。

開発バージョンではパトリオットもいたが、ゲーム発売直前になってWWFへ転出したため削除されてしまった。

バーチャキャラが2人追加されたというのは、プロレスファン以外にも遊んでもらいたい、という開発側の意向らしいが、プロレスファンからしてみればプロレスを知らない人間にプロレスゲームをプレイして欲しいとは全く思っていないことなので、これは本当に迷惑な話だ。

ジャイアント馬場さんと共に全日本を支え続けた、ジャンボ鶴田が登場していないということに関しても当時の雑誌が触れていたが、これは諸々の事情を考えたらやむをえない事だろう。

タッグマッチがなく、シングルマッチのみというのも、世界最強タッグを筆頭にタッグの面白さにも定評のある全日本プロレスだけに残念だが、サターンのポリゴン性能を考えたら仕方がない。

レスラーの動きに関しては、登場レスラー本人がモーションキャプチャリングを行っているため、三沢のタイガードライバー、小橋のストレッチボムなどが本物そのままに再現されている。

ただその分馬場さんの32文ロケット砲がゲーム中で登場しないのが残念だ。

馬場さんが最後にドロップキックを決めたのは'83年のことで、もちろんゲーム発売当時はすでにドロップキックはしていなかったために仕方がないことなのだが、やはり私たちの世代にとっては幻の必殺技なだけに、ゲームの中だけでも再現してもらいたかった、というのが本音だ。

グラフィックそのものは、レスラー以外にもロープや鉄柵などにもポリゴンが使われているため、全体的にグラフィックが荒いものの、60フレームで動作するため動き自体はいい感じだ。

キャプチャシーンの映像はゲーム中のデモで見ることが出来るが、それと一緒に過去の全日本プロレスの名シーンのムービーも収録されている。

またこの年の世界最強タッグから、当時の常連外人のひとりであったマスクマンのザ・ラクロスがマスクを脱ぎ、ウルフ・ホークフィールドへと変身したのもちょっとした話題となった。プロレス界にアニメのキャラクターが登場したことは何度かあるものの、ゲームキャラというのは初めてだっただけに、ゲーム好きのプロレスファンたちは仮想現実が現実になったことにかなり感慨深いものがあったものだ。


入場シーン
プロレスゲームとしては、初めてテーマ曲付きでの入場シーンが再現されたのも、このゲームの大きな売りのひとつだ。

テーマ曲付きとは言っても、VAPから発売されている曲のみが使われており、洋楽などを使っているレスラーに関してはセガサウンドチームが新たに作曲したものを使われているものの、やはり入場シーンはプロレスで最高の見せ場のひとつだけに、プロレスファンにはたまらないと言ったところだ。




因みに三沢のテーマ曲は会場使用の効果音入りバージョンではなく、ビクターの超世代軍テーマ曲集に収録されているバージョンである。


実況
実況は日本テレビの平川健太郎アナウンサーが行っている。

全日本プロレスの実況と言えば、やはり倉持隆夫さんか若林健治アナウンサーなのだが、平川アナも根っからのプロレスファンのため、実況そのものに関しては全く問題はない。

ただテレビのプロレス実況そのものをゲームで再現することはさすがに難しいようで、あくまでおまけ程度と言った所だろうか。



それでも普通にBGMを流しているだけのプロレスゲームよりも、遥かに臨場感が溢れていることは間違いないだろう。


コンボ
このゲームが他のプロレスゲームと比べて操作方法で特徴的と言える部分は、いわゆる対戦格闘ゲームで定番のコンボが取り入れられているということだ。

つまり、三沢に関して言えば、タイガードライバーは普通に組んでかけるのではなく、エルボー→組み→タイガードライバーといったように、連続技として完成するようになっているのである。

実際に三沢は顔面にエルボーの連打を行ってから、一気に相手の頭を下げてタイガードライバーへと繋ぐことが多いので、このシステムに関してはうまく全日本プロレスのプロレススタイルの特徴を再現したと言えるだろう。

ただこのシステムのおかげで、ゲーム感覚がプロレスゲームというよりも対戦格闘ゲームに近い感じがするのがファンにとっては複雑と言えば複雑だ。

最も全日本プロレスの四天王プロレス自体、他団体のファンから「あれはファミコンプロレス」と揶揄されていただけに、ゲームが格ゲーライクになってしまうのは仕方がないと言えば仕方がないというところか。

また各レスラーの必殺技は、ゲーム上部のスタミナゲージの下にある闘気ゲージがある一定以上になると使えるようになる。


投げよりも打撃を受けた方が早く溜まるので、うまく試合前半に打撃を食らうのがコツだ。

そして各レスラーにはスタミナ以外にも首や足首などにもダメージ設定がしてあり、これらのダメージ値が100%になると関節技でギブアップしたり、ノックアウト負けとなる。アイデアはいいとは思うのだが、全日本の試合では滅多にこのような結果にはならないだけに、ファンとしては不満があるシステムだった。

ゲージの真ん中にある青いゲージは観客のボルテージを現しており、これが高いほど試合後に人気ポイントが多く入るようになる。これはプロレスならではの、観客を魅了しながら闘わなければならない、ということをプレイヤーに対して示しているのだが、実際はただ大技を連発するだけで溜まっていくので、もうちょっと調整が必要だったかも知れない。


フィーチャリングモード
フィーチャリングモードというのは、プレイヤーがレスラーを新たに製作し、全日本プロレスのシリーズに参戦するというモードだ。

エディットレスラーに関しては名前に特徴があり、あらかじめ用意されたリングネームと、プレイヤー任意の名前を組み合わせるようになっている。

これは観客にプレイヤーのリングネームをコールさせるためのシステムなのだが、やはり完全にプレイヤーのお気に入りのリングネームを付けることが出来ないのは残念だ。


そして作りたてのエディットレスラーは当然弱く、技もロクに使うことが出来ないのだが、それ以上に辛いのは1Pモードに比べるといくらスタミナが切れている状態でダメージを与えても、なかなかフォールが取れないことだ。

このためスタミナがなくなっている状態でも、何度も何度も大技をかけなければならないため、プレイヤーとしては非常にイライラするシステムだ。

相手に勝利すればポイントを獲得でき、新たな技を使えるようになるのだが、技のポイントというのがかなり高いため、1〜2回勝利しただけではロクな技を獲得することが出来ない。

それでは辛いことばかりのような気がするが、実際はバックドロップのように強力な技がひとつあれば相手に勝つことが出来るので、不要な技は全て外してポイントを溜め、強力な技のみ選択していくだけでいい。

そうしてポイントを溜めていき、コンボ技のデンジャラスバックドロップと卍固めが使えるようしてしまえばあとはほとんど無敵だ。

まず前半で打撃を食らって闘気ゲージを増やし、デンジャラスバックドロップが使えるようになったら首ダメージが100%になるまでダメージを与えていく。


そうすれば首を極める関節技で一気にギブアップが取れるので、すかさずコンボからの卍固めをかければ勝つことが出来る。

普通にフォール勝ちするとかなりの時間がかかるが、この方法だと短時間で勝利することが出来るし、必ず自分に対するボルテージも最高となるので、この2つの技を覚えてしまえばかなり楽にゲームを進めることが出来るだろう。

プロレスの美しさのかけらもみられない勝ち方だが、やはりゲームである以上相手の技を食らうと腹が立つので、こうなってしまうのは仕方がない。なかなか勝てないことに文句をたれている人が多いが、もうちょっと考えてプレイして欲しいものだ。



ゲーム成績表
キャラクタ 音楽 操作性 熱中度 お買得度 オリジナリティ 総合
4.15 3.44 3.75 3.97 3.70 3.83 22.83



PLAYSTATION AND SEGASATURN FOREVER 90's

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