ナイトストライカー

タイトー 1989年7月発売

特殊大型筐体

横画面 3Dシューティング

アナログ操縦桿による8方向移動

   ボタン1:連射ショット
ボタン2:誘導弾



夜の街を駆け抜けろ
「ナイトストライカー」は89年にタイトーが発売した、特殊大型筐体を使用した3Dスクロールシューティングゲーム。

当時最高レベルの性能を誇った基板を使用し、開発者たちの並々ならぬ意欲がこのナイトストライカーの開発に注がれた、というエピソードからもわかるよう、大ヒットを約束され発売されたゲームだった。

だがその期待とは裏腹に、大型筐体とはいえ国内でわずか304台しか生産されなかったため出回りが非常に悪く、さらにレバーが壊れやすいなどのオペレーター泣かせの欠点もあったため、結局ヒット作とはほど遠い結果となってしまった。



そして発売して間もなく「ダライアスII」が発表され、プレイヤーの興味がそちらに以降したこともあり「ナイトストライカー」の役目はわずかな期間でゲームセンターでの役目を終えつつあったかに見えた。

しかし−一部の上級プレイヤーたちによる、ゲームプレイを芸術の域にまで高めたと言われるオールパシフィストボーナスプレイ、そしてゲーム史上に残るあまりにも素晴らしいVGMなどが評判から評判を呼び、いつしか熱狂的なファンたちがこのゲームには付いていくようになっていった。

91年発売の「ザ・ベストゲーム」では、並み居る名作を押さえ4位という高順位を獲得し人気もピークを向かえ、駄作と言うレッテルを貼られるほどの地位から一転し、発売から15年経とうとしている今なおその名は色あせることのない、ゲーム史上に燦然と輝く伝説的存在の名作となったのである。





特殊筐体
前述したよう、この「ナイトストライカー」は基板売りではなく、専用の大型筐体に組み込まれて発売された。

結果的にはその筐体のでかさがネックとなって数が出回らなかった訳だが、大型なぶんナイストの世界観をよりいっそう盛り上げてくれる作りとなっているのが特徴だ。

操作は操縦桿型レバーで操作し、前に倒して下降、引いて上昇させ、操縦桿に付いているボタンを押せば連射ショットを撃つ事が出来る。レバーの両横にはボタンが付いており、こちらは単発だがレバーを動かしながらショットを連射することによって誘導弾が発射可能だ。



筐体は稼動式ではないので、自機によってシートが左右に動いたりすることは一切ないが、シートの横に付いているレバーを動かすことにより、シートの位置を前後に動かしプレイしやすい位置に調節することなどは出来る。スピーカーは前後2つずつの計4つ付いており、サラウンド効果満点なのはもちろん、ボディソニックも付いているので、大迫力のVGMとサウンドを堪能出来るだろう。

そしてこの筐体の最大の特徴は、モニターの上左右の3面に白いパネルが付いており、ゲーム中にプレイの状態によって青い光が点滅し、ダメージを受けると赤く光るという、通称ライトストリームシステムなるシステムが採用されている。ゲーム中は画面に集中することもあり、個人的にはそれほど意味があるものとは思えなかったが、暗いゲーセンであればその効果は十分に堪能出来たのかもしれない。


至高のVGM
そしてやはりナイトストライカーを語る上で絶対に欠かすことの出来ないのが、そのあまりにも素晴らしいVGMだ。

そのVGMの素晴らしさを語る上のエピソードと言えば、ゲーメスト大賞の対象ゲームとなった89年度のVGM大賞では筐体の出回りの少なさが響いたか4位だったものの、翌年のアルバム大賞では249ポイントを記録しダントツの1位に輝いたことだ。

しかも単なる1位ではなく、同年のVGM大賞に輝いたグラディウスIIIのアルバムに149ポイントの大差を付けての1位となったのだから、いかにナイストのVGMの出来が群を抜いて素晴らしいものであったかがわかってもらえるだろう。



この事によりVGMからナイトストライカーの世界に引き込まれていったプレイヤーの数は数知れず、めざせハイスコアでの超ハイレベルなスコア争いが続いていったことなどもあって、このナイトストライカーはマニアックなシューティングというイメージから一気に超名作としての地位を築いていくこととなった。音源そのものは今聴くとさすがに貧弱なのは否めないが、全体的に渋めのメロディで構成されたVGMはとにかく格好良いの一言で、一度聴いたら何度も繰り返して聴いてしまうことだろう。

どのVGMも素晴らしいのだが、特に市街、運河・ビル街、空中、海上、トンネル、そして最終ボスのVGMは屈指の名曲であり、特に最終ボスのVGMはあのダライアスの最終ボスVGMとはまた違った感覚で最後の決戦を大いに盛り上げてくれる実に格好良い名曲だ。


パシフィストボーナス
このナイトストライカーはスコアの設定がとても良く出来ており、地上走行時は1フレームにつき空中走行時の11倍の110点、運河ステージの26本の10万点パイプ抜け、ステージ終了後のシールドやボスのタイムボーナス、そしてステージの敵を全滅させた時のワイプアウトボーナスの100万点など、実にプレイヤーを熱くさせるボーナスが多く設定されているのだが、その中で最大のボーナスとなっているのが「パシフィストボーナス」だ。

これはインストカードにはない隠しボーナスであり、1ステージをノーショット、ノーダメージでクリアすると最高で2000万点ものボーナスが入ると言う、スコア争いには絶対に欠かすことの出来ないボーナスだ。



「シューティングゲーム=ショットで敵を破壊する」という絶対的な概念の完全な逆を行っているボーナスであり、それだけにオールパシフィストボーナスの難易度も相当なものがあるが、超一流プレイヤーのパシフィストプレイはまさに芸術の一言であり、ゲーム史上これほどまでに観るものを魅了するプレイが可能なゲームはそうはないだろう。このナイトストライカーのスコア争いは発売から2年以上も更新されていき、ナイストプレイヤーの桧舞台と言えたハイテクノーベル神保町では毎月のように超ハイレベルのスコア争いが行われていたものだ。





個人的な思い出
私がナイトストライカーというゲームを知ったのは遅く、発売から2年が経とうとしている頃で、ザ・ベストゲームを購入した時です。

ベスト10以内に入ったゲームとしては唯一家庭用に移植されていないゲームということもあり、情報もほとんど知りませんでしたので、どうしてグラディウスよりも順位が上なのか不思議でしたね。

ゲーメスト本誌ではまだハイスコアは更新され続けており、またキングレコードからビデオが発売されるということもあって静かに盛り上がってはいたのですが、近くに筐体がないということもあり私の関心は低いままでした。


翌年になり、ゲーメストの91年2月号のゲーメスト大賞号を購入し、ナイトストライカー収録の「ダライアスII」のアルバムが私の思い出のVGMである「グラディウスIII」のアルバムに大差を付けて1位に輝いていたのを知った時に、私は初めてこのナイトストライカーを意識し始めました。

あのグラIII以上のVGMとなれば聴かない訳にも行かず、早速私は「ダライアスII」のアルバムを購入していきました。

私はプレイしたことのないゲームのVGMはほとんど購入したことはなかったのですが、このナイトストライカーのあまりにも格好良いVGMに私は完全に魅了され、購入したその日から1週間アルバムをかけっぱなしにするほど聴き惚れたものです。


これほどまでに聴いたのはグラIIIやストII以来だったと思いますが、これらはゲームが好きでアルバムを購入していったのに対し、ナイストに関しては筐体すら見た事のない時点であった事からも、どれほど私がナイストのVGMに惹かれていったかがわかってもらえると思います。

しかしその肝心の筐体はさすがに近所にはなく、都心に行った時にもなかったのでプレイするのはもはや無理かな、と思っていた矢先の翌年2月、本厚木のアルファルファという地下のゲーセンにナイストが置いてあるのを見つけました。





もちろんすぐさまコインを入れプレイしていきましたが、私は特殊操作の筐体はアウトラン程度しかプレイしたことがなく、3Dシューティング自体初めてだったものですから、やはり操縦桿を用いた倒して下降、引いて上昇という操作方法に慣れるのはかなり苦労した覚えがありますね。

当然画面上を大きく回って弾をよけるという攻略法も知りませんでしたし、私にとってはかなり難しく感じたものですが、それ以上にゲームとしての魅力が素晴らしいものだったため、本当に時間を忘れてプレイしていったものです。

筐体は比較的綺麗でしたが、やはりレバーのメンテが良くなく、折角電車で店に来てもメンテ不調でプレイ出来ないまま帰る羽目になった時もありましたので、その時は本当にがっかりしたものです。

因みにそのゲーセンには比較的古いゲームが置いてあり、私好みのゲームも多く置いてあったのですが、それらの中に1941も置いてあり、ナイストのプレイの後などにプレイしていくようになりました。

こちらのプレイはナイストとは対照的に楽々進み、わずか6プレイ目で1コインクリアしてしまいました。

目当てのゲームよりも先にクリアしてしまったのは不思議な感じもしましたが、ナイストの方はなかなかクリアにまで至らず、1ヶ月に7回通いつめてようやく1コインクリアを達成することが出来ました。





あとがき

グラIIIと同列ながら、こちらは対照的に上手い文章が浮かばなかった事と、画像を収める事の大変さからなかなか製作がはかどりませんでした。本ページはゲーム紹介を中心にそれなりに埋まりましたが、やはりステージ紹介があまりにも大変であり途中で中断してしまいましたので、公開まで実に1年以上も費やしてしまいました。





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