グラディウスIII

SFC版 コナミ 1990年12月21日発売

7800円 4MbitROM

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コナミ SFCソフト第1弾
1990年の下半期は、それまで謎に包まれていたファミコンの次世代機である、スーパーファミコンがいよいよその姿を現し始めた頃で、当時の家庭用雑誌や家庭用ユーザーの話題は、ほとんどそのSFCのことで占められていた。

しかし、いかに性能が優れたハードとは言っても、ソフトがなければただの箱だけあって、やはり新ハードの発売時というのはハードそのものよりも、一体どういうゲームがリリースされていくのかの方が遥かに重要なことは今も昔も同じこと。





ハード発売元の任天堂は自社の大看板ソフトであるスーパーマリオの第4作目と、F-ZEROなる未来を舞台にしたレースゲームを本体の発売日に用意してきたが、やはり過去の例を見るまでもなく、新ハードを牽引するためにはアーケードのビッグタイトルが必要不可欠だ。

そこで白羽の矢が立ったのが、カプコンのファイナルファイトであり、コナミのグラディウスIIIの2つのビッグタイトルだった。

この2作は発売前から雑誌で大きく取り上げられ、ユーザーからも絶大なる期待を受けて発売されたのだが、いかにSFCとはいえ、当時のアーケードゲームをそのまま移植するのは難しく、両作品ともアーケード版とはほど遠い出来となってしまった。


しかし、どちらとも忠実に移植はなされていない、という点こそ同じなものの、ファイナルファイトは単純にハードの性能が追いつかない、ということに対して、グラディウスIIIの方はグラフィック的には何ら問題はなく、誰の目から見てもアーケード版に近付ける出来にすることは明らかだったのに、まるで別のゲームであるかのような出来として発売されてしまったのである。

そのためアーケード版のファンからはかなりの不評を買ってしまったわけだが、SFCというハードの特性や、当時のコナミの事情を考えると、このような移植にせざるを得なかった「事情」がはっきりと見えてくることがわかる。


当時の背景
上記で解説したように、新ハードを牽引するためにはアーケードのビッグタイトルの移植が必要不可欠な訳で、アーケードメーカーの雄のひとつであるコナミとしては、1作目にオリジナルのゲームを持ってくるよりも、やはり自社の大看板ソフトである、グラディウスIIIを持ってくるのは当然の選択であると言えるだろう。

しかし、ご存知のようにアーケード版のグラディウスIIIというゲームは一部のマニアにこそ絶大な支持を受けたものの、大半のゲーマーはその常軌を逸脱した異常な難易度に対して猛烈なバッシングを行い一般的な意見としては駄作という意見が大方を占めていた。




ただアーケードゲームというのは、誰もがクリア出来るようなゲームでは商売にならないし、また本当にシューティングが好きな人だけをターゲットに出来るため、ある程度ユーザーを突き放しても許される部分もあるので、いかにグラディウスIIIの難易度が高かろうとメーカー的にはさほどダメージを受けることはなかった。

しかし、家庭用ソフトというのは、高いお金を払って購入してもらう以上、メーカーとしてはユーザーに絶対にゲームを楽しんでもらわなければならない、という義務があるため、同じビデオゲームでありながら、アーケードゲームと同じコンセプトで発売することなどは絶対に出来ない。



そして1度でもユーザーを失望させてしまうと、実際にプレイするまで面白いか判断の出来ない家庭用ゲームの特性がある限り、どんなにメーカーが自信を持って発売したゲームでも、失望したユーザーを再び振り向かせることはとても長い時間がかかってしまうのである。

当時のコナミは現在のパワプロや音ゲーのように、家庭用では確実にヒットを狙えるコンテンツがなく、ミリオンヒットもファミコンのグラディウスを最後に4年間遠ざかっていたため、大事な大事な新ハードの1作目で、家庭用ユーザーの信頼を裏切ることだけは絶対に避けなければならなかった、ということは容易に想像出来る。




それなら、グラディウスIIIに関してだけ言えば、難易度さえ選択出来るようにすれば、他はアーケードを忠実に移植してもいいじゃないか、という考え方も出来るのだが、やはりコナミとしてみれば、アーケード版があれだけ酷評されてしまうと、いかに難易度を選択出来ようと、アーケード版で絶望したプレイヤーを呼び戻すことは出来ず、結果的にセールスにマイナスの影響が出るのは必至であると考えたのだろう。

上記のような理由などから、このSFC版グラディウスIIIは、アーケードゲーマーからの反発を買ってまでも、アーケード版をそのまま移植して発売することは出来なかったのだろう。


SFC版の特徴
このSFC版グラディウスIIIも、レーザーやフォースフィールドが点滅状態になっていたり、リップルが弱かったり、オプションの間隔が狭くなっていたりするなど、それまでのファミコン版の沙羅曼蛇やグラディウスIIの特徴を受け継いでいる。

しかし、これらの特徴はハードの制約が厳しいファミコン版だから生まれたものであり、ファミコンよりも遥かに性能の高いSFC版ではアーケード版をそのまま再現していても大丈夫だったはずだ。

確かにスプライトの最大表示数が128個というのは当時のアーケード基板からすると少ないかもしれないが、自機にスプライトを多く使う代わりに、背景の星やボスキャラをBGで表現すれば、スプライトが128個でも十分チラつきを抑えることが出来ただろう。

比較的作りづらいと言われたSFCというハードで、しかも前例のない新ハードの1作目ということで、その辺りの苦労はわかるのだが、やはり当時コナミ最大のビッグネームであったグラディウスシリーズの新作であった以上、ゲームボーイのネメシスのようにハードにある程度こなれてからの製作がベストだったのではないか。

リップルの弱さや、オプションの間隔の狭さは、ファミコン版のスタッフが関わっていたためと考えられるが、オプションの間隔はともかく、ランクがARCADEだと2面ボスが全く倒せないリップルの弱さは致命的だ。

上記に上げた点以外にも、ミサイルが連射不可能になっていたり、上下どちらかの端に方向キーを入れっぱなしにしても、自機がすぐに水平になってしまうという部分なども気になるところだ。

ある程度グラディウスをプレイしている人間であれば、これらの違いはすぐに気が付く部分なだけに、何故このまま発売されたのか不思議で仕方がない。以上のようにコアなファンにとてはかなり粗が目立つ出来となっているのだが、それらの違いがわからないシリーズにあまり馴染みのないユーザーから見ればかなり楽しめる出来になっているため、一般的な評価は非常に高くSFCのキラーソフトの役割りは十分に果たしていた。


個人的な思い出
SFCの発売が間近になった当時のファミコン雑誌は、やはりほとんどがハードと同時発売のスーパーマリオワールドを中心として特集していましたが、このSFC版グラディウスIIIもアーケードのビッグタイトルの移植だけあって、ファミマガの付録などでもトップ記事で扱われていましたね。

私はちょうど当時ファミコン版のグラディウスIIをプレイしており、必然的にSFC版のグラIIIの記事も熱心に読んでいましたので、SFCを買った暁には絶対に買うと決めていました。





90年内にSFC本体を購入することはかないませんでしたが、近所のお店に設置されていたSFC内蔵TVで、初めて画面を見ることは出来ました。SFCのゲームそのものを画面で実際に見たのもその時だったのですが、さすがに良くてPCEの画面しか知らなかった私にとってはえらく美しい画面に思えたものです。

ハード発売から3ヵ月後、本厚木の某ショップでようやくSFC本体の予約をした私は、直後に近所の店でSFC版グラIIIを購入したのですが、後にも先にもハードより先にソフトを購入したのはこの時だけです。

1週間後にSFCを無事購入すると、本体と同時にF-ZEROも購入したのですが、最初にプレイしたのはSFC版グラIIIだったものの、F-ZEROに瞬く間にハマッてしまったため、しばらくSFC版グラIIIはプレイしませんでした。

F-ZEROも一段落した頃になってから、ようやくSFC版グラIIIをプレイしていったのですが、あれほど苦労したファミコン版グラIIとは異なり、このSFC版グラIIIはNORMAL、HARD、そしてARCADEと順調にクリアしていきました。以上のようにかなりプレイはしていたのですが、直後にアーケード版をプレイするとあまりの違いに愕然とし、同時にSFC版グラIIIには何の魅力も感じることが出来なくなってしまいましたので、以降SFC版のグラIIIをプレイすることはほとんどなくなってしまいました。


あとがき

アーケード版が特別的存在の私にとっては、正直な事を言えば本当はSFC版は否定派です。ただ不特定多数の方が閲覧する以上、当然ファンの人の心情も考えなくてはならないため、個人的感情は出来るだけ避け自分なりに当時の時代背景を色々思い出し、何故SFC版がこのような形になったのかを解説すると言う形に持っていく事にしました。そう考えて導いた結論が現在の文章です。もちろんコナミがどのような考えだったのかは知る由もありませんが、否定派の方たちにもわかってもらえる文章には仕上がったかな、と思っています。

攻略は最初は製作するつもりはなかったと思うのですが、アーケード版とは別ゲーム扱いにしたため紹介だけでは物足りないと思いましたので、製作に踏み切りました。たださすがにそれほど凝るつもりもありませんでしたので、今サイトとしては初めて1ページに複数のステージをまとめました。


ゲーム成績表
キャラクタ 音楽 操作性 熱中度 お買得度 オリジナリティ 総合
4.00 4.43 4.26 4.25 3.96 3.71 24.61






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