10年ぶりの続編 |
この「沙羅曼蛇2」は、その名の通り'86年に発売された「沙羅曼蛇」の続編。
まさか沙羅曼蛇の発売から10年近く経った頃に、続編が発売されるとは誰もが予想しえなかっただけに、当時のプレイヤーは一様に驚いたことだろう。
アーケードでも家庭用でも、10年ぶりに続編が製作された例は滅多になかったため、当時よりも遥かに進化したハードで作られる続編は、一体どのような作品に仕上がるのかとても注目された。当然あの「沙羅曼蛇」の続編と来れば、ほとんどの人が過剰なまでの期待をこのゲームに抱いたものだが、コナミは結局そのプレイヤーの気持ちを大きく裏切る形となってしまった。
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ゲーム内容 |
プレイヤーは1P側のビックバイパーか、2P側のスーパーコブラのどちらかを選択し、全6面をクリアしていくのが目的で、もちろん2人同時プレイも可能だ。
パワーアップは前作同様パワーアップアイテムを得ることによってパワーアップを行うが、新たに地形を進んでいくノーマルミサイルとツインレーザーが加わり、各パワーアップは2段階にパワーアップするようになっている。
2段階目のパワーアップは、単に威力が変わるだけではなく、グラフィックも変化し、ボイスも別のものとなっているという凝りようだ。
レーザーは新たにツインレーザーが加わり、3種類の中から選択出来るようになっているが、従来のレーザーはファミコン版のグラIIや沙羅曼蛇に使い勝手が似ており、当然長さが短く、威力もかなり弱くなってしまっているので、ツインかリップルを中心に進んでいくようにする。
威力はツインが最強だが、判定はリップルの方が大きいので、初心者は道中はリップル、ボス戦はツインというように進んでいけば楽だろう。
そして沙羅曼蛇2の一番の特徴は、オプションを飛ばして敵にダメージを与える、オプションシュートという攻撃だろう。これはオプションが1つでも付いている時に、オプションシュートのボタンを押すと、一番近くの敵に向かってオプションが飛び、敵にかなりのダメージを与えることが出来るというものだ。
飛んでいったオプションは、回収するとこれまた沙羅曼蛇2独特の要素である、オプションシードに変化し、もうひとつオプションシードを取るまで自機の周りを回転しながら自動的にショットを撃ってくれる。オプションそのものに攻撃判定が生まれ、敵にダメージを与えることが出来るのはこの沙羅曼蛇2が初めてだが、個人的にはグラディウスのオプションとはやや異なった趣が感じられたため、このシステムは好きではなかった。
また第2ボタンがオプションシュートボタンと指定されているため、ショットとミサイルが兼用ボタンとなっているのだが、プレイに特に支障はないとは言え、これも私は家庭用っぽくて嫌だった。
面数は前作と同じ全6面だが、スクロールの構成は異なっており、横スクロールが1、3、4、5面、縦スクロールが2、6面というように、横中心の構成となっている。周回数はループではなく、当時のほとんどのゲームの例にならって全2周エンドとなっている。
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シリーズ上の位置付け |
この「沙羅曼蛇2」は、最初に解説したように、読んで字のごとく「沙羅曼蛇」の正式な続編として発売されたゲームであるのだが、グラディウスシリーズにそれなりの影響を受けてきたプレイヤーであれば、素直に続編としては受け入れられないものがあったはずだ。
前作「沙羅曼蛇」は、コナミが認める正式な「グラディウスシリーズの第2弾」であり、その後は第3弾ライフフォース、第4弾がグラディウスII、そして第5弾がグラディウスIIIという形で発売されてきたのはご存知の通りだ。
つまり沙羅曼蛇の続編というのは、すでにグラディウスIIとして正式に定められている訳で、沙羅曼蛇に2の名を冠する続編というのは筋道として考えられなかったからだ。
そしてかつてグラディウスシリーズの第6弾として数えられていた「パロディウスだ!」が、極パロ以降パロディウスシリーズとしてグラディウスから独立した前例から、当時を知らないプレイヤーたちは、沙羅曼蛇をグラディウスシリーズとは別のものとしてとらえてしまうのではないか、という新たな危惧も生まれた。
実際に最近のプレイヤーは、沙羅曼蛇をグラディウスとは別のシリーズとしてとらえているプレイヤーが多く、沙羅曼蛇をグラディウスシリーズの続編として当たり前のようにとらえてきた私にとっては、正直なところ非常にがっかりさせられたものだ。
その後コナミマガジンにおいて、沙羅曼蛇はグラディウスシリーズである、ということがコナミによって正式に発表された時は、ホッとしたファンも多かったことだろう。
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グラディウスとしての魅力 |
以上のように、前作「沙羅曼蛇」がグラディウスシリーズの続編として現在のプレイヤーたちも知ることとなったのは良かったのだが、この「沙羅曼蛇2」に関しては、個人的な感情としては素直にグラディウスシリーズの第6弾としては認めたくはなかった。
「グラディウス」というゲームは、横シュー史上のみならず、アーケードゲーム史上に燦然と輝く不滅の名作であり、アーケードゲーム業界全体に与えた影響も計り知れないものがあるほどの伝説的名作だ。
当時のアーケードゲーマーたちは誰もがその素晴らしいゲーム性に惹かれ、コインを湯水のように注ぎ込み、時を忘れてプレイし続けていった記憶のあるプレイヤーも多いことだろう。
その後発売された続編も、グラディウスの名に恥じないどころかプレイヤーの予想を遥かに上回る素晴らしい作品が発売されていき、唯一非難を浴びたグラIIIでさえ、熱狂的なファンが付いている以上プレイヤーを引き付ける魅力があることは否定出来ない。
そのように、グラディウスシリーズには他のゲームとは明らかに異なる「カリスマ性」が備わっていた訳だが、残念ながらこの「沙羅曼蛇2」にはその「カリスマ性」を全く感じることは出来なかった。
文字だけのパワーアップ、マルチプルでないオプション、ありがちでまるで独創性のないステージ、背景が1枚の2面、格好悪いボス、そして伝統を破り攻撃してくる最終ボスなど、とてもグラディウスの続編の域として認められるレベルまで達していないのだ。
ひとつのシューティングゲームとして見ればそこそこプレイ出来るレベルではないか、という意見もあり、個人的にもそれには同意するのだが、正直な所、グラディウスのシステムが完成されている以上、そのシステムをそのまま取り入れてしまえば、ある程度適当に作ろうとプレイ出来るレベルにはなる訳で、それは沙羅曼蛇2の魅力ではないだろう。
BGMが良かったのは救いだが、この「沙羅曼蛇2」のゲームとしてのレベルは当時のプレイヤーたちも素直に感じたようで、年末のゲーメスト大賞のベストシューティング賞には、コナミのシューティングとしては初めて10位に入賞することすら出来なかった。
確かに'96年度のシューティングは、レイストームやバトルガレッガ、蒼穹紅蓮隊やゲーム天国など今でも十分プレイ出来る名作が発売されてはいたものの、常にベストシューティング賞に入賞を果たしてきたコナミのシューティングとしては、あまりに不名誉な結果ではないか。
翌年、コナミは名誉挽回とばかりに、PSで初の家庭用オリジナルのグラディウスである「グラディウス外伝」を発売し、ある程度プレイヤーの支持を取り戻すことに成功したが、肝心のアーケード版の正式な続編である「グラディウスIV」は、またしてもプレイヤーの非難を浴びる格好となり、以来アーケードではシューティングは発売していない。
今となっては、コナミが「横スクロールシューティングの王者」の名を不動のものにしていた時代が懐かしい限りだが、その名が崩れ始めたきっかけとなった作品が、この「沙羅曼蛇2」だったのかもしれない。
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個人的な思い出 |
私がこのゲームが発売されることを知ったのは、たまたまコンビニに置いてあったゲーメストの表紙を見たのがきっかけでした。
当時はゲーメストはおろか、家庭用のゲーム雑誌もほとんど読んでいない頃でしたが、表紙に「沙羅曼蛇2」の文字が書いてあったのを見た私は、すかさず手を取りましたね。
そのゲーメストでは、発売バージョンの6面の画面写真が載っているのを見た記憶がありましたが、面白そうだとは思っていても、どうしてもアーケードゲームには気乗りがしない時期でしたから、ゲーメストを購入することもなく、ああ、そうなんだ、ぐらいしか思いませんでした。
'96年の2月になって、昔良く行っていた駅前のゲーセンに行き、沙羅曼蛇2が置いてあるのを見た私は、とりあえずプレイしてみたのですが、いまいち気が入らず、2面でゲームオーバーになってしまいました。
数日後、町田のプレイランドいこいに、セガの50インチのSUPER MEGALO筐体に沙羅曼蛇2が設置されているのを見た私は、こんな機会はないだろうと思いつつプレイしていったのですが、4機設定ということもあり気楽に進め、あっさりと最終ボスまで辿り着いてしまったのです。
これは1941の6回を破る、シューティング自己最速の2回目で1周なるか、と思ったのですが、大勢のギャラリーに囲まれているのを知った私はさすがに緊張し、最終ボスで果ててしまいました。
ゲーマー時代はギャラリーが付くのは嬉しいものがありましたが、当時はすでに一般人でしたので、ちょっと集中し辛く感じてしまい、駄目でしたね。それからは沙羅曼蛇2目当てにちょくちょくゲーセンに行くようにはなったのですが、さすがに2回目でそれなりに進めてしまったため気が入らず、ゲーメストの攻略も読んでいませんでしたので、ろくに進めないプレイが続いてしまい、あっさりとプレイするのをやめてしまいました。
翌年SSの「沙羅曼蛇 DELUXE PACK PLUS」を購入し、ようやく1周はクリア出来たのですが、家庭用で沙羅曼蛇2がプレイ出来ることよりも、サウンドテストが付いていることの方が嬉しかったものです。
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あとがき
今作で最も伝えたかったテーマは、やはり何と言っても「沙羅曼蛇はグラディウスシリーズである」に尽きます。魅力に付いては正直今でも書きすぎたかな、と思っているのですが、やはりゲーメスト大賞などでも結果が出てしまっているので、このような形になってしまうのは仕方ないと思っています。
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