沙羅曼蛇

コナミ 1986年7月4日発売

横画面 横・縦交互スクロール

8方向レバー 自機の8方向移動

ボタン1:ショット
ボタン2:ミサイル



グラディウスシリーズ第2弾
前年に発売され、ビデオゲーム史に永久にその名を残すこととなったグラディウスの第2作目だ。

しかし、2作目でありながらグラディウスの名にそのまま2という冠は付けられておらず、沙羅曼蛇という前作とは何ら関わりのない名称を付けられていることからもわかるように、グラディウスの流れは組んでいながらも、オリジナルの要素がかなり強められており、ゲームの続編としてはかなり珍しい部類に入るだろう。

この辺りは賛否両論あるところなのだが、個人的には前作が大ヒットしたからといって驕ることはせず、新たなシステムをどんどん取り入れていくというその前向きな姿勢は、評価されてしかるべきだと思う。


そしてこの沙羅曼蛇も、前作の輝きに負けることなく大ヒットを記録し、発売から18年経った今でも根強い人気を誇るほどの名作となった。


沙羅曼蛇というゲームの独創性
この沙羅慢蛇と前作のグラディウスを比較した時、一番の違いというのは、やはり死んでも一定の場所まで戻されるということはなく、その場から再び自機が出現してゲームが続行されていく、という部分だろう。

今ではほぼ全てのシューティングゲームが取り入れているため、最近のゲームしか知らない人たちにとってはすっかりお馴染みのシステムなのだが、当時は死んだら戻されて復活していくというのが当たり前だったので、この沙羅曼蛇の復活システムは極めて珍しいものだった。

それでは一体何故沙羅曼蛇がこのようなシステムを取り入れたのか、という疑問が浮かんでくるのだが、これは前作グラディウスで復活パターンが広まり、エンドレスプレイヤーが続出してしまった、ということに尽きるだろう。

アーケードゲームの長時間プレイというのはゼビウス時代からあったもので、別にグラディウスから始まった訳ではないのだが、グラディウスが発売された3ヶ月ほど前から新風営法が施行され、ゲームセンターの24時間営業が禁止されたのと時期が重なってしまったことが、沙羅曼蛇の難易度高騰の大きなきっかけのひとつとなったのだろうか。

ゲームセンターは夜12時に絶対に店を閉めなければならないとなると、当然インカムにも大きく影響してしまい、上級プレイヤーにひとつの台を1コインで長時間占領されてしまうと、オペレーターにとっては死活問題となってしまう訳で、その辺りの事情から沙羅曼蛇がこのようなシステムを取り入れるきっかけとなったと推察される。



ただ、復活が困難になったというだけでは、ゲームが上手くない人はすぐに諦めてしまうため、そうなってしまうと結局マニアだけのものになってしまいインカムが上がらない、という状況にも陥りかねない。

そのため、スコアではエクステンドせず、残機を増やしたければコインを入れてくださいという、非常に嫌らしいシステムを導入し、長時間プレイから生まれるインカムの減少をなくそうとしていった。私はリアルタイムで沙羅曼蛇の発売当時のことは体験していないので、これらのシステムが成功したのかはわからないが、このエクステンド方式はバージョン違いと言えるライフフォースではカットされたことを考えると、さすがにゲーマーの不評を買ったのであろう。

その場から復活する方式はライフフォースでも受け継がれたが、以後発売されたグラディウスシリーズを含むほとんどのシューティングは、戻される方式を取り入れていたため、その場から復活する沙羅曼蛇復活のシューティングはほとんど見ることはなかった。

しかし'92年、この沙羅曼蛇復活を取り入れたソニックウイングスが大ヒットを記録すると、その後発売されるシューティングのほとんどがこのその場から復活する方式を取り入れ、逆にそれまで主流だった戻されて復活するシューティングはほとんどみられなくなっていった。はじめはマイナーなシステムでありながら、長い年月をかけていきながらシューティングのスタンダードと登りつめていったというのは、アーケードゲームの歴史の中でも異例のことであろう。


縦横交互スクロール
そして沙羅曼蛇といえば絶対に欠かすことの出来ないことが、やはり奇数面が横、偶数面が縦にスクロールするというように、スクロールの方向が交互に縦横に入れ替わるというシステムだろう。

横画面のゲームなので、当然縦スクロール面は横画面のままプレイすることになるのだが、アーケードゲームで縦にスクロールするというゲームはほぼ100%縦画面でプレイするようになっているので、横画面縦スクロールというのはアーケードではまず見ることは出来なかった。

さらに縦スクロールというのはほとんどの場合、地形という要素がないのだが、この沙羅曼蛇では横スクロールと変わらずに、縦スクロール面でも地形を取り入れていた。


その後ドラゴンスピリットやイメージファイトなどの地形ありの縦シューが発売されたが、そのようなゲームは少なからず沙羅曼蛇の影響を受けていると言っていいだろう。

それでも縦スクロールのゲームは縦画面というシステムはずっと続いていったが、90年代後半にアーケードと家庭用の互換基板が発売されるようになると、家庭用への移植を前提とした縦シューは横画面で開発されることが多くなっていき、アーケードでもようやく沙羅曼蛇に続く横画面縦スクロールシューティングが発売され始めていった。

横シューが激減した代わりに横画面縦シューが増えていったというのは何とも皮肉な話なのだが、沙羅曼蛇のファンの開発者によってレイディアントシルバーガンのような超名作が誕生していったことなどを考えると、これはこれでよし、と考えるべきであろう。

ただ弾幕系の縦シューはやはり縦画面でないと辛い部分があるので、家庭用でプレイしにくくなってしまっても、やはりアーケードでは縦画面でリリースしていって欲しいものだ。


ステレオサウンド
この沙羅曼蛇というゲームは非常に革新的なゲームと言える作品ということはこれまで書いてきたことからもわかると思うが、それはサウンドの部分にまでも活かされていた。

ゲームのサウンドと言えばモノラルが当たり前だった時代に、左右の音の数こそ少ないものの、ステレオサウンドを実現し、プレイヤーはそれまでのゲームでは体験出来なかった迫力を体験することが出来た。

もちろん当時主流のテーブル筐体ではその迫力は十分に伝わることはないため、沙羅曼蛇はコンパネの左右斜め下にステレオスピーカーが設置されている、沙羅曼蛇筐体という専用の筐体に内蔵され発売されていた。


アーケードゲームで筐体売りのゲームは基本的に体感ゲームのみで、テーブルゲームが筐体売りされることというのはコストの問題もあってかなり珍しいため、それだけでもコナミがいかに沙羅曼蛇というゲームに自信があったかがうかがえる。

ただ筐体売りだったため、汎用型の筐体に設置することは難しいとオペレーターが考えたのかはわからないが、レトロゲームが設置されているゲーセンでも、他のグラディウスシリーズよりもなかなか見かけることが出来ないのが残念だ。

また沙羅曼蛇のサントラCDというのはアルファ盤とアポロン盤の2種類が出ているのだが、発売自体はアポロン盤が先なもののCD化の権利は先にアルファレコードが取得しているため、アポロン盤は音を変えざるをえず、そのためいわばカバーバージョン的なものとなってしまっている。

幸いにも沙羅曼蛇のサントラに関してはキングから改めて発売されたため、ファンは一安心と言ったところだったのだが、このCDはノイズがかなり乗っており、さらにボイスやSEが入っておらず、ファンにとっては100%満足出来るものではなかった。

しかし21世紀になり沙羅曼蛇とライフフォース、そして沙羅曼蛇2の3作を収録したアルバムが改めて発売されたので、持ってない人は今のうちに買っておこう。


個人的な思い出
ゲーマーになった当時は他のグラディウスシリーズは割とすぐにプレイすることが出来たのですが、何故かこの沙羅曼蛇だけはどうしても見かけることが出来ず、私にとっては長いこと幻のゲームとなっていました。

しばらくしてゲーメスト92年2月号のレゲーの魂で、小田急線向ヶ丘遊園駅前のホワイトハウスというゲーセンに沙羅曼蛇が設置されているのを知った私は、年明けに早速そのゲーセンに向かい、沙羅曼蛇を初めてプレイすることが出来ました。

直前に発売されていたPCE版をプレイしていたおかげで4面までは楽に進めたのですが、1面の奥の背景が真っ暗なほど画面が暗いおかげで地形がよくわからないこともあってボスの安地合わせがうまくいかず、結局抜けることが出来ないままその日はそこで終わってしまいました。

それから10ヶ月後、再びそのゲーセンへと向かった私は、何度失敗しても絶対に1コインで1周するまでコインを注ぎ込むことを誓い、数度目のプレイでようやく1周することが出来ました。

その沙羅曼蛇1周クリアというのは、私にとってアーケードゲームのシューティングの初クリアだったので、電車に乗って帰る時でも顔から笑みが消えないほど、それはそれは本当に嬉しかったものです。

この沙羅曼蛇1周によってそれまで私の前に立ちはだかっていた壁を突き破れた感があり、それ以降からはやり込んだゲームは大体クリア出来るようになっていきました。



あとがき

アーケード版は無論リアル世代ではないのですが、こちらは難易度や面構成、そしてBGMなど書きたい事が山ほどありましたので、かなり初期に製作しました。特に難易度はこちらもパロディウス同様何故そうなったのか、と言う文章はほとんど見かける事がなく真っ先に書きたかった事なのですが、風営法まで持ち出すなどよくここまでの解説を思い付いたものです。

面紹介も元々はこのページでされていたのですが、次第に攻略を取り上げるページが少なくなっていきましたので、後に完全な新作として製作に踏み切りました。





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