グラディウスV

PS2 2004年7月22日発売

7329円 CD-ROM
(初回特典にはDVDが付属)

横スクロールシューティング

十字キー 8方向移動

 ボタン1パワーアップ
ボタン2 ショット
ボタン3 ミサイル
 ボタン4 オプション

各ボタン配置は任意に設定可能



横シュー究極進化系
21世紀を迎えると、シューティングは一部の縦シューロングヒット作のみが健闘していると言った状態であり、難易度の高騰やマンネリ化からシューティングの勢いはすっかりなくなっていた。

縦シューでさえもはや大ヒット作は望めなくなってしまった以上、横シューの灯は風前の灯であり、すっかり終わったジャンルと言うのが一般的な認識であった。

横シューで大ヒット作と言えたのは極パロやダライアス外伝が最後であり、以降それに続くゲームが10年近く出現しなかった事からも、アイデアの種は出尽くした感があったと言う風潮も大きかった。



しかしコナミを離れトレジャー製作により新たに生まれ変わった21世紀初のグラディウス、グラディウスVは信じられないぐらい緻密に書き込まれた素晴らしいグラフィックにシリーズのイメージに捉われない斬新なBGM、そして過去の固定概念を打ち破る面構成など新たな21世紀版グラディウスを生み出す事に成功し、横シューはまだまだ終わったジャンルではなくいくらでも可能性は残っている事をユーザーに知らしめた。

ただ家庭用オリジナル作品であった事から、事前にプレイする事が出来なかった影響が出たかセールスは前作を超える事は出来なかったが、これは家庭用はアーケードと異なり面白いゲームが必ずしもヒットに結び付かないと言う事を改めて認識させられた作品でもあった。



伝統を打ち破る
グラディウスシリーズはパワーアップ方式や面構成など、システムがある程度固まっている上で続編を製作しなければならず、さらに熱いファンが多いため改革し辛いと言う点がある事はグラIVのページで解説した通りであるが、先鋭集団トレジャー開発陣は遂にその固定概念を打ち破った。

まず1面の前衛が宇宙ではない瞬間にすぐにそれを予感させ、ステージ間の会話に2面でのいきなりボスラッシュ、火山やモアイ面をバッサリ削除、シルバーガンの2面を思わせるような前衛のビル街のような背景と、それまでのシリーズでは考えられなかった要素を次々と導入してくれたのだ。




ボスのアイデアも素晴らしく、特に5面のボスでの岩を盾にして敵弾を防ぐと言うアイデアなどは、私は事前に付属DVDは見ていなかったので気付いた時は目から鱗が落ちたし、復活してきた往年のボスのグラフィックの書き込みの凄さと存在感もプレイしていて圧倒されたものだ。

すっかりシューティングから離れたコナミではとてもここまで大胆な改革は不可能であっただろうから、元々コナミから分かれたとは言え外部のトレジャー製作は大成功だったと思う。

しかし伝統に新しい要素を注入すると、必ず保守的な層から反発が生まれるのは必然であり、歴史のあるグラディウスシリーズではそれはもう容易に想像出来た事であるが、私個人の主観的意見としてはずばり「よくぞやってくれた!」…この言葉に尽きるだろう。

正直な所、ここまでシリーズを重ねられるといくら背景やBGMが進化しようとさすがに飽きてしまう訳で、宇宙の前衛から内部に入り火山面、モアイ面、そしてボスラッシュ、要塞と言うパターンにはもう良いだろうとずっと思っていた。

特にモアイ面がそのマンネリの代表で、これまで回転したり復活したり、様々なアイデアが導入されたりしては来たものの、基本的な構成にはほとんど変化はない訳であり、そのためもうグラIII辺りから飽き飽きしていたので、「ようやくなくなってくれたか」と安心感さえ覚えたものだ。





グラディウス以外では今もアーケードでヒットを続けているバーチャファイターシリーズも、私としては3以降グラフィックが進化しただけとしか目には映らず、新作をプレイしてもすぐに飽きてしまうので、いくら伝統のある作品だろうと、ゲームにとっては旧要素をカットし新要素を導入すると言う事は絶対に重要な事なのだ。

このサイトを見ると管理者は懐古主義者と受け取られそうだが、私が最近のゲームをプレイしないのは単に冷めただけではなく、単純に起動時間がかかり、起動してからもオプション画面や何やらでまともにプレイ出来るまで時間がかかりすぎる事がもうかったるくて仕方がないためであり、決して今のゲーム性そのものを否定している訳ではない。

当然グラディウスVもその例外ではないのだが、そんな自分でさえ15時間近くプレイ出来た事を考えると、普通のファンであればその10倍はプレイ出来ると思われるので、グラディウスVは近年稀に見る良作と言って良いだろう。





MSXの遺伝子
これまで褒めに褒めてきた私のグラディウスV評であるが、やはり万人が満足する完璧なゲームと言うのはまず存在しない訳で、好きになれない要素も多くあった。

まずひとつはプレイ時間の長さであり、1周するのに70分前後はかかると言うグラディウスIIIと同等の長さはかなり不満であった。

ゲーム自体の出来が素晴らしいため、そこまで長い時間を費やしている事などはプレイ中ほとんど気にならないのはさすがだが個人的には長時間プレイは嫌なので、せめて40分前後で終われるようにして欲しかったと思う。

そしてやはり欠かす事の出来ないのが、最終ボスの名前だ。


MSXのみのシリーズに登場するボス名と言うことは誰もがご存知だと思うが、MSX版はアーケードと家庭用とは距離を置き独自の路線を築いて来た事、また私の周りではPCに属するせいか家庭用を下に見ているユーザーが多かった事なども重なったため、MSXに対して悪感情がある私にとっては正統なシリーズにその要素が含まれた事に関しては絶対に受け入れ難いものがあるのだ。

私はSS版のアンティークスを所有しているため、MSX版のシリーズの出来が良い事は十分承知しているのでゲーム性そのものを否定している訳ではなく、また長く遠ざかっていた家庭用とMSXの融合と捉えれば素晴らしい事でもあるとは言えるのだが、やはり正統シリーズのみの要素で構成して欲しかったと思うのが正直な感想だ。





ゲーム性
グラディウスVのゲーム性は前作とは対照的で、全ての面がそうとは言えないが全体的にはこちらはグラIIIのパターン性の流れを受け継ぐ「知っていなければ大変難しいが、慣れれば簡単」と言うゲーム性だ。

当然近年の縦シューとは趣が異なり、それ以降にゲーマーになった人はこのグラVやシルバーガンのようパターン性の強いシューティングに嫌悪感を示す人が多く、パターン性強きはシューティングにあらず、と言う考え方が未だに残っている。






しかし最初は抜けられなかった場所を、パターンを完成させ難なく抜けられるようになった時の感覚は自分がゲームを支配していくような感覚に近いものがあり、また当然ながら自分がゲームを上達したと言う満足感も大きく得られるため、縦シューでは体感出来ない魅力が絶対に存在するのだ。

私の場合も最初はえらく難しいゲームだな、と思ったものだが、次第にFREEZEオプションを駆使して地形に隠れるハッチや、遮蔽板を超えてボスのコアにダメージを与えるパターンを覚えていくうちに、知らず知らずのうちにあっさり抜けられるようになった時のあの面白さは、やはりパターン性ゲームでしか味わえないものと言って良いだろう。

もちろんパターンを構築する事が苦手な人には厳しいものがあるが、一応金はかかるとは言え攻略DVDを見てパターンを覚えると言うお助け舟も残っているし、先入観ばかりでゲームを判断せずもっと大きな視野を持って見てもらいたいものだ。





あとがき

グラディウスVのテーマで最重要視したのは、やはりそれまでの伝統を打ち破った事についてです。ファンの中でも賛否両論が多かった事なので、個人的な見解をはっきりと示したかったと言うのが第一でした。パターン性の強さについては少し後に書き足されたものです。





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