次世代機でよみがえる |
コナミの「DELUXE PACK」シリーズの第3弾として1996年3月に発売されたのが、この「グラディウス DELUXE PACK」だ。
前年11月にナムコミュージアムのVol.1が発売され、いよいよ当時の次世代機において、かつてのアーケードゲームの復刻ブームが始まった頃だけに、かつてゲームセンターに足を運んでいたグラディウスファンにとっては、まさにこの「グラディウス DELUXE
PACK」は待望の移植と言えた。
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PS版とSS版 |
この「グラディウス DELUXE PACK」は、PS版とSS版が同日に発売されたのだが、過去のDXパックシリーズの例を見るまでもなく、やはりこのグラディウスDXパックでも、PS版とSS版それぞれに特徴が見られる。
「極上パロディウスだ!」ほど大きな違いというのはなく、ゲーム全体のレベルとしてはほとんど同じ出来となっているのだがやはりそれなりにアーケード版をプレイしてきたプレイヤーにとっては気になる部分が多い。
そんな訳で、一体PS版とSS版のどこがどう違うのか、これから紹介していこう。
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オープニングムービー〜メインタイトル |
DXパックシリーズでは、このグラディウスで初めてオープニングにムービーが導入されたのだが、当時のレベルからしたら非常にクオリティの高いムービーであり、初めて目にしたプレイヤーは誰もがその美しさに圧倒されたことだろう。
さてPS版とSS版の違いだが、ムービーの内容そのものは全く同じなものの、さすがにハードの性能上PS版の方が遥かに綺麗に再生されている。
さらにムービーが始まる前から方向キーのどれか一方向を入れっぱなしにしておくと、多少画面にザラつきが目立つようにはなるものの、30フレームのなめらかな動きでムービーを堪能することが出来るというおまけも付いている。
対するSS版は、マニュアルには一応トゥルーモーションのロゴが表示されてはいるのだが、ムービーの画質そのものは悲しいぐらいに悪く、画面の上下も切れているため、正直まともにムービーの魅力を堪能することはかなり厳しいと言っていい。
後のSSの作品ではかなり綺麗なムービーを流せるようにはなったものの、やはりムービーの美しさという点ではPS版の方が圧倒的に勝っている。
メインタイトルにおいてはSS版のみ、ゲーム選択時のクレジット音が鳴る直前に一瞬読み込みが入る。
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グラディウス |
上記に挙げた点だけでなく、ゲーム毎に関しても両機種において違いが見られる。個人的に気付いた点は以下の通り。 |
画面サイズ |
ARCADE ZOOMを選んだ時、PS版ではスコアやゲージ部分も同様に拡大表示されるのだが、SS版ではARCADE
ZOOMにしてもスコアやゲージはARCADEのままのため、非常にバランスの悪い画面表示となってしまう。スコアやゲージの位置がアーケード版と比べて若干真ん中寄りになっているのは、両機種共通である。 |
SE |
PS版はとてもクリアで、ほぼアーケード版に近い出来となっているのだが、SS版ではどうしたことかかなりノイズが目立ち、それによりショットやレーザーの音などが若干アーケード版と比べて変に聞こえてしまう。 |
両機種共通の特徴 |
エクステンドのスコアは、難易度を変えることのみによって変化する。処理落ちをなくすNO
WAITは、1周すると選べるようになる。 |
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画面紹介
以下の画像は全てPS版のARCADE画面のものである。
スタッフロール
DXパック版には新たにスタッフロールが追加されている。
BGMはオリジナル作曲者の東野美紀さんによる、空中戦をアレンジした美しい曲が流れるようになっている。
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グラディウスII |
最初の
読み込み |
PS版ではSS版と比較し若干読み込み時間がかかってしまうため、その間画面左上にグラディウスIIのタイトルロゴと、「NOW
LOADING…」の文字が表示されるようになっている。 |
バージョン |
タイトル画面のエヴリ設定を見てわかるように、アーケード版の新バージョンの移植となっている。グラディウスIと違ってエヴリ設定と難易度は関係ないが、新バージョンの移植のため7万エヴリなどに設定することは出来ない。 |
音声 |
さすがにこれはPS版の方がクリアだ。因みに両機種共、2面の最初などの一部のボイスは内蔵音源ではなく、BGMの上にそのままボイスが収録されている。 |
1面開始時 |
グラディウスIIではゲーム開始時の「START」の時点からBGMが流れ始めるのだが、SS版ではアーケード版と同じタイミングで流れるのに対し、PS版では一瞬遅れてしまう。 |
ステージ
クリア〜
ステージ
開始 |
ボスを倒してステージクリアし、次のステージが始まる瞬間、PS版のみ一瞬画面がスローになる。 |
5面後半
BGM |
PS版のみ、ジャンピングモアイで点稼ぎをして道中が長引くと、ボス直前で曲が止まってしまう。これは5面後半のBGMの長さが3分4秒のため、点稼ぎをしてしまうとボス直前でこの時間を過ぎてしまうために起きてしまう現象だ。対してSS版ではAIFF音源をループさせて再生しているため、どんな場面でもBGMが途切れることはない。 |
6面後半 |
PS版のみ、6面後半のある細道でショットを撃っていると、かなり強い処理落ちがかかる。 |
PS2による
不具合 |
これはもちろんPS版のみの現象だが、グラディウスIIをPS2で走らせると強烈な処理落ちがかかり、まともにプレイ出来ないという致命的な欠点があるので、PS2しか持っていなければ新たに初代PSやPSoneを購入する必要がある。 |
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画面紹介
グラディウスI同様、以下は全てPS版のARCADE画面のものだ。
グラディウスIIの画面サイズはARCADEとARCADE FULLのみなので、画面サイズによる両機種の違いはない。
エンディング
グラディウスIIのエンディングは、アーケード版のものがそのまま再現されているが、スタッフ名は全てDXパック版のスタッフ名となっている。
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セガサターン版 |
PS版に引き続き、ここではSS版の画像の紹介といこう。
ムービーは見ての通り横長になっており、その分上下が切れている。
グラディウスIの画像は、オプション画面以外全てARCADE ZOOMのものであり、スコアとゲージが画面サイズに合っていないのが良く分かるだろう。
グラディウスIIにおいては画面サイズの違いはほとんど見られないため、画面上ではPS版とのはっきりした違いは見られない。
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BGMについて |
グラディウスI・II共にアーケード版ではモノラルだったが、DXパック版では両機種共にステレオ化されており、非常にクリアな音質でBGMを聴くことが出来る。
このためじっくりとサウンドを聴いていたい所なのだが、あいにくこのゲームにはサウンドテストが付いていない。そのため当時のプレイヤーたちは一様にがっかりしたものだが、今ではPCがあれば再生はもちろん、CD-Rに焼くことさえ可能だ。
まずPS版は、PSではおなじみのCD-XA音源が使われているため、Psx MCというツールを使用すれば、WAVEに変換することが出来る。
SS版はメディアプレイヤーからグラディウスのファイルを開けば、そのまま直にメディアプレイヤーで再生することが可能なのだが、1曲が前半と後半で分かれており、ループも1ループなので、そのまま聴くのはちょっと辛い。よって1度HDDに保存し、拡張子をAIFFに変えて波形編集ソフトで曲を繋ぎ合わせてから聴くようにすればいいだろう。
そのようにすればどちらの機種でもCD-Rに焼くことが出来るのだが、SS版はCDクオリティの44.1KHzで16bitなのに対し、PS版のCD-XA音源は37.8KHzと音質が若干落ちるので、BGMに拘るのならSS版をサントラ化していくのがいいだろう。
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PS版かSS版か |
これまで解説してきたように、グラディウスIはPS版、グラディウスIIはSS版の方が良い出来となっているので、どちらのゲームに思い入れがあるかで選んでいくようにすればいいだろう。
どちらのゲームも好き、という人は、もちろん両方購入すべきだ。また前述したように、SS版の方がBGMのクオリティが高いので、BGMに拘るのならSS版を選択するという手もある。
ただSS版は大体2000〜3000円の間で入手することが出来るのだが、PS版は何故か非常に入手し辛い上値段も定価超えが珍しくないほど価値が向上しているので、今から店頭で購入するのは難しいかもしれない。
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個人的な思い出 |
「極上パロディウス」がPSにおいて発売が発表された時から、いつかは絶対にPSを購入することを決めてはいましたが、まだまだ当初は高かったことと、ゲームそのものへの関心が薄くなっていった事から、発売から1年が経ってもPS・SSを購入することはありませんでした。
しかし96年、ナムコミュージアムVol.2のCMをテレビで観た私は、次第に次世代機に興味を持つようになり、そして3月のある日、近所のコンビニで何気なく見たSSの雑誌の表紙に私は目を奪われました。
「グラディウス DELUXE PACK」−
それはまさに92年、PCE版グラディウスIIの発売を知った時以来の衝撃でした。
あのグラディウスI・IIが、本当にあの時ゲームセンターでプレイしたそのままの姿で次世代機に蘇っている−私はまるで初めてゲームに触れた時にも似たかのような衝撃を覚え、まるで子供のようにその雑誌の記事に心を奪われたのです。
雑誌は購入しませんでしたが、もちろん次世代機の購入は速攻で決め、発売日を心待ちにするようになったのですが、両機種で発売されるということで、さあどちらのハードを購入するかという問題が浮かびました。
もちろん最初に購入したいと思ったのはPSでしたが、その当時はSS本体のカラーがグレーから白に変更され、値段も2万円となってPSよりもかなり安かった事、そして何よりSSはすでに多くの店で扱っており、入手がしやすかったことなどから、これは本当に悩んだものです。
結局は最初に欲しいと思ったのを理由に、やはりPSにしよう、ということになり、グラディウス発売5日前になって本体とメモリーカードとHORIのファイティングスティックを購入し、後は発売日を待つだけとなったのですが、雑誌で完成度の高さを知っていたとはいえ、やはり過去の移植作の例からして、実際にプレイするまではどんな出来になっているのかという不安はありました。
しかし、そんな不安は電源を投入して、すぐに杞憂だったことに気付きました。まずオープニングムービーで圧倒され、コナミモーニングミュージックで感動し、そしてあの金属的なグラディウスの空中戦のBGMを聴いた時はもう言葉がありませんでした。
画面サイズがPSのドットで再現されていましたので、アーケード版よりも若干違和感がありましたが、気になったのはそのぐらいで、とにかくアーケードそのままのグラディウスが家庭でプレイ出来る、そんな環境がやってきたという事実だけでも私には十分でした。
しかし、そんな感動している私とは対照的に、雑誌のレビューなんかでは立腹もののレビューもあったりして、不愉快な気持ちを抱くこともありました。
アーケードの発売当初は完全移植なんて出来ない時代であり、ようやく家庭用で完全移植が出来るようになった今だからこそ当時のそのままの姿で移植をし、かつての名作を未来へと語り継いでいこうという素晴らしい考えをどうして理解出来ないのだろうか、と私は本当に悔しい思いをしたものです。
プロ野球なんかでも大リーグとは対照的に、過去の偉大な選手を大切にせず、歴史に興味を持つ人も少ないという風潮がありますが、やはり過去があってこそ今がある訳ですから、もっと歴史の重みというのを理解して欲しいと思います。
また私が参考にしていた徳間書店の「ゲーム成績表」では、ほとんど同じ出来にもかかわらず、SS版が23.1点と高得点だったのに対し、PS版が21.8点という低い点数だったので、それが後私がアンチPSに走る最初のきっかけでした。
私のプレイ内容に関しては、その当初I・II共にアーケードでは1周しかしていませんでしたが、Iはザブのよけ方をマスターしたおかげで、3周目以降もプレイ出来るようになったものの、IIは2周目7面の通常ザブがよけられず、結局そこでやめてしまいました。
以降はしばらくPS・SSの時代が続き、私もそれなりにゲームをプレイしていきましたが、やはりこれほどまでに発表に衝撃を受け、発売日を心待ちとしたゲームはなかっただけに、今でもグラディウスのパッケージを見るとあの時の思いが蘇ってくるものです。
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あとがき
このサイトを製作する最初のきっかけは、ずばりこの作品でした。その前年に私は初めてグラディウス系のサイトへ足を運んだのですが、やはりと言うかDPと言えばほとんどがPS版を指した書き込みであり、SS版の話題など皆無でした。
すでに過去のハードでしたから致し方ないかも知れないですが、やはり両機種をプレイした私はSS版の方が優れている箇所もある事を知っていましたから正直悔しい感がありましたので、それなら自分がサイトを製作してSS版の良さも広めよう、と思ったのが最初のきっかけでしたね。
その後サイトが大きくなるにつれ、SS版の良さもそれなりに広まったようですので、とりあえず最初の目的は達成出来たかなと思います。ただまだ規模が小さかった頃は遥かにSS寄りでしたし、文章も酷いものだったのでPCへ移行してからは公開を停止し、その後改めて1から製作しました。
画像はPS版は2作とも全て自分で最終面までプレイし収めたものを使用していますが、今思えばここまでやる事もなかったかなとも思います。「個人的な思い出」は大分後になって追加されたものですが、書く前はここまで長文になるとは予想だにしませんでした。
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