グラディウスII 〜GOFERの野望〜 |
|
PCE SUPER CD-ROM2システム 1992年12月18日発売 7800円 CD-ROM 横スクロールシューティング 十字キー 自機の8方向移動 ボタン1 ショット ボタン2 ミサイル ボタン3 パワーアップ (ボタン配置はRUNボタン以外に任意設定可能) |
驚愕の移植 | |||||||||||||||||||||
92年も残りが2ヶ月と迫った10月下旬、各ゲーム雑誌で発売が発表されたのが、このPCE版グラディウスIIだ。 このちょうど1年前に発売されたPCE版のグラディウスや沙羅曼蛇があまりにも出来が酷かったおかげで、コナミはファンをおおいに失望させたものだが、このグラディウスIIの画面写真を見た瞬間、今度は誰の期待も裏切らない出来として発売されるだろう、と誰もがそう確信した。 それほどまでに、このPCE版のグラディウスIIの発売記事がファンに与えた衝撃は大きかったのだ。 いざ発売となり、実際にプレイしてみるとSEやオリジナル面などに不満はあったものの、そういった不満点は全てゲーム自体の出来によって打ち消されてしまうほど、このPCE版グラディウスIIの出来は凄まじいものがあった。 |
|||||||||||||||||||||
ゲージが直に | |||||||||||||||||||||
このPCE版グラディウスIIの画面を見た時、真っ先に目に付くのがスコアとゲージの表示方式だろう。 前作まではファミコン版のように背景と分けて表示したため、ユーザーに大変な不評を買った上下スクロールをさせてしまったわけだが、PCEではスプライトを64個しか使えないにもかかわらず、それを使用してまで背景に直にスコアやゲージを表示させ、上下スクロールを避けている。 スコアの表示がかなり小さくなってしまったのは残念だが、グラディウスというゲームは自機のみでかなりのスプライトを使用しているだけに、表示が削られてしまうのはやむを得ない。 逆に言えばそうしてまでアーケードと同じ感覚でプレイ出来るようにしたところに、コナミがいかにこのゲームに本気で取り組み、ファンの声をしっかりと受け入れてくれた、というのがうかがえるので、私的には非常に嬉しい変更点だった。 |
|||||||||||||||||||||
完璧な2重スクロール | |||||||||||||||||||||
当時のアーケードゲームは背景が多重スクロールするのは極当たり前のことで、もちろんこのグラIIも例外ではないのだが、このPCEというハードはBGが1枚しかないため、いくら静止画では似ていても、実際プレイしてみるとやはりかなりショボく感じてしまうのでは、という不安があった。 多重スクロール自体はスーパーダライアスのようにスプライトを組み合わせれば擬似的には可能なのだが、グラIIではそのように表現出来るような面がないため、いくらコナミでも再現は不可能だと誰もが思っていた。 しかし、7面こそ無理だったものの、2面や6面(PCE版では7面)では完璧に多重スクロールを再現していたのだ。 パロディウスだ!の3面を見る限り、PCEでも背景が一定のパターンで描かれていればプログラマーの技術で多重スクロールが可能なのはわかっていたが、地形が複雑で、壊せる網状の壁が存在する2面をほぼ完璧に再現していたのには、本当に驚かされたものだ。6面は背景が一定のパターンに変更されていたが、それでも多重スクロールするのとしないのでは雲泥の差だ。 これら多重スクロールの部分だけでも十分グラディウスIIの凄さというものがわかるというものだが、このゲームはこれだけでは終わらなかった。 |
|||||||||||||||||||||
極力点滅を抑え | |||||||||||||||||||||
グラIIの3面はご存知のように大量に結晶が出現するのだが、数を見る限り明らかにPCEのスプライトの性能では表現出来ないほどの数が出現しているため、PCEで強引に再現してしまうとチラつきまくりでゲームにならないのでは、という不安があった。 ところが、中盤の破壊出来ない上下に動く結晶地帯こそややチラついてしまうものの、後半の結晶ラッシュはオプションが4つ付いたフル装備であっても、全くと言っていいほどチラつかないのだ。 これは当時の専門誌でも触れていたのだが、いったいどうやって表現しているのかわからないほど、本当に凄い技術だ。そしてこのおかげで、不安視されていた3面も、アーケード版に近い感覚でプレイすることが出来たのだ。 その他の点としてはレーザーなどはさすがに点滅状態となっているが、その他のミサイルやフォースフィールドはそのままの表示だ。特にフォースフィールドはSFC版グラIIIでさえ点滅状態だったので、このPCE版グラIIもやはり点滅状態なのでは、と思われていただけに、そうでなかったことを知った時の嬉しさはかなりのものがあった。 ファミコン時代から、コナミは「家庭用でここまで」というソフトをいくつもリリースしてきたが、このPCE版グラディウスIIこそ、そのようなソフトの頂点と言っていいだろう。 |
|||||||||||||||||||||
オリジナル要素 | |||||||||||||||||||||
当時の家庭用ハードの性能では、アーケード版をそのまま移植するということは不可能だったため、家庭用独自のオリジナル要素を新たに含めて移植されることが多かったが、このPCE版グラディウスIIもそのような例にもれず、オリジナル要素がいくつか追加されていた。 そのオリジナル要素というのは、ビックバイパー出撃のデモと、6面に追加されたオリジナルの遺跡面の2つだ。 アニメのデモはPCEのCD-ROM2にはつきものだったし、出来も良かったので追加されても特に違和感はなかったのだが、オリジナル面はやはり違和感があり、1周までの時間がさらに延びてしまうこともあって、ほとんどのユーザーには不評だった。 幸いにもコマンドでオリジナル面を消すことが出来たのだが、代わりにポーズが不可能になってしまうのが辛かった。 (デモ画面の画像はこちら。) |
|||||||||||||||||||||
ステージ紹介 | |||||||||||||||||||||
このPCE版グラディウスIIは、先述のように6面にオリジナル面が追加されているため、全9ステージとなっており、コマンド入力をすることによってアーケード版と同じ8ステージでプレイすることが出来る。 面自体はさすがにアーケード版そのものとはいかないが、それでもPCEというハードの性能を考えたら非常に良く出来ており、ボスなどの安地もそのまま使えるようになっている。 1面 人工太陽 スプライトの関係により、火竜の出現する数が大幅に減っているため、アーケード版並にスコアを稼ぐことは出来ないが、違いはそのぐらいで後はほとんどアーケード版と同じだ。 ボスのフェニックスは多少チラつきが入るがアーケード版そのままであり、攻略法も同じものが通用する。 2面 エイリアン 奥の背景は少しずつ現れてくるという部分こそアーケード版と異なるものの、先に触れたようにちゃんと多重スクロールは表現されている。 網状壁地帯はアーケード版のように、下にミサイルが流れていかず途中で止まってしまう。それ以外はほとんど同じだが、触手地帯ではさすがにチラつきが激しくなってしまい、かなり処理落ちがかかってしまうのが残念だ。 ボスのビッグアイはほぼアーケード版と同じだ。 3面 結晶 後半の結晶ラッシュは、最初の方で説明したようにアーケード版並に結晶が出現するが、若干耐久力が低く感じるので、難易度はアーケード版より低くなっている。 ボスのクリスタルコアはほとんど同じで、安地も使える。 4面 逆火山 ほとんどアーケード版と変わる所はない。 ボスのデスMk-IIもアーケード版そのものだが、左の背景の山が少ししか見えないので、山に激突する可能性はほとんどない。 2周目以降もアーケード版と同じだ。 5面 モアイ 処理の負担を軽くするため、イオンリングが点滅状態となっているが、それでもチラつきが激しい。 ジャンピングモアイはアーケード版のパターンを使用しても、そのままの動きはしない。 ボスの親モアイはほとんど同じだ。 6面 神殿 PCE版グラディウスIIオリジナルの神殿面。 感じとしてはファミコン版沙羅曼蛇5面後半に近く、柱が落ちてきたりするなどのトラップがあるが、それほど難しくはない。 オリジナル面のボスは左から出現し、すぐに触手のようなものを出してくるので、BGMが変わったらすぐに画面左下か左上あたりへいかないと危険だ。攻撃方法は触手からのレーザーと、本体からの短いレーザーで、コアを2つ破壊すると第2段階となり太いレーザーを撃ってくる。 7面 高速面 多重スクロールを再現するために、奥の背景の模様が一定のパターンへと変更されている。 ボスのビッグコアMk-IIはほとんどアーケード版と同じだ。 8面 ボスラッシュ テトランの腕が点滅状態になっていたり、ガウの動きが毎回同じパターンなどの違いはあるものの、全体的な出来としてはアーケード版そのままと言っていいだろう。 もちろん要塞内部からの登場シーンも忠実に再現されている。 9面 要塞 背景の多重スクロールは再現されていない。 中ボスは安地がそのまま使えるが、遮蔽板の耐久力がアーケード版と比べてかなり低いので、一気に破壊することが出来る。 後半のせり上がってくる壁は、キャラクター単位なのでぎこちない。 カニの動きはほぼアーケード版と同じだが、画面が横長のため、カニ自体も横長に感じてしまう。 下の足をくぐっていくパターンを使うと、左から右へ行く時にアーケード版より左足に当たりやすいような感じがするので、チャンチャンパターンを使っていくのが無難であろう。 エンディング エンディングも忠実に移植がなされているが、ビックバイパーが飛び立ち要塞が爆発するデモはPCE内蔵のPSG音源でSEを鳴らしているので、やや迫力に欠けるところがある。 (エンディング画像はこちら。) |
|||||||||||||||||||||
当時の思い出 | |||||||||||||||||||||
92年10月下旬、いつものように10月発売の月刊ゲーム雑誌を読みに本屋へと向かった私は、その日に発売された雑誌の中から、月刊PCEという雑誌を手に取りました。 その時に初めてこのPCE版グラIIが発売されるということを知ったのですが、この時に受けた衝撃というのはゲーム雑誌を読んだ中で受けた中で最高のものがありました。 グラIIが発売されるということだけでも最高なのに、その記事に載っていた画面写真はアーケードそのまんま、とてもPCEとは思えないほどのクオリティを誇っていましたので本当に驚かずにいられませんでした。 おそらく、当時画面写真を見たゲーマーのほとんどは私と同じような感覚を覚えたことでしょう。それぐらいこのPCE版のグラIIの画面写真というのはインパクトがあったものです。 その後も学校の掲示用の黒板に「グラII発売まであと何日」とまで書いたりするなど、これほどまでに発売が楽しみだったゲームというのは私にとっては初めてだったと思います。 12月初旬には某大作RPGの続編が発売されることになっており、ゲーム雑誌もそれ一色でしたが、そんなものは眼中にありませんでしたね。 そのように発売前から期待感が高まりまくりだったのですが、いくら静止画は似ているとは言っても、ハードがPCEである以上、それなりに不安はありました。 特に2面や3面はPCEのスペックでは忠実に再現するのは不可能だろう、と思っていましたし、これらの面には全くと言っていいほど期待はしていなかったものです。 しかし、その後別の専門誌を読んでみると、2面はしっかり多重スクロールし、3面は画面いっぱいに結晶が出現してもチラつかないということが載っていましたので、それらの不安は発売前に一気に吹っ飛んでしまったものです。 そして発売日、学校が終わった私は速攻で近所のゲーム店に向かい、無事PCE版を購入出来ました。 実際にプレイしてみると、解像度が低いことがありキャラクターが妙に大きいため、若干違和感はあったものの、2面や3面はしっかりと移植されていましたし、その他の面もほぼアーケード版に忠実に移植がなされていましたから、PCEというハードを考えたらよくぞここまで移植した!と感嘆したものです。 このPCE版を購入した時点では、アーケード版は1周していませんでしたので、すぐに1周は出来ず、6面やカニでちょっと苦戦してしまい、特にカニが壁となりました。 そのため何とかカニの抜け方をマスターするため、難易度をEASYに下げ、継続をONにするという、ゲーマーにはあるまじき行為をして、必死でカニを練習していきました。それで1周を達成した私は、早速新宿へと向かい、アーケード版のグラIIを1周することに成功しました。 今でこそネット上で設置店を調べることが出来ますが、当時はゲーメストのレゲーの魂ぐらいしかあてになる情報源がありませんでしたので、確実にレゲーがある新宿へと行くしかなかったのですが、今思えばゲームをするためだけによくまあ新宿まで行ったものです。 |
|||||||||||||||||||||
あとがき PCE版の特徴はそらで言えますから、文章は何も考える事なく一気に書き上げられたのですが、問題は画像でした。なかなか上手く画像を収められませんでしたので、公開当初は今よりもクオリティが低いものでした。なので現在はその後収録し直したものを使用しています。オープニング画像に当時の名残が見えますね。また前述のよう当時はオリジナル面は飛ばしていましたので、この面をプレイしたのは実に久々でした。 |
|||||||||||||||||||||
|