ゲーム、ゲーマー ゲーメストに聞け!! ゲーセンで高得点をビシバシ叩き出すゲーマー、 いわゆるハイスコアラーとは、いったいどんな人々なのか? 家庭でゲームをしている人々とどこが違うのか? アーケードゲームの専門誌ゲーメストの編集部の4人のかたがたに ズバリ聞いてみました。 |
『超魔界村』はカンタン ドンキーコング4周目 多人数での初体験!? ーまず、みなさんが最初にのめり込んだゲームはなんだったか、聞かせてもらえますか? 石井 最初にやったのは、『スペースパニック』だったと思うのですが、のめり込んだのは『ゼビウス』ですね。 YOU.A 当時と今ではゲームに対する考えかたが違うんで、どれというのは難しいですね。最初にプレーしたゲームは、ブロック崩しですが、攻略しようと思ったというゲームなら、『パックマン』ですね。あのゲームは、最初はただ敵から逃げてエサを食べ尽くすっていうふうに考えますよね。それが、同じ動きをすれば敵も同じように動くことに気づいて、そのパターンを自分で作っていく。のめり込むのとは違うけれど、意識的に攻略法を考えたゲームが『パックマン』でした。 石井 私の場合、すぐに死んじゃうというところから、1000万点を出すまでやったのも、『ゼビウス』なんですけどね。 山河 私はインベーダーになっちゃうな。とにかく誰にも負けたくない、掲示板のスコアを抜くぞって思ってやったのは。 友だちとみんなで攻略したのは、『ドンキーコング』。4周目の75メートルが異様に難しくて。 ずるずる 僕の場合は、小学校のころは、100円でどれだけ粘れるかという感じでした。中学生ぐらいになると、ちょうど『パックマン』とか、パターンを作らざるを得ない、敵が賢くなったゲームが出てきて、みんなで攻略しました。うまい人に100円渡して、見せてくださいって頼んだり。 ーどういう感じで、ゲーム仲間が増えていくんですか? 山河 「ここどうやるの」って聞いたり。 石井 同じゲーセンにずっといると、「あいつまた来てるな」とか、お互いにそう思ってたり(笑)。ゲームがうまいヤツは、顔とか印象に残っているんですよね。 YOU.A 最近は、ゲーセンに置いてあるメッセージノートが、きっかけてことも多いですね。 ーそうして得た仲間とともに攻略をしていくというわけですか? YOU.A パターン作りって自分でやるからおもしろいんだけど、ハイスコア争いってのは、とにかく情報戦だから、聞けることはなんでも聞いておくのが当たり前ですね。あそこの攻略がわかんないから、スパってこいよ、とかね。 家庭用だとシューティングをやっても、終わらなくなっちゃうから困るんです。 ハイスコアに懸けた 男の汗と涙と情熱と ー知り合いのゲーマーとかで、こいつはスゴイって人はいます? 石井 『ガントレット』で、100以上ある面の順番を全部覚えているヤツとかいましたね。 山河 全部で128面かな。 YOU.A 108じゃなかったっけ。 ずるずる いや、120。 ーおおおおーっ(驚嘆) 石井 ぱっと見れば全部わかる。 山河 ボタンが2個しかない『沙羅曼蛇』筐体の『ライフフォース』で1000万点出した人とかね。パワーアップとレーザーとショットが一緒のボタンになってるやつで(笑)。最近では、『グラディウス』と『究極タイガー』の両方で1億点出した人もいます。 YOU.A 『究極タイガー』で1億やったの? すごいねえ。 山河 カンスト。4人で回したとか。ふつうは夜12時でお店が閉まるけど、お店の了解を取って、閉店後も夜通しプレーしたらしい。 石井 風営法が施行される直前に、3人で『ギャプラス』1億点とうのもありましたね。3日間電源入れっぱなしで、途中便所交替とか飯交替とかしながら(笑)。 ール・マンとかよりすごい(笑)。気が遠くなってきました。フラフラ。 ずるずる そういうときに、役に立つのが復活のプロ。『グラディウス』を5人ぐらいで回していて、うまいヤツが家に帰っちゃったんですよ。残った連中がプレーしていたんだけど、自機を255機より増やしちゃって、1回死んだら自機が5、6機しかない。一度死ぬと武器がなくなってハマっちゃいますよね。それで、そういうところから立ち直るのが得意な復活のプロを電話で呼び出してことなきを得たという。 ー復活専門のスペシャリストですか(笑)。 ところで、アーケードゲームのうまい人が誉める家庭用ゲームは何ですか? ゲーマー好みのRPG!? 『ミネルバトンサーガ』 ずるずる やっぱり、『ミネルバトンサーガ』じゃないですか(笑)。 YOU.A 『F-ZERO』なんかも人気がありますね。あと、『超魔界村』はおもしろかったですね。アーケードのゲームを同じような感覚でプレーできるっていう。 ーあーああ、なるほど。 ずるずる 家庭では、RPG好きな人も多いんですよ。アーケードではできないですから。でも、コンシューマーのシューティングゲームはやらないですね。誰に聞いても、2、3回目で1000万点とかいって、終わらなくなっちゃうんで。 YOU.A 家庭用のゲーム雑誌とか読むと、このゲームは家庭用にしては難しすぎるとか書いてありますが、そういうことはほとんどないですね。『超魔界村』にしても、『エリア88』にしても。 ー『超魔界村』は、やはりプロフェッショナルモードですか? YOU.A ええ、一応、いちばん難しいモードでワンコインでクリアーしました。 ーワンコイン(笑)!? ひえーっ。 自転車で、博多→熊本 ゲーセンへの長い道程 ー理想的なゲーマーの生活パターンというのはどんな感じですか。 石井 ゲーセンでいちばんゲームをするのって、浪人生から大学生でしょうね。就職までの間(笑)。 で、一応、朝から授業に行くということにして家を出る。そして開店と同時にゲーセンへ行く。で、閉店までいる(笑)。 YOU.A 中高生なら、授業が終わったら速攻でゲーセンに行く。 山河 日曜日は稼ぎ時。朝イチで行ってハイスコアを狙う日。 石井 で、家に帰ったら、明日の攻略を考える(笑)。そういえば、寝言でも「そこの隙間だーっ」とか言ってたヤツがいました(笑)。 ずるずる 日曜日は一日中ゲーセンにいるわけだけど、食事はカップめんで済ます。昔は、お湯が出るカップめんの販売機があってね。でもカップめんはスーパーのほうが安いからスーパーで買ってくる。 間違ってUFOとか買っちゃうと注湯口に入らなかったりしてね(笑)。 ーハングリーな話もいいですね。 山河 昔は、3度の飯よりゲームって言葉がそのまま使えましたね。コーラのビンを売ってゲーセンに行ったり。それから、電車賃を浮かすために、東村山から高田馬場まで自転車に乗って行ったりしましたね。でも、上には上がいるもので、朝3時ごろ家を出て福岡から熊本まで、日帰りでゲーセンに行った人もいますからね(笑)。 ー熊本!? ただ脱帽ですね(笑)。 山河 散髪代としてお金をもらったんだけど、それで髪を切ったらもったいないから、ゲーセンに行ってゲーセンの店員に髪の毛を切ってもらったこともありますよ。 ー無料でですか? 山河 ええ、知り合いの店員に。 ずるずる 聞いた話で、ゲーセンでの昼飯が、いつもハンバーガー屋のポテトとか。しかも、ハンバーガーは絶対買わずにタダ券でポテトだけ3つとかもらってくる。 ーファミ通編集部でも、学校サボってゲーセンに行ってて、ゲーセンから学校に病気で休むって電話かけてたら、後ろで、ピューピュー音が鳴っていたっていう人がいるんですが(笑)、そこまでしてゲームやるっていうのは、執念というか……。 石井 授業中ノートに、『雷電』の敵の出現パターンをすべて書き込んだりとかね。 山河 壁の模様見て、『テトリス』してるとか。このブロック色が違うじゃねえかなんて(笑)。 実車で事故ってひと言、壁ターン失敗したぜ! ずるずる 実車で事故って、ちくしょう、壁ターン失敗しちゃったぜ、とか言ってたヤツもいる。 ー日常生活のなかでもゲームのことを考えちゃってるという。 YOU.A そうですね。ノートに『パックマン』のパターンとか書いて。ここでフルーツが出て、ここでスピードが遅くなって、ここまいて、ここだ!って(笑)。頭の中でシミュレートできる(笑)。 石井 勝手に理論ができてたりね。 ずるずる 先が見たいとか、負けたくないってだけじゃないですね。 YOU.A ゲームという媒体の向こうで、プログラマーが何を考えているかわかるっていうか……。 ーあの人が作ったんだから、こうなるはずだ、とか。そうなると本当にイッてますね(笑)。 石井 一種の奴隷ですか(笑)。ただ遊んでいればいいのに、自分で手かせ足かせをして、クリアーを課しているんですよね。 ーゲーマーって本当に大変なんですね。今日はどうもありがとうございました。 なぜなにゲーマー事情 ゲーマーの聖地ってどこ ゲーマーの聖地と呼ばれたゲーセンがある。そこでは、日本一のハイスコアラーと呼ばれる名誉をかけて全国から人々が集まり、熾烈な戦いを繰り広げていた。そんなゲーマーの聖地といえば、「ゼビウス」全盛のころは、ゲームブティック高田馬場だった。また巣鴨キャロット(プレイシティキャロット巣鴨店)でのスコアアタック合戦も伝説となっている。 全国のゲーマーたちは"高田馬場参り""巣鴨参り"と称して、夏休みなどにこれらの聖地を訪れた。時代とともに聖地は移り変わり、全国から人が集まってくるゲーセンはなくなってしまった。しかし、現在でもAMショーの初日の夜には、東京都内のゲーセンに全国から腕自慢たちが集結し、ハイレベルな戦いを繰り広げているという。 なぜなにゲーマー事情 ハイスコアのなかにはウソスコアもある 体感ゲームやUFOキャッチャーなど、家庭ではできないゲームができる。それもゲーセンの大きな魅力だが、まったく知らない不特定多数の人々とスコアを競い合えるということも、ゲーセンならではの楽しさ。店によっては、ハイスコアボードに掲示しているところもある。 雑誌などに掲載するためのハイスコアの締め切り日には、朝から湯水のごとく、お金を使っちゃう人も多い。いわゆるハイスコアマニアとなると、ザコ敵1匹逃しては電源ブチッ、レースゲームでタイヤがわずかにキュッと鳴っただけでコンセントひっこ抜き。そのあげくに、1時間に5000円も使うこともまれではないらしい。ハイスコアとはいわゆる捨てたプレーの上に乗っかているのだ。 だが、ハイスコアのなかにはウソスコアというインチキな点数もある。ゲーセンのなかには、店員がちゃんとチェックしないで、認定しちゃうこともあり、とんでもない点数がハイスコアとして、有名になってしまうこともある。 |
GAMEST AND FAMITSU REPRINTED EDITION |