ARCADE MANIAC

アーケードマニアック 第41回


1984 NAMCO

『SUPER XEVIOUS』

文責:渋谷洋一

協力:二木康夫/斎藤 伸




陰険的変化
'84年にナムコ社から発売された『スーパーゼビウス』は、云わずと知れた『ゼビウス』の改良版。日本よりも、さらにさらに巨大なマーケット、アメリカに輸出するための難易度調整がされている。だがしかし、その調整、改良が曲者。

『ゼビウス』が発売されて、10日と経たないうちに1千万点という途方もないスコアを叩き出す、ゼビウスバスターが全国各地に出現。これではひとりの人間のために、何時間という時間と、その場所を確保してやっているようなもの。当然、インカムなんかは上がるはずもない。ナムコ社はそういった事態を重んじた。日本よりも重大なマーケットであるアメリカでは、絶対にそんなことがないよう、輸出版『ゼビウス』は調整、改良された。まず、全体的に難度を上げ、プレーヤーを苦しめ、高インカムを狙った。さらには途中に、これほどの攻撃なら99パーセント死ぬであろう難所を何ヶ所か配置して、恒久的にプレーさせることをほぼ無理とした。

エリア9では厄介な防御拠点ガルデロータ(メガサイト)の発見と同時にゼビウス軍最強の敵、ブラグザカート(エナジーブラスター)が出現。プレーヤーが目を奪われているあいだに、ワープ機能を持ったブラグザカートで破壊しようという陰険な時間差攻撃が展開される。さらにエリア11では、もっと露骨にプレーヤーを成仏させようとする。そのブラグザカートを、なんとボコボコと連続で出現させるのだ。その凄まじさは、反射神経などという範疇から外れるもので、これを避けるには、信じられないほどの奇跡ともいえる、幸運を必要とした。

『スーパーゼビウス』を特徴づけるものとしては他に、『ゼビウス』当時に話題になった隠れキャラクターを多数登場させたフィーチャーだ。そしてそれは、とても陰険に満ちたものだった。まずは、エリア8に出現するタンク。取れば1万点ボーナスだが、ブラスターで破壊すれば、それまで稼いだスコアは一瞬にして0点に戻される。初めてプレーするプレーヤーは、あまりの厳しさ、卑怯さに、激怒した。エリア10では滑走路にファントムが出現。これも過って、ザッパーで破壊した場合、スコアは0点。これもタンク同様、初めてここまで出現したプレーヤーは、ほぼ確実にその罠にはまった。

『スーパーゼビウス』は単に、この世の中にいる僅かばかりの1千万点プレーヤーとその可能性を持つものを懲らしめるだけに作られた。そんな異常な難度では一般的な日本人はもとより、アメリカ人にも当然受け入れられなかった。


GAMEST AND FAMITSU REPRINTED EDITION


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