ARCADE MANIAC

アーケードマニアック 第40回


1982 IREM

『ムーンパトロール』

文責:渋谷洋一

協力:二木康夫/斎藤 伸




6輪独立懸架

アイレム社から'82年に発売された『ムーンパトロール』は、それまでのアイレム社の作品とは異なり、とてもオリジナリティーにあふれる作品で、当時のゲームシーンに異彩を放つ画期的なゲームだった。

舞台は月面。強制横スクロールしていく月面はでこぼこで、岩石やクレーターやらがいたるところで障害物となり、行く手をはばむ。クレーターはジャンプで越えなければならない。加減速を左右の方向レバーで調整し、ジャンプボタンで飛び越える。タイミングはかなりシビアだ。単に加速すれば容易に飛び越えられるが、強烈に慣性がついて、操作に支障が出てしまい、結果的に死を招いてしまう。

月面に置かれた岩石はショットで破壊可能だ。ショットボタンを押すと、前方と上方に弾を発射。敵が前後方だけでなく、上空からも攻撃してくるためだ。ショットは出現する敵はもちろん、岩石も撃ち砕くが、岩石はポイントが進むと2連3連と数珠つなぎになる。数発のショットを発射しなければ破壊できない巨大岩石も存在するので、さらにそれらが数珠つなぎに置かれると、必然的に連射を強いられる。『ムーンパトロール』の醍醐味はこれら障害の複合形態、複合攻撃だ。

岩石がふたつ連なった先に、2連クレーター、されにその先に巨大岩石。前後からは敵が迫り、上空には敵UFO郡がグルグルと周りながら、弾を落としている。

プレーヤーはショットボタンを連打しつつ、加速しつつ調整して、最高のタイミングでジャンプ!「南無三」。空中で、敵UFOからの弾に当たらないよう祈るしかない。「ドン」。着地したと同時にショットボタンを連打。破壊。間髪入れずにジャンプ。後方から迫る敵をやり過ごす。空中に浮かぶ。生き残った敵UFOの弾が……。

「ダダァーン」。あからさまにエキサイティングな爆発パターン。ギャグ漫画のそれのようだ。爆発シーンがくだらなく、プレーヤーをコケにしていればしているほどプレーヤーは怒り、熱くなるのだ。熱くなれば、インカムも上がる。そして『ムーンパトロール』はヒットした。この『ムーンパトロール』はそれまでの"どこかの"ゲームという希薄なイメージを、"アイレム社の"ゲームという確固たるイメージに確立させた、立て役者だ。

とくに印象的だったのは、月面のおうとつに合わせて3輪それぞれのタイヤが独立して追従する様だ。いまでこそぎこちなく見えてしまうが、当時の薄暗いゲームセンターの中で見るその動きは、とても新鮮で感心させられた。


GAMEST AND FAMITSU REPRINTED EDITION


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