よくわかるゲーメスト50号

あの記事は今!!
よみがえる名(?)コーナー・傑作選

構成:栗原桃郎


★1986年4月19日、隔月間ゲーメスト第1号発行。
以来月日は夢の如く流れ、気付けば本棚のゲーメストも50冊を数えるほどになりました。早いものだよねばあさんや。ひとくちに50号といってもその道のりは山あり谷あり、貧乏農場か億万長者かという忙しくも楽しい日々でありました。
さて、このコーナーでは創刊依頼ゲーメストの誌面をかざってきた記事の数々、栄えほろびて(?)いった記憶の中の各コーナーを思い起こしてみるとしましょう。諸行無常に涙するもよし、バックナンバーを注文してみるも良し。ではさっそくいってみましょうか。



昔の名前で出ています!?
50号ともなれば、創刊号と同じ点を見つけろ、というほうが難しい。しいてあげればGAMESTのロゴぐらいであろうか。その間、いくつものコーナーが始まり、また連載を終えていった。

まずは、現在イレギュラーで載っているコーナーの古の姿を紹介するとしよう。

攻略やゲーム紹介をのぞくと、創刊号から載っている記事は目次驚異現象、アイランド、ピンボール、ハイスコア、VGMぐらいである。そのうち驚異現象は何回か休んだし、おそるべきことに編集後記も2回続けて落ちた!!(すごい雑誌…)ので、50号皆勤は目次とアイランドだけなのだ。創刊号なのになぜか読者のお便りが載ってるのは、3号表紙の山瀬まみ、17号のチャイルズインタビューなどと並んでゲーメスト7不思議のひとつとされている。(注…原稿が担当者急病他の理由で本に載らなかったことを「落ちた」と言う)

しいてあげるなら目次やアンケートハガキも皆勤のはずだが、実は1度間違えて前月と同じハガキをつけてしまったことがあるのだ。なんだかこんな人ばっかしである。げに素晴らしき読者の忍耐力である。若さゆえのあやまちということで、許してください。

攻略記事に関して言うと、3号のイシター2コインクリアマップ、10号の妖怪道中記1コイン天界などは、まさに極限のプレイと言う意味で印象深い。ほかにも、ダライアスやアフターバーナーIIの大特集号はページを大量にさいて多方向からその魅力を追求、またゲームもそれに十分応えうる内容であった。

そののち、グラディウスIIやテトリスなどは半年以上にわたって攻略、ゲーム自体の奥の深さも証明した。「アフターバーナーの号なんて、ハイスコアとアイランドとABIIのことしかのっていなかった」(N.O談)

思わず記事に力が入ってしまう、そんなゲームを今後も期待したい。


トシがばれます! OLDコーナー
新しければよいわけではないのと同様、古いから駄目と言うことは全くない。時には、きらりと光る新鮮なセンスが過去の中にうもれているものだ。かつて掲載されたこれらのコーナーの中には、今なお連載されていたっておかしくないものもある。そのほかにも、諸般の事情で実現に至っていないコーナーがいくつもあるのだが…。(オレがやっちゃる!と言う方は編集部までご一報ください。アタシでも可)(オカマはイヤ)

中でも、創刊号から27号まで掲載されていた「こちら発信局」は、特に印象に残る。全国の個性的なゲームサークルをとりあげてインタビューするコーナーで、ひそかに編集部の人材確保に大きく貢献していた。プレイヤーたちが身近に感じられる好企画だったが、サークルの数が急増したのと、誌面の影響力の点で復活は未定である。一説には、それまで女性だったリポーターが野郎になったのでサークルが集まらなくなったとか?

初期のゲーメストではほかに目立つ物といえば、「誌上匿名うちあけ話」がある。実在のゲームメーカー、ゲームセンターでおこったオハナシを包み隠さず(実名は出さずに)暴露してしまうと言う、今思えば実にデンジャラスかつ楽しいコーナーであった。8号から19号まで掲載された。なかなか言えない業界内の問題を自白の元に提示した。ジャーナリズムと野次馬根性にあふれたこの規格、現在のところ再開未定である。と聞いて安心する業界関係者が何人いることやら。

ゲーメストといえば、なにやら無意味な暇人的記事が時折載ることで有名だ(?)。元祖は、5号コナミ特集におけるKONOMIのニューゲーム、「リベンジ・オブ・モアイ」であろう。モアイが自機となり、バイパーを倒すと言う冗談記事であったが、編集部やコナミに問い合わせが殺到。対してコナミはグラディウスIIにホッピングモアイを登場させて編集部員をアゼンとさせた。しかしコナミ営業部の受難はこれにとどまらず、雑君保父(旧名)「ぐらつうタイムス・グラIIにまたもニューバージョン!」が掲載され、コナミの電話回線が再びパンクする。これだけ迷惑かけてるのに、ずっと広告出してくれてるコナミはえらい。

13号には「ケーメスト」、26号には「だーめすと」なるパロディ版が8ページにわたって掲載されている。ヒマな編集部である。「年刊」と明記してあるのに続きが出ないのは、タイトルが思いつかないからという線が濃厚である。

これらの発狂記事群は、現在毎月掲載中(のはず)の日本ポミネカシズムにその血統をうかがうことが出来る。世も末であろう。

マニアックな所では、キスメットイブやスィートランドの攻略、なんて記事もあったのである。昔の号を持っている人は探してみてはいかが?「なんですかー」に先がけること1年、1回きりで終わってしまった「ぜんじのQ&Aコーナー」なんてのもあるぞ。未完といえば、「大魔界村物語」とかあったよーな…。

20号から短期集中連載として始まった、「鬼のぜんじ・ゲームが10倍うまくなる法」。論理的な文章でどうしたら上手になれるか、またおもしろゲームとはなんなのかを考察している。

23号からは、それまでの紹介だけの「OLDゲーム」コーナー(落ちまくってたけど)にかわって、かつての名機とそれにまつわるスーパープレイヤーたちの生き様を熱く描いた「OLDゲーム伝説」が開始された。これは好評だったのだけれど、担当者が多忙で現在休止中である。

30号から1年間、現役業界人による「水谷潤のゲームデザイナー入門」連載。役に立ってた人もいるのでは?

同じく30号により、「読者が作るゲームデザイン・羽たまご」開始。何作かが紹介されたが、現在投稿が来ていないので休業中(オイオイ、ジョーダンはよせ!次々号を見よ!担当者)

いかにもゲーメストらしいと言えば、11号から1年以上にわたって連載された「超マニア向け講座・グラディウス1千万点への道」である。グラディウスの復活パターンを、図入りで完全に再現してしまった。マニア向け講座は、続いて「アフターバーナーII HIT1500への道」が開始されたが途中のままである。


ウラまで楽しむ!! ゲーメスト
50号も雑誌が出ていれば、時には企画倒れに終わった記事やわけのわからないミスやらも出てくる。中にはそーいったアラを探すのが楽しみ、と言う鬼のような読者の方もおられるのう。あまり物事を深く考えないタイプの人間が多い編集部ゆえ、あとから見直してただ笑うしかないような誌面もあった気がする。

毎号毎号尽きぬ話題を提供してくれる誤植だが、その多くは原稿を活字にうちなおす(写植という)段階で起こっている。字の汚さに加えて、ゲーメストならではの非日常的文体がそれに拍車をかけているわけだが、2度以上にわたって刷り見本のチェック(校正という)によってこれでもまだましになっているという。

中には、これは完全に写植屋さんがねらっているとしか思えない…というような大傑作もあるのだが、誤植の宿命で表には出てこない。校正者の記憶にある、日の目をみなかった大誤植をいくつか紹介しよう。

「パチンコファイターズ」(パソコンファイターズ)

「ミミズセンセ」(シミズセンセ)

「誘惑弾」(誘導弾)

「ファクマン」(コアクマン)


そう、誤植とは、幾度もの試練を生き抜いてきた、ひとの意識の隙間をかけぬけるタフなサバイバーなのだ。とおっても珍しいのだ。そう考えれば、一体どのような思考の飛躍によってこんな誤植が生まれてきたのか?と推察などしてみる心の余裕も生まれようというものだ。(毎号あるからありがたみがないって?どうもすみません)

雑誌と言うのは、毎月遅れずに発行されることが第一であるからして、毎月入稿まぎわには大抵編集者やライターたちが大騒ぎしながらページ調整をおこなっている。なぜかページの真ん中に、ぽかっと空白があったりするのだ。すっかりハイになった頭でひねり出すようにかいたカットやアオリ文句を見て、作り手の深層心理を知ると言うのもまたオツなものかもしれない。なぜか載っていないコーナーの事情を察するのもおもしろい。(ほとんどの場合、ページが足りなくて次号おくりにされている)

ゲーメストの伝統と言えば、載ったマンガが必ず未完に終わると言うのがある。創刊号にして、「DREAMING GAMERS」なるマンガが載っていたが第2回が出る事はなかった。当時作者が高校生で、原稿を学校の先生に没収されたらしい、と伝説にある。

続いての「メタルフリークス」は、ゲームと全然関係ないバトルアクションだったが、1年近く続いたのにうやむやのうちに続きが載らなくなってしまった。

17号から載っているのが、雑君保父改め雑君保プの「ゲーセンおわらえ」である。年4回しか載らず、某誌で「超不定期連載中」などと言われる始末であったが、未だに載り続けているあたりマイペースの強みである。目下、パラダイスワールドがどこまで続くかが興味の中心となろう。

読者も人間なら、書き手も人間である。手作りならではの雑誌の味わいを楽しむのも、またほんの面白さのひとつではないだろか?(ないない)


ゲーメスト復刻メインへ戻る。


inserted by FC2 system