ファイナルファンタジーII


スクウェア 1988年12月17日発売

6500円 2M+64KRAM

フィールド型RPG

キャラクター・コマンド操作 Aボタン 決定
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FFシリーズ第2弾
1987年の12月、それまでドラクエ一辺倒だったファミコンRPG界に彗星のごとく出現したRPGである、ファイナルファンタジーの第2作目。

基本的なゲームシステムなどは前作を踏襲してはいるが、それまでのRPGの既成概念を打ち破った革新的なシステムが多く取り入れられており、良くも悪くもオリジナリティ溢れる斬新な出来栄えとなっている。

その中でもFFIIの最大の売りとなっているのが「熟練度」だ。








成長システム
このゲームにおける最大の特徴といえば、やはり何といっても経験値というものが存在しないことだ。

経験値というシステムはある一定の値まで溜めていくとレベルアップする訳だが、このシステムだと仮にドラクエIのように、スライム7匹倒してレベルが1から2までアップするということにすると、0匹倒した勇者と、6匹倒した勇者では、当然能力値は変わらないということになる。

人間は日々成長していく訳だから、普通に考えたらまだ1匹も倒していない勇者と、6匹倒した勇者とでは、やはり6匹倒した勇者の方が能力的に勝っていないとおかしい訳だ。




FFIIが経験値ではなく、戦闘をこなしていくと、リアルタイムで必ず何かしらの能力値の値が上がっていくという、熟練度のシステムを採用したのも、この辺りの矛盾から浮かび上がってきたからだと思われる。

しかし、結局この熟練度システムはユーザーの不評を買い、失敗に終わったため、以後のシリーズでは採用されることはなかった。 敵を倒せば確かにギルとアイテムは入手出来るし、戦闘は必ずこなしていかないとならないのだが、やはり経験値がないと単なる時間稼ぎにしか思えず、「敵と戦う」ということの意味が、他のRPGと比べた時にとても希薄なものと感じてしまったのである。

また熟練度は敵を攻撃した回数などではなく、コマンド入力をした回数によって決められていたため、コマンドのキャンセルを繰り返していけば戦闘の回数をこなさなくても熟練度が上がっていく、というテクニックが発見されたことも、このシステムが失敗に終わった原因だった。

私的にはこの戦闘をすれば必ず何かのパラメーターが上昇するというシステムは、とても素晴らしいアイデアだったとは思うので、もう少し調整をして完成度を高めて欲しかったと思う。





ストーリー
熟練度システム以外でのこのゲームの特徴と言えば、プレイヤー自身が主人公になれた前作とはガラリと趣を変え、プレイヤーは完全に第3者的な立場となってゲームを進行させていくことだ。

一応名前は自由に入力出来るとは言え、あらかじめフリオニール、マリア、ガイ、レオンハルトと言ったように主人公たちの名前が設定されているし、もちろん性格も位置付けられているため、この時点でプレイヤーには、このゲームは完全にストーリー重視の展開で進んで行くのですよ、ということを示している。このためプレイヤーはゲームを「やらされている」感が強いが、それだけにストーリーは抜群の出来栄えを誇っており、感動することは間違いないだろう。




ただそれはいいのだが、オープニングでいきなり黒騎士によって全滅させられ、行方不明になったレオンハルトの替わりになる計5人の内、3人が主人公たちのために犠牲になってプレイヤーの涙を誘うやり方は個人的には安易な感じがして好きにはなれない。

さらに戦闘で死ぬとレイズの魔法であっさり生き返ってしまうのに、ストーリー上だと生き返れない、というのも矛盾している。後のシリーズではHPが0になると死亡ではなく「戦闘不能」扱いになったため、上記のような矛盾点はなくなりましたが、やはり人を殺して安易に涙を誘う、といった方法は出来れば控えて欲しいところだ。

またそのような暗いストーリーであるため、BGMが全体的に暗すぎるという特徴もある。これは毛利名人も指摘していた事だが、それまでのRPGといえば勇ましい曲が多かったため、ゲームをプレイしていながら気分が暗くなってしまうというのはやはり厳しいものがあった。





その他の特徴
このゲームはストーリー重視である、というのは以上の通りだが、それだけに簡単に進めてしまうということは決してなく、むしろ難易度的には難しい部類に入る。

スタートして2番目に行く町であるフィンの町の兵士に話かけると、その時点ではまず勝ち目のないキャプテンとの戦闘になってしまうし、ダンジョンも最初から5階もあるなど、なかなか戦闘から逃げられないことも手伝って、最初から非常に嫌らしい箇所が多いのだ。

その極めつけが、究極の魔法「アルテマ」があるミシディアの塔だろう。全10階もある上に、石化などの特殊攻撃を使う敵が非常に多く、難易度が異常に高いためゲーム中で最高に辛いイベントなのだ。



それでいてアルテマの魔法が強ければ良かったのだが、このゲームでは魔法攻撃よりも、武器によるダメージの方がはるかに高くなっているので、アルテマを取っても使用する必然性は皆無なのである。確かに他の魔法のレベル1と比べれば与えるダメージは大きいし、さらに数回に1回は大ダメージを与えられるなど弱い敵にはそこそこ使えるものの、反面レベルを上げていけばいくほどダメージの平均値は上がるもののクリティカルヒットの回数が少なくなるという、結局苦労して取った後に残ったのは空しさだけだった。





当時のお話
FFシリーズは個人的にいまいち性に合わない感じがしたため、発売しても長い間縁がなかったのですが、ドラクエIVも一段落した頃に私と仲の良かった友人が、人からFFIIを借りてプレイし始めたという事をきっかけとして私も興味を持ち始めましたので、すぐに人から借りてプレイしていきました。

初めて触れた時の印象と言えば、やはりゲームにのめり込むことが出来なかった、ということでしょう。ファミマガのゲーム通信簿の熱中度ではかなり高い点数だったので、それなりにハマれると思っていた私は、いきなり肩すかしを食らった気持ちになったものです。





またII発売当時は全くゲーム雑誌は読んでいませんでしたから、誰に何の武器が合っているかなどもわからず、全員に剣を持たせてしまっていましたし、マニュアルもなかったのでキャラの名前もよくわからず、フリオニールは自分の名前、レオンハルトに至っては空白という、まあいわゆるどうしようもない有様でした。

攻略に関してはファミマガ付録の簡単な攻略本を持っていましたので、ストーリーの部分では次にどうするかと悩んだことはないのですが、それ以外の点ではダンジョンは深いわ、敵からは逃げられないわ、敵の特殊攻撃は容赦を知らないわで、とにかくしんどい、その一言でしたね。中でも一番辛かったのが、やはりミシディアの塔です。





難しくても全滅後もそのまま続きが出来ればいいのですが、このゲームでは全滅してしまうとそれまでに費やした時間が一瞬にして無駄になってしまう訳ですから、本当にこのイベントは辛いものがありました。

それでも何とかアルテマの本を入手し、パンデモニウムまで辿り着いたのですが、当時の私の友人たちは皇帝が倒せず、エンディングまでは辿り着いていなかったのです。そこで私は、ファミマガに載っていたウォールを相手にかけるとレベル1デスが必ず効くというウル技が皇帝に使えるかどうか試してみた所あっさりと効いてしまったため、何の問題もなく皇帝を倒せてしまいました。

それからソフトを返していったのですが、キャラクターの名前をちゃんと入力していなかったことが心残りになったことと、ゲーム中の世界観が気に入ったため、まもなく新品で2980円で購入してしまいました。

それでクリアしてもすぐに2回目をプレイする羽目になったのですが、すでに授業中ノートにキャラクターの絵を書いてしまうほど、私はこのFFIIを気に入っていたため苦にはなりませんでした。それから10年後ワンダースワンカラーで復刻され、さらにPSでもリメイクされましたが、個人的にはやはりPS2あたりで、大きくグレードアップさせて復刻して欲しいものですね。








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キャ 音楽 操作 熱中 買得 独創 総合
4.54 4.55 4.26 4.60 4.23 4.31 26.49



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