餓狼伝説2
−新たなる闘い−

PCE CD-ROM2 アーケードカード専用ソフト

ハドソン 1994年3月12日発売

6900円 CD-ROM

対戦格闘

6ボタンパッド対応

十字キー キャラクター操作

ボタン1 弱パンチ
ボタン2 弱キック
ボタン3 強パンチ
ボタン4 強キック
 ボタン6 ライン移動
  ボタン6 ライン飛ばし
(ボタン配置は任意で設定可能)



CD-ROMを最大限に
SFCに続く、アーケード版餓狼伝説2の移植作品。

当時は格闘ゲームのキャラパターンを再現するには家庭用の容量ではとても足りず、パターンの削減や画面の圧縮が当たり前、さらにはMD版餓狼伝説のようにキャラクターそのものがカットされてしまう事すらあったほど、忠実移植などは夢のまた夢という時代であった。

もちろんCD-ROMの容量に関してはアーケードゲームをまだまだ遥かに上回ってはいたが、肝心のバッファRAMがPCEは2Mbit、MEGA-CDでも6Mbitでは当然足りず、こちらでも忠実な移植は不可能だったのだ。




そんな時代にPCEお得意の拡張機能を活かした「アーケードカード」を使用し、ストII以降の格闘ゲームの移植としては家庭用初のキャラパターン完全移植を成し遂げた移植作品が、このPCE版餓狼伝説2だ。

もちろんバッファRAMが増えたとは言っても元のハードがPCEである以上、所詮はアーケード版に及ぶべくない移植である事は発売前から誰もがわかっていたことではあったのだが、それでも家庭でアーケード版と全く同じキャラの動きでプレイ出来るというのは当時のゲーマーたちの夢でもあっただけに、PCEユーザーの期待感は相当大きなものがあった。





アーケードカード
前述の通りこのPCE版餓狼2はアーケードカードという新たな周辺機器を使用した作品だ。

アーケードカードというのは16Mbit、PCで言うなら2MバイトのRAMを積んだカードであり、これを使用する事によってSUPER CD-ROM2本体の2Mbitと合わせて計18Mbitの容量が使用出来るようになる。

旧CD-ROM2システム使用のユーザーには当初はスーパーシステムカードと組み合わせて使う事の出来るアダプタが考案されたが、コストが余計にかかってしまうと言う事で後者のカードの機能も含まれたアーケードカードPROが別に発売された。



今考えれば18Mbitなど大したことでもないのだろうが、単純にSFCストII以上の容量が全て1ステージに費やせるという事を考えたら当時としてはこれはどえらい事であり、よってゲーマーの期待というのは大変大きく専門誌でも毎号のように特集が組まれていたものだ。

このおかげでキャラパターンの完全移植は容易になった訳だが、それらの利点を全て無に返してしまうほどの大きな欠点が存在したため、結局は一部のマニアに受けただけであった。

それらの各欠点だが、まずひとつめはその価格だ。




アーケードカードDUOは12800円、PROは何と17800円という、ゲームに必須な周辺機器としてはあまりにも高すぎる価格であり、ソフトと合わせると楽に2万円前後となってしまうため、学生ゲーマーにとってはかなり厳しい価格設定と言えた。

スーパーシステムカードが9800円だった事を考えると随分価格を抑えたものだと当時は思ったものだが、それでもDUOですらメガドライブ2と同価格、つまり1家庭用ハードが買えてしまう価格であり、PROに関してはもはや論外と言って良い。





機能的な欠点としてはやはりロード時間の長さだ。バッファRAMが増えたとは言っても所詮ドライブは等速に過ぎないため、読み込み時間はそれこそ桁違いに長く、テンポが重要視される格闘ゲームにとってこれはあまりにも辛い問題であった。

以上のような欠点があったためか期待されたほどのセールスは叶わず、ソフマップなどでは怒涛のごとく値下げが敢行され、発売から2ヶ月経った頃になると餓狼2と合わせて1万円で発売、中古市場ではほとんど捨て値で発売されていた。

この年の年末にPS、SSら各次世代機が発売され、結局アーケードカードの寿命はほぼこの年限りで終わった事を考えると、こんな馬鹿高い周辺機器など発売せず素直に次世代機に力を注ぎ、そちらで改めて移植して欲しかったものだ。


ゲーム内容
このPCE版餓狼2は確かにアーケード版のキャラパターンが完全に再現されているが、キャラの操作感覚そのものがやや鈍く、また解像度の関係もあるのかキャラクターがやや細めという事も重なって、アーケード版をやり込んだプレイヤーにとっては似て非なる作品である事は間違いなかった。

そんな訳で私の気付いた限りのアーケード版との差異、PCEのみの特徴などを順に紹介していこう。






タイトルデモ

ナレーションはアーケード版同様だがキャラクターはスプライトではなく、背景として表現されているため単独で動かず、文字の速度も早くなってしまっている。












各モード

ほぼ家庭用ネオジオ版と同様だ。

もちろんARCADEではアーケード版のアルゴリズムが忠実に再現されているが、ライン投げが一切通用しないため、難易度はかなり高くなっている。

もっとも私はすぐに自力でテリーによる「ライン投げガード→強足払いキャンセルクラックシュートをガードさせる→投げ」というパターンを発見したので、テリーに関してはクリアはさほど苦労しなかった。





コントローラ

やはり6ボタンパッドを使うのが理想だが、2ボタンの場合でもRUN、SELECTに割り振る事ができ、ポーズも4ボタン同時押しで行う事が出来るため、シグマのスティックを使っていれば2ボタン用ケーブルでも普通にプレイ出来る。











BGM

BGMはキャラセレクトや中間デモを除き全てCD-DAによるアレンジ曲であるが、このアレンジがかなり軽い感じのアレンジで正直その出来はかなり厳しく、ジョーステージの声も最初しか聞けないなど、金をかけずに適当に作られた感がみえみえであった。

因みに意外にも、後に小室哲哉氏をサポートしていた久保こーじ氏がアレンジに参加している。








SE・ボイス

ボイスはさすがに容量に余裕があるだけにクリアだが、ADPCMは全てボイスに廻されているため、内蔵音源のみのSEの迫力は皆無だ。

ストIIとは異なり通常技でもボイスが発せられる餓狼では仕方ないかもしれないが、SEがあまりにも迫力が欠けるので、出来ればSEもADPCMで再現して欲しかったものだ。









背景

ゲージはストIIダッシュ同様、ゲージの周りを黒くして表現されているが、解像度の関係からアーケード版とは異なり横一杯に表示されている。

2重スクロールはラインスクロールで再現出来るステージ以外は、一切なし。

舞ステージの水の流れは非常に良く出来ており、PCEでここまで再現してくれるのは感動ものだが、旗がスプライトのため処理落ち・チラつきが激しいのが難点。

十平衛ステージのふすまもそのまま再現されており、その他キムステージのバイクなどもちゃんと登場するようになっている。


ローレンスステージの猛牛は背景をうまく簡略化して表現されている。

舞やローレンスステージの背景の表現はPCEのハードを考えれば見事なものであり、このような技術を見た時の感動は、今の豪華なハードでは決して味わえない当時のハードならではのものだ。




エンディング

日付は全て発売日の1994年3月12日に固定されている。

スタッフロールは前半はアーケード版同様のロールが流れ、それが終わるとハドソンのスタッフのロールが別にスタートするようになっている。

エンディングはこちら。













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