餓狼伝説SPECIAL

SNK 1993年9月16日発売

NEOGEOシステム 対戦格闘

8方向レバー キャラクター操作

Aボタン:弱パンチ
Bボタン:弱キック
Cボタン:強パンチ
Dボタン:強キック



餓狼オールスターズ
餓狼2の発売からわずか7ヶ月後に発表された、シリーズ3作目となる「餓狼伝説SPECIAL」。

見た目自体は2そのまんまのため、単なるバージョンアップ版に思えてしまうが全体的なスピードアップや連続技の導入により、まるで違うゲーム性へと進化している。

キャラクターは2の12人に加え、1からの復活キャラ、そして龍虎の拳からのスペシャルゲストも加わり、総勢16人と言うまさにスペシャルに相応しい面子が揃っている。




発売は9月であったが、7月末にフジテレビ系で放映された餓狼2のアニメにおいて、アーケードゲームとしては極めて珍しいCMが放映された事などにより、発売前からゲーマー間での話題は沸騰していた。発売してからも餓狼2を遥かに凌ぐ人気を誇り、前作ではさほど多くはなかった対戦台も数多く見られるようになった。

そして餓狼2では果たせなかったストIIの牙城を崩し、餓狼シリーズとしては初めてゲーメストの人気ランキングで1位を獲得した。ゲーメスト大賞では大賞は叶わなかったがターボ、スーパーを超える2位に食い込み、餓狼シリーズの人気を確立した。





ゲーム内容
前作から大きく変わった点は、全体的なスピードアップと操作性の向上、連続技が可能になった事だ。

スピードアップと言っても某ゲームのように単純なスピードアップではなく、キャラクター単位でしっかりと調整された上でのスピードアップのため、プレイする上での弊害などは全くない。そして前作での難点であった必殺技の出し辛さも解消され、超必殺技なども楽に出せるようになっている。

連続技は読んで字のごとくであるが、某ゲームとは異なり小技の連打から大技、必殺技に繋がる小気味の良い連続技が多く、これは餓狼SPならではの面白さであった。


ただ連続技で一気に決まってしまうと超必殺技の存在意義がなくなってしまうので、ひとつひとつの技のダメージはかなり小さくなり、某ゲームのようにゲージ半分から一気にKOと言う事はほとんどない。


超必殺技
超必殺技の存在や出る条件は2そのままであるが、前述のようにダメージがかなり少なくなり、特に舞などの楽なコマンドで出せる技は極めてダメージが減ってしまった。

その反面、三闘士や復活キャラの超必殺技は強力なものが多いが、それだけにコマンドが異常とも思えるほどの複雑さであり、技をかけた後の硬直時間を利用してでないととても出せないようになっている。その中で最も代表的なのはやはりダック・キングのブレイクスパイラルだろう。その吸い込みやダメージの高さからゲーマーの中での憧れ的な技であったものだが、コマンドが一旦上まで回してから一番下に入力すると言う破天荒なものであり、実戦で出すのは容易ではなかった。



強い強いCPU
今作を初めてプレイした人が最初に思う事は、やはり何と言っても「CPUが強い!」に尽きるだろう。

反応速度がとても素早いのに加え、ダメージも明らかにCPUの方が大きいのだから、何も考えなしにプレイしているだけではあっという間にKOされてしまう。中でも十平衛の強さは尋常ではなく、まずはコイツを最初の対戦相手に持ってくると言う事が絶対のセオリーであった。

これはもちろんプレイヤーが格闘ゲームに慣れてきたがための策であったが、インカムの効率を上げるのに単に難易度の向上しか考えられなかったのは何とも浅はかであった。


この少し後にセガからバーチャファイターが発売されたが、こちらはスコアではなくタイムアタックを取り入れ、上手ければ上手くなるほど早くクリア出来てしまうと言う、それまでの格闘ゲームとは真逆の概念を含ませる事に成功し、CPU戦でも十分インカムを得る事に成功したが、この1件だけでも最大手とそうではないゲームメーカーの格の違いと言うのを見せ付けられた感があった。

シューティングとは異なり、パターンさえ覚えてしまえばクリアは近いのでその点は敷居は低いのだが、やはりパターン化必須と言うのはプレイしていて実につまらないものがあった。





キャラクター紹介

Terry BOGARD

NATION:USA
FIGHTING STYLE:MARTIAL ARTS AND JEFF's QUARREL STYLE


前作では弱めのキャラであったが、今作品では全体的な技の出が早くなり、連続技も小技が1回入れば持って行けるため、とても使いやすいキャラへと進化した。

CPU戦は前作同様相変わらずビリーが強敵であるが、それ以外は連続技が簡単に決まるキャラが多いので、クリアもしやすい部類に入るだろう。








Andy BOGARD

NATION:USA
FIGHTING STYLE:KOPPO


斬影拳に一瞬溜めが必要となり、間合いも離れてしまうためはめは出来なくなった。さらに避け攻撃も弱くなり、連続技も少ないため前作のような圧倒的強さはなくなってしまった。

逆に空破弾は強化され、CPU戦では必須の技となった。超烈破弾は相変わらず出し辛いが、後に色々研究されてからは前作よりかは使えるようになっていった。








Joe HIGASHI

NATION:JAPAN
FIGHTING STYLE:MUAY THAI


東も全体的に弱体化されたが、まだまだ強力な部類であり、特に立ち小パンチがレバーを入れ続ける事によって相当数連続で決まるのが大きな強みだ。CPU戦も特に苦手なキャラがないため、クリアするのもかなり楽であった。











Big BEAR

NATION:AUSTRALIA
FIGHTING STYLE:PROFESSIONAL WRESTLING


元々の動きが遅いため、連続技らしい連続技はほとんどないが、その分通常技の威力が桁違いに強く、大足払いで他キャラの投げ程度は減らす事が出来る。

ジャイアントボムは出始めが無敵になり、スーパードロップキックはボタンを押した時間で威力が決まるなど、必殺技はかなり強化された。








YAMADA Jubei

NATION:JAPAN
FIGHTING STYLE:JUDO


新技として「猫じゃらし」なる技が加わり、これはライン飛ばしをガードさせて決める事が可能であるため、CPU、対戦共に実に重要な技となっている。連続技のバリエーションも非常に多く、その点も使っていて楽しいキャラと言えるのだが、攻撃力が全キャラ中最低であるため、常に辛抱強い展開を強いられる。

そして忘れてはならないのがCPUの十平衛であり、とにかく異常な強さを誇っているので、前述のようこいつを1戦目に持ってくるのが攻略のセオリーだった。






CHENG Sin Zan

NATION:TAIWAN
FIGHTING STYLE:TAI CHI


前作では最強を誇ったチンだが、あまりの不人気ぶりのせいかはわからないが大幅に弱体化され、そのためかゲーセンでチンを使っている人を見かける事はほとんどなくなってしまった。

しかし十平衛の次ぐらいにガシガシ連続技が決まるので、見た目さえ気にしなければ面白いキャラだと言われる。









KIM Kaphwan

NATION:KOREA
FIGHTING STYLE:TAE KWON DO


頂点でなくても、戻り際にも蹴りを放てるようにもなり大幅に強化された飛翔脚、接近小パンチが1発でも入れば超必殺技まで入ってしまう連続技の強力さなど、あまりの強さのため誰もが認める餓狼SP最強キャラであった。

CPU戦も非常に楽な部類なので、とりあえずクリアを狙うのならキムしかないだろう。








SHIRANUI Mai

NATION:JAPAN
FIGHTING STYLE:NIN-JITSU


舞は小技が連続で入らないので、まともな連続技はほとんどないが、ムササビの舞が全ステージで可能、避け攻撃の隙が小さく、そして大の龍炎舞が対空兵器と化したので、前作と同様に対戦ではかなり強力なキャラであった。

超必殺忍蜂は威力自体は非常に弱くなってしまったが、削りとして使えばかなりのものだ。








Duck KING

NATION:USA
FIGHTING STYLE:DANCING STYLE


初代餓狼からの復活キャラ。

それまでの格闘ゲームにはなかったタイプのキャラであり、プレイヤー人気もなかなかのものがあったが、ダックの特徴と言えばやはり何と言っても超必殺技のブレイクスパイラルだ。

いわゆる吸い込み系の技であるが、コマンド入力が極めて難しく、コマンドが公開されてからもそうそう思い通り出せる人はいなかった。それだけに使いこなせれば超強力な事この上なく、出せるか否かで全く対戦での強さが変化していた。





TUNG Fu Rue

NATION:CHINA
FIGHTING STYLE:TAI CHI


こちらも餓狼では御馴染みの、ボガード兄弟の師匠タンだ。

前作のイメージを受け継いだ必殺技も使え、アニメーションの数もとても多いため使っていて楽しめるキャラではあるが、リーチの短さが災いしたのか対戦では最弱クラスのキャラであった。

それでも超必殺技の旋風剛拳の威力は凄まじく、ガードの上からガンガン削る事が可能だ。







Billy KANE

NATION:UNITED KINGDOM
FIGHTING STYLE:STICK STYLE


プレイヤーキャラとして使った場合、かなり強いだろうと思われていたビリーだが、案の定やはり強く、棒を活かしたリーチの長さは何と言っても強みだ。CPUのビリーもかなり強く、パターンを構築出来ないと成す術なくやられてしまうだろう。

超必殺技の超火炎旋風棍はとても出し辛いが、それだけにこれを出しただけでもギャラリーが沸いたものだ。








Axel HAWK

NATION:USA
FIGHTING STYLE:BOXING


前作の真空カッターに代わり、今作では初代でM・マックスが使用していたトルネードアッパーが使えるようになった。東とは異なりコマンドが短いのが強みだが、その代わり隙が大きい。

超必殺技は前作で挑発をした時にのみ繰り出してきた、アクセルラッシュだ。計3発のパンチを放つが、実際は2発しか当たらないようになっている。








Laurence BLOOD

NATION:SPAIN
FIGHTING STYLE:ORIGINAL MATADOL STYLE


超必殺技が加わった以外、前作そのままに近いキャラではあるが、対CPUローレンス戦はバックジャンプでブラッディスピンを発生させられるため、それは前作よりも大分楽になったと言える。

超必殺技はサーベルを振り回すブラッディフラッシュだが、この入力コマンドも非常に難しく、頭で覚えただけではとても使えるものではなかった。








Geese HOWARD

NATION:USA
FIGHTING STYLE:KOBUJITSU


初代の最終ボスでお馴染みの悪の総帥・ギース・ハワードだ。前作のエンディングで死んだ事になっていたが、一応死んでいないと言う設定で復活している。

悪役ではあるが見た目はもちろん、各必殺技、当て身投げ、真空投げなどのひとつひとつの技も非常に格好良いので、増刊号のプレイヤー人気では主役のテリーを押さえ見事1位に輝いた。








Wolfgang KRAUSER

NATION:GERMANY
FIGHTING STYLE:MIXED MARTIAL ARTS


CPU戦では前作に引き続き最終ボスであるが、ライン攻撃が致命的に弱いためカウンターを合わせれば楽勝で倒せるようになってしまった。

対戦でも初期は弱かったが、ブリッツボールの隙の少なさが有利に働き最終的には上位に食い込んだ。









Ryo SAKAZAKI

NATION:JAPAN
FIGHTING STYLE:KYOKUGENRYU KARATE


無敗でCPU戦を15人倒した時のみ出現する、龍虎の拳からのゲストキャラ。

さすがにCPU専用キャラと言う特権を活かし意地悪なほど強く、通常技の判定はもちろん威力が半端ではなく、投げは3回食らったら終わり、龍虎乱舞に至ってはゲージ3分の2も持って行かれてしまう。ただコイツも例外ではなくパターンに簡単にはまってしまうので、キャラによっては簡単に勝つことは出来る。

家庭用ネオジオでは対戦で使用する事も可能であるが、その場合いくつかの技が弱体化してしまっている。





個人的な思い出
私は前作をまともにプレイし始めた時期が、このSPの発売直後だったので、当然SPには歯が立つ訳もなく、発売してからしばらくはほとんどプレイする事はありませんでした。

発売から2ヶ月ほど経ち、台が開き始めた頃から次第にSPを中心にプレイしていくようにはなりましたが、ゲーメストでもまだCPUの詳しい攻略が掲載されてませんでしたので、2戦目辺りまでしか進めませんでした。

1月号が発売されて、ほぼ攻略が出回ってきた頃になるとようやく私もそれなりに進める事が出来ましたが、某ゲームとは若干タイミングが異なるためかテリーの連続技がなかなか出せず、結局初クリアは連続技が最も楽なジョーで達成する事となりました。

その当時はまだ餓狼2はクリア出来てませんでしたので、その頃はチマチマな闘いにならざるを得ない2よりも、連続技で一気にダメージを与えられるSPの方が遥かに楽だ、とプレイ開始当初では思いもよらぬ感想を抱くようにもなってしまいました。

その後連続技のコツを掴んだ私は、テリー、キムでもクリアはする事ができ1回程度ですがテリーでリョウも倒す事が出来ました。

対戦はあまり行いませんでしたが、私がこれほど格闘ゲームのCPU戦をプレイしたのはおそらく初代ストII以来の事でしたから、今でもこの餓狼SPは大変思い出深いゲームとなっています。







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