餓狼第2弾 |
ネオジオ初の大ヒット作となった餓狼伝説の発売から1年後に発売された、餓狼伝説の第2作目。
前作は格闘アクション色が強かったが、この餓狼2ではストIIと同様プレイヤー同士の対戦というのを強く意識した作品と様変わりしている。
そのため見た目はストIIそのままに感じてしまうのだが、実際にプレイしてみるとストIIとはまるで異なるゲーム性を持っていることがわかるため、ストII一辺倒だった対戦格闘に新たな可能性を開いた作品となった。
同時期に発売されたストIIダッシュターボを人気ランキングでは超えることは出来なかったが、それでも前作を上回る大ヒットを記録し、家庭用ネオジオの普及にも貢献するなど、当時のネオジオを代表する作品となった。
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ゲーム内容 |
前作では攻撃の強弱はなかったが、今作ではネオジオの4つのボタンに強弱が振り分けられており、より細かい攻撃が可能となった。さらに今作ではABボタンの同時押しで自らライン移動が可能となり、CDボタンの同時押しでは強力なライン飛ばし攻撃を行うことが出来るようになった。
そのため操作がかなり複雑化し、MVS筐体の横一列のボタン配置ではややプレイし辛い部分もあったが、その反面プレイしやすいようにストIIのコンパネを使用し、ストIIの強パンチとキックにライン移動とライン飛ばし攻撃を割り当てていたゲーセンも多く見かけた。
必殺技は前作よりかは遥かに出しやすいが、それでもストIIに比べると若干出し辛く、レバーのメンテが悪いと全く出なかったりすることがあったため、メンテのしっかり出来る店でないととてもプレイする気にはなれなかったものだ。
以上がこの餓狼伝説2の主な特徴だが、ゲーム性としての最大の特徴は、やはり徹底したはめ技対策が施されていることだろう。
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正々堂々 |
餓狼2が開発されていた頃、ゲーセンではストIIダッシュの対戦真っ盛りだったが、同時にはめ技論争が大きく湧き上がっていた。
その影響からか、餓狼2では過剰とも言えるほどのはめ技対策がなされており、どんなに攻め込まれている状況に陥っても、必ず逃げ道が用意されている。
その最たるものはガードした状態から相手の方向+Aボタンで出せる避け攻撃で、これは体の一部が無敵となるため相手の技に簡単にカウンターを入れることができ、さらに必ずダウンするため
端に追い込まれても簡単に逆襲出来る。
もちろんライン移動で逃げる手段もあるため、以上のようストIIのような投げはめはほとんど不可能なのだが、それでもCPU戦のライン投げや、対戦におけるアンディの斬影はめなど、一部キャラにはめ技が存在してしまったのは残念だった。
そして餓狼2では相手がダメージを受けている場合はやられ判定が存在しないため、連続技が不可能になっているのも大きな特徴だ。そのためチマチマした展開になりやすく、豪快さに欠け逆転し辛い部分もあるのだが、それを補う存在が「超必殺技」だ。
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超必殺技 |
餓狼2より少し前にリリースされた「龍虎の拳」では自身の体力が少なくなった時にしか出せない「龍虎乱舞」という隠し必殺技が話題を呼んだが、この餓狼2でも「超必殺技」が用意されている。
龍虎とは異なり気力はないので、ゲージが点滅状態になっていればいつでも出せるのだが、当然この餓狼2においても隠し必殺技であり、発売からしばらく雑誌などで紹介されることはなかった。
それでも正式発表前からコマンドが広まっていったため、対戦大会などでは超必殺技が出ただけでギャラリーから歓声が上がったものだ。
雑誌上で正式に発表されたのは発売から2ヶ月以上過ぎてからだが、各コマンドはそれまでの格闘ゲームからは考えも付かなかったような複雑なコマンドだったため、元々の入力が受け付けづらいこともあって思い通りに出せるようになるためにはそれなりの練習が必要だった。
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雑誌のプッシュ |
この「餓狼伝説2」がゲーメスト誌上で発表されたのは93年1月号だったが、翌2月号ではゲーメスト大賞発表号にも関わらずトップ記事、さらに3月号ではすでに餓狼2増刊の発表そして4月号ではファイナルファイト以来のゲーメストオリジナルビデオの発表と、まさに過剰なまでのプッシュがなされていた。
確かにヒットはしていたものの、結局はストIIダッシュターボの牙城を崩せず人気1位に輝けなかった餓狼2にそこまでのプッシュがなされると、さすがに優遇しすぎではないかと思ったものだ。
その餓狼2のプッシュをきっかけとして、その後は格闘ゲームの増刊号の発売がほぼ1月1作のペースとなり、同時にゲーメストのビデオの発売も行われていった。
それまで単独の増刊が別格的存在のストIIの2作しかなく、他の格闘ゲームがストIIと同列に並べられるような感覚になっていったのは正直複雑な気分であったが、まあそれだけ当時のアーケードゲーム界が活気付いていたことの証でもあったのだろう。
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キャラクター紹介 |
テリー・ボガード
出身:アメリカ
格闘スタイル:マーシャルアーツ&ジェフ流喧嘩殺法
前作に引き続き、餓狼伝説2の第1の主人公。見てくれも必殺技も格好良く勝利のポーズもきまっているなど、ゲーマー人気はダントツの1位だった。CPU戦もビリーの対策さえ出来ていれば比較的楽にクリア出来る部類のため、とりあえず初心者にもお勧めのキャラだ。
超必殺技はパワーウェーブの強化版であるパワーゲイザー。技の判定は大きいが、前に進んでいかず非常に当て辛いためあまり使えない。
アンディ・ボガード
出身:アメリカ
格闘スタイル:骨法
前作では最もクリアしやすかったアンディだが、今作でも斬影拳の強さは健在で、CPU戦、VSプレイヤー戦でもどちらともかなり有利に闘うことが出来るだろう。しかし主役3人の中では最も地味なため、見た目重視でキャラを選択するプレイヤーには人気がなかった。
因みにアンディの立ちポーズは大きく体を上下しているが、実戦でこんな構えをする選手はまずいないだけに、これはゲームとはいえ不自然極まりなかった。
超必殺技は空破弾の強化版である超裂破弾。攻撃判定は強い技だが、真下に溜めなければならないため使いどころの難しい技だ。
東丈
出身:日本
格闘スタイル:ムエタイ
前作よりかは必殺技は使いやすくはなっているが、それでもタイガー・キックとスラッシュキックは慣れないうちはジャンプしてしまうことが多く、やはり玄人向けのキャラと言える。しかし通常技は強く、特に避け攻撃が全キャラ中最強を誇るため、対戦ではかなりの上位に来るキャラだ。
超必殺技はハリケーンアッパーの強化版であるスクリューアッパー。こちらはパワーゲイザーとは異なり若干ではあるものの進んでいくため、そこそこ使える技だが、隙が大きいため当たらないと確実に反撃されるだろう。
ビッグ・ベア
出身:オーストラリア
格闘スタイル:プロレス
前作のライデンがマスクを脱いで再登場した姿。モデルはおそらく日本マット界常連外国人のひとりであるベイダーだと思われるが、ゲーム中のベアはまるでプロレスらしさを感じさせないレスラーとなっている。
超必殺技はファイヤーブレス。非常に攻撃判定が大きいので、かなり使える技だが出ている時間が長い分、当たらないとライン攻撃で簡単に返されてしまう。
山田十平衛
出身:日本
格闘スタイル:柔道
柔道家らしく非常に多くの投げを使い、飛び道具としてセンベイ手裏剣なる技まで繰り出してくる。それまでの格闘ゲームでこれだけの投げ技を持つキャラはいなかっただけに、使いこなせれば面白いが、CPU十平衛はライン投げが通用しないので、その分好まれないキャラであった。
超必殺技はダイナマイトいづな落としだ。投げ技なのでそう出せる機会はないが、出し方は簡単なので比較的使いやすい技となっている。
チン・シンザン
出身:台湾
格闘スタイル:太極拳
アンディと並び対戦では最強クラスの強さを誇るが、あまりにも不快な風貌と声から不人気極まりなく、見た目の格好良さを重視するプレイヤーには見向きもされなかった。CPU戦では後半4人に比較的強いが、足が遅く他のキャラのようにライン投げは使えないので、面倒な闘いを強いられるだろう。
超必殺技は機雷砲の強化版である爆雷砲。出るまで時間がかかるため声でわかってしまうが、コマンドが簡単なのが強みだ。
キム・カッファン
出身:韓国
格闘スタイル:テコンドー
テコンドー使いだけあってCボタンでもキックが出るようになっており、3つの必殺技も全て蹴り技というキャラだ。またテコンドーこそ最強の格闘技である、ということを証明するのが闘う理由らしいが、昨今の状況を見る限りそれはないだろう。
超必殺技は鳳凰脚。「龍虎の拳」の龍虎乱舞と同様、短い間に次々と技を繰り出し最後は飛燕脚で締めるという豪快な技。この技の最大の特徴は遠距離でガードされるとスカってしまい確実に反撃されてしまうが、逆に密着状態では相手はガード不可能なため確実に決められるという所だ。よって出し所は限られてしまうが、決まれば爽快感抜群の技なので、密着状態の時にはいつでも狙えるようにしておきたい。
不知火舞
出身:日本
格闘スタイル:忍術
餓狼伝説2の紅一点であり、明らかに第2の格ゲーヒロインの座を狙ったと思われるキャラだが、忍者らしくない露出度の高い衣装と、例によって高飛車な性格がたたってか、ゲーメスト増刊でもゲーメスト大賞でも人気1位にはなれなかった。しかしそれなりに使いやすくCPU、対戦ともに有利なため初心者にはおすすめのキャラだ。
超必殺技は必殺忍蜂をさらに強力にした、超必殺忍蜂。ダメージこそ少ないもののコマンドが非常に簡単な上に隙も少ないので、最高に使える超必殺技だ。
ビリー・カーン
出身:イギリス
格闘スタイル:棒術
三闘士の一人目として、前作に引き続き登場のビリー・カーン。モデルは初代タイガーマスクのライバルとして名を馳せ、WWE、全日本でもトップクラスとして活躍した元世界的名プロレスラー"爆弾小僧"ダイナマイト・キッドだ。「ビリー」と言う名もかの「ビリー・ライレー・ジム(蛇の穴)」から取られたものであろう。
棒による攻撃は隙がなく、こちらから攻めていくとことごとく返されてしまうので、避け攻撃で倒してライン飛ばしをしていこう。
アクセル・ホーク
出身:アメリカ
格闘スタイル:ボクシング
モデルは一度引退しながらも、復帰し史上最年長のWBA、WBC世界ヘビー級王者に輝いたジョージ・フォアマン。当時はゲーム中のボクサーのモデルと言えばまずタイソンであったが、あまりにもあちこちのゲームでモデルにされすぎていたため、あえて開発者はフォアマンをモデルにしたという経緯がある。
奴もこちらからは迂闊に責められないので、攻撃の隙をついてライン飛ばしを決めていく。
ローレンス・ブラッド
出身:スペイン
格闘スタイル:我流マタドール殺法
キャラによっては最強の敵となっているのがローレンスだ。ただでさえ通常攻撃が強力なのに加え、持っているマントはこちらの攻撃を無効にしてしまい、さらにゲージが点滅すると隠し持ったサーベルで突いてくるという、実に強い設定がなされている。
どのキャラでも苦戦を強いられるが、テリーとアンディはほぼ完璧なパターンがあるので、この辺りはさすがに主人公の面目躍如と言ったところだ。
ヴォルフガング・クラウザー
出身:ドイツ
格闘スタイル:総合格闘術
大作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトと、"プロレスの神様"カール・ゴッチの初来日当時のリングネームであるカール・クラウザーから名前が付けられた、餓狼伝説2における最終ボス。
さすがに通常技、必殺技共に強力だが、このステージはラインがあるためパターンさえ覚えれば比較的楽に倒せるだろう。
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個人的な思い出 |
餓狼2の発売時点では私はまだ前作はプレイしていませんでしたので、この餓狼2もすぐにはプレイすることはありませんでした。
しかし93年1月に神田のマルゲ屋に行った時に餓狼2の対戦大会をやっており、せっかくだからと思った私はしばらくギャラリーとなり対戦を見ていきました。
当然餓狼2のことはほとんど知りませんでしたので、超必殺技を出してギャラリーが沸いているのを見ても何で沸いているのかすらわからない私でしたが、とりあえず餓狼2への興味は出てきましたので、それからテリーでプレイするようになっていきました。
そこそこプレイはしていったのですが、ゲーメストの記事はほとんど読んでいなかったためライン投げはもちろん基本的な攻略法も知りませんでしたので、舞あたりまでしか進めずすぐにやめてしまいました。
秋になり、餓狼伝説SPECIALが発売されると今度はすぐにプレイしていったのですが、それがきっかけとなって餓狼2も再びプレイするようになっていきました。
ライン移動やライン飛ばし、超必殺技やそして連続技が存在しないという餓狼2独特の面白さに遅蒔きながら気付き、餓狼2の虜になっていったものですが、やはりCPU戦の難易度の高さに嫌気がさすこともありました。
テリーでプレイする場合、後半のアクセルやローレンスはバーンナックルを駆使していく必要があるのですが、ご存知のよう餓狼2は必殺技が出辛いので、なかなかうまいタイミングで出てくれない場合が多く、この2人にはかなり苦戦させられたものです。
結局アクセルはライン飛ばし、ローレンスには弱パンチでブラッディスピンを出させライジングタックルで撃墜するというパターンで最後まで行けましたが、この2人にてこずったおかげでクリアは餓狼SPのクリアよりも後になってしまいました。
それから8年後、中古でネオジオROM本体を購入した私は、餓狼2もすぐに購入したのですが、この時の値段が何と50円!
家庭用ネオジオ用の餓狼2のROMは当時28000円もしたのに、8年経ってゲーセンでの1プレイ分で購入出来るようになるとは思いもよりませんでしたが、嬉しいと思いつつも実に複雑な気持ちになったものです。
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