ヘクター'87

ハドソン 1987年7月16日発売

5000円 1M 256K

縦・横交互スクロールシューティング

8方向移動 Aボタン クラスター爆弾
   Bボタン 光分子砲

キャラバンソフト第3弾
コロコロコミックとハドソンは'85〜'86年と2年連続で全国キャラバン大会を成功させ、3年目となる'87年も誰もが開催されるものだと思っていた。

しかし、この年はビックリマンシールが子供たちの間で大流行し、そのあおりをモロに受けたファミコン業界は下火を迎えたため、前年の盛り上がりと比べて明らかにキャラバンへの期待は下がっていた。

さらにスターフォースとスターソルジャーは、ソフト発売前からコロコロコミックが大プッシュしており、ソフト発売自体もキャラバン開始の1ヶ月前だったが、この'87年は4、5月になっても一向に第3回目の使用ソフトは発表されず、ファミコンの主流がRPGに取って変わられつつあったことも加え、ひょっとして'87年はキャラバンは行われないのではと思った人も多かっただろう。


それでもキャラバン開始1ヶ月前にようやく第3回目の使用ソフトであるヘクター'87が発表されたのだが、ソフト発売日が何とキャラバン開始の約1週間前。

キャラバンも第3回目を迎えて定着した感があったため、前年までの大プッシュはなくてもそれなりに成功するだろう、と思ったのかも知れないが、そこまで遅れてはコロコロコミックの攻略も間に合わず、もちろんユーザーも満足にやり込むことは出来ないので、ユーザー側からしたら受難のキャラバンとしか言い様がなかった。

それでも夏休みにを迎えると無事「'87年全国ツインファミコン大会 ザ・グレートキャラバン」と銘打った第3回目のキャラバンが開始された。


ジョイカードMK-II
前2作のキャラバンソフトは、とにかく連射命、という爽快感バリバリなゲームだったが、このヘクター'87は完全に趣が異なっており、当時のアーケードゲームの影響を強く受けたゲームとなっている。

そのため連射だけでは到底進むことが出来ず、しっかりやり込んで敵の出現位置やアルゴリズムを頭を叩き込んでおかなければならないのだが、アーケードゲームでは当たり前のことでも、低年齢層のファミコンユーザーには敷居があまりにも高すぎた。

それに加えてやたらと固い敵が多く、連射装置がないとゲームにならないため、ヘクター'87を購入した人はジョイカードMK-IIも御一緒にどうぞ、というハドソンの魂胆が見え見えというのも嫌な感じがした。



私は最初は意地になってハドソンジョイスティックを使用していたのだが、さすがにすぐに限界を感じ、ジョイカードMK-IIを購入し、結局計7500円も使う羽目となった。

ジョイカード自体は他のゲームにも使えるし、本体自体も付属のコントローラーよりも少し大きくて使いやすいので別に損はしなかったが、やはり別売りの周辺機器が必須というゲームはちょっと汚いと思ったものだ。


ゲーム内容
このゲームの面構成の特徴と言えば、やはり奇数面が縦、偶数面が横という縦横交互スクロールということだ。

これは明らかに沙羅曼蛇のパクリな訳だが、当時のファミコンユーザーにはアーケードゲームなど知る訳もなかったため、沙羅曼蛇がファミコンで発売された際には、当然沙羅曼蛇がヘクター'87をパクっていると思う人が多くなるだろうから、冒険島の件もあったようにこの辺りがハドソンがアーケードゲーマーから嫌われた要因だったと思う。

さらに難易度がやけに高く、特に横スクロール面では平気で背後から敵が出現して来るので、何度も何度もやり込んで覚えていかなければならないのだが、死ぬ度に面の最初からやり直しとなるので、あんまり死んでばっかりいるとストレスが非常に溜まる。


自機がライフ制であるということが救いだが、ゲージは長いくせに1発ダメージを喰らうとかなり減るし、横スクロール面では回復カプセルを出す場所では、お決まりのように背後から敵が出てきたりするため、回復しても結局回復前よりも減ってしまった、なんてこともザラなのだ。

キャラバンの5分モードでは2面はカットされるため、当時本編よりも中心にプレイしていたキャラバンモードではそういった思いをすることはないのだが、それでは横スクロール面の存在は何なんだ、ということになってしまう。

以上のように問題点がかなり多く見受けられたヘクター'87はユーザーの評判も悪く、その後ハドソンはファミコンでシューティングをリリースすることはなくなり、ファミコンのシューティング市場自体も完全に冷えきってしまった。

ハドソンもさすがにこれは失敗だと思ったのか、翌年以降のキャラバンはPCエンジンのパワーリーグになったものの、さすがに野球ゲームでは盛り上がりに欠けることになりこれも失敗、翌年からは再びシューティングが使用されることになった。


面紹介
上記で解説しているように、このヘクター'87は奇数面が縦スクロール、偶数面が横横スクロール、と言ったように、沙羅曼蛇の全く逆のスクロールパターンで、全6面で構成されています。

そしてそれらの面は、ステージではなくヒストリーと名づけられているように、世界中の有名な伝説的都市をモチーフに作られている。


HISTORY1

ヒストリー1は南米のペルーにあったと言われる、インカ帝国を元に作られている。

最初の面とはいえ敵の攻撃はかなり激しいので、気を付けよう。








HISTORY2

ヒストリー2は、アメリカにあったと言われるマヤ帝国だ。

横スクロールは、最初は外から始まり、途中から内部へ入っていくのだが、出来るだけダメージを食らわないようにして内部へと入っていくようにしよう。








HISTORY3


名作「のび太の海底鬼岩城」でお馴染みの、アトランティス大陸が舞台。

画面中を跳ね返る敵に気を付けよう。








HISTORY4


前半の背景を見ればわかるように、エジプトが舞台だ。

横スクロールのBGMは、全て同じである。








HISTORY5


アトランティスと同じく、これまた「のび太の海底鬼岩城」でお馴染みのムー大陸だ。








HISTORY6


最後は我らが日本にあったと言われる、邪馬台国が舞台だ。

さすがに最終面だけあってかなり難易度が高いので、何度もプレイして敵の出現位置を覚えていく必要があるだろう。

最終ボスのヘクターは、正面で戦うとかなり厳しいので、奴の頭付近で下から来る弾を左右によけつつ、クラスター爆弾で奴のバリアを破壊していく。

バリアを破ったら、奴の弱点んは目なので、攻撃の隙を狙い、クラスター爆弾をうまく目に当てていこう。








ENDING

エンディングは祝福のメッセージの後にスタッフロールが流れるのだが、最初のメッセージがやけに長いので、かったるい。

エンディングが終わると、タイトル画面のHECTORの文字が黄色に変わり、自機がボンバーキングに変化し、敵弾がとても速くなった2周目が始まる。





私の思い出
私は小学生の時は、コロコロコミックの掌の上でいいように踊らされていましたので、もちろんこのヘクター'87も発売日にすぐに購入しました。

しかし、購入したはいいものの前2作とはガラリと趣が異なっているこのヘクター'87では、全く思うように進むことが出来ず、何とか6面までは進めるようにはなっても、6面の難易度が異常に高いおかげで、最終ボスのヘクターの面を拝むことはなかなか出来ませんでした。

それでも一度だけ友人の家でヘクターまで行ったのですが、下から突き上げてくる弾に瞬殺され、結局私にはエンディングを迎えることは出来なかったのです。




当時一緒に遊んでいた友人たちもヘクターをプレイしていたのですが、彼らもクリアすることは出来なかったので、それほどこのヘクターの難易度は高かった、という訳ですね。

そして2年後に売ってしまい、8年後にSFCでキャラバンシューティングコレクションを購入した時に久々にプレイすることが出来たのですが、当時ゲームといえばファイプロしかしていなかった私では思うように進めず、そのソフトも2ヶ月ほどで売ってしまいましたので、ヘクター'87からは再び縁が遠くなってしまったのです。

そして最近たまたまヘクター'87を見つけて購入し、6年ぶりにプレイしたのですが、今プレイしていみたらかなり楽しめたのです。

当時はやたらと難しく感じたゲームでも、今ではシューティングの腕前が当時とは比較にならないぐらいに上がっている訳ですから、今の私にはほどよい難易度なんですよね。



それで実に発売15年目にしてやっとヘクターを倒してクリアすることが出来たのですが、今の私でさえ3、6面で苦労しましたので、やはり小学生中心のファミコンゲームとしては難しすぎかな、と改めて思いました。


ゲーム成績表
キャラクタ 音楽 操作性 熱中度 お買得度 オリジナリティ 総合
3.19 3.30 3.30 3.33 2.93 2.79 18.84


FAMILY COMPUTER


inserted by FC2 system