斑鳩
-IKARUGA-

DC トレジャー 2002年9月5日発売

5800円 GD-ROM

15KHzRGB出力:画質2

縦スクロールシューティング

アーケードスティック・ビジュアルメモリ対応

十字キー 自機移動

ボタン1 ショット
ボタン2 属性変更
ボタン3 力の解放
(ボタン配置は任意設定可能)



教訓
2001年末に発売されたアーケードゲーム「斑鳩」のDC移植版。

元々のアーケード版がNAOMI基板だったので、もちろん移植は完璧であり、画面モードも大小2種類の横画面に縦置きモードも用意されているので、アーケード版のファンも必ずや満足のいく出来となっている。肝心要の操作系も当時はアダプタ類が充実し、私自身もスティック改造を紹介した頃なので、ほとんど不便はなかった。

すでにDC発売中止から1年半が過ぎていたが、シルバーガンの教訓からかトレジャーファンはこぞって購入したためDCシューティングとしては脅威の3万本近いセールスを記録した。




高解像度
アーケード版は非常に緻密にキャラや背景が書き込まれていたため、果たして横画面時にまともにプレイ出来るのか、と言う不安が誰しもあっただろう。同じ縦シューのガンバード2は縦置きでないと無理だったし、同年3月に発売されたPS2版「サイヴァリア」も画面がボケボケだったので、特にこれらの作品をプレイした人は余計に不安に感じた事だろう。

しかしこのDC版「斑鳩」を見た瞬間、あまりの画面の美しさに誰もがそれが杞憂であった事を理解する。確かに文字こそ読み辛いものがあったが、高解像度モードを使用して表示される画面は非常に鮮明で美しく、横画面でも何の違和感も感じられなかった。PS2ほどの高解像度は持たないのが功を奏したのだろうが私もここまでDCの能力が高かったとは知らなかったので、これ1作でDCに対する認識が一変したものだ。




ゲーム紹介
オリジナルのアーケード版「斑鳩」は、前述の通り2001年の12月にトレジャーから発売されたゲームだ。ただ発表自体はかなり早く、すでに前年の春にアルカディア誌上によって行われていたため、アーケードでは異例中の異例とも言える早さであったが、それだけでもいかにシルバーガンに続く作品、井内氏のシューティング、への期待の大きさが伺える。

基本的な内容は公式サイトにまだ公開されているので大抵の方はご存知だと思うが、「弾を避ける」事が大前提であったシューティングにおいて「自ら当たりに行く」と言う逆転の発想を取り入れたのは、さすが井内氏、ただのシューティングは作らないな、とゲーマーを唸らせたものだ。



もちろんシルバーガンの魅力のひとつである「コンボボーナス」も用意されているが、今回は黒白のみであり、同じ色を3回ずつ連続で決めていけばボーナスになるため、見た目シンプルになっている。これは井内氏いわく、シルバーガンでは敵を撃たずに進んで行く場面が多すぎる事からの反省のようであり、今作では満遍なく敵を倒せるようにしたかったと言う。

よって前作よりかは大分とっつきやすくはなったのだが、その分敵機の攻撃が並の縦シュー並に速くなり攻撃自体も一段と厳しさを増したため、難易度はかなり高くなっている。しかし難しくもパターンを構築していく過程の面白さは尋常ではなく、シルバーガン同様一度プレイしたら止められない魅力があった。

井内氏作曲のBGMはFM音源的な音色で統一され、独特な世界観を醸し出しておりこちらも評価が高かった。


芸術性
前作シルバーガンでは絶対にスコアを稼いでいく必要があったが、今作では一切のパワーアップ等はないためクリアするだけであればスコアを稼ぐ必要は一切ない。しかし単に敵を倒していくだけでは斑鳩の面白さは100分の1も味わっているとは言えず、やはり真の魅力を味わうためにはスコア稼ぎは必須だ。

しかしクリアに関係がなくなった分、チェーンコンボの難しさは前作を遥かに上回り一筋縄ではいかない。しかしそれだけにパターンを進化させればさせるほど芸術性が高まっていくため、構築している時の熱中度は尋常ではないものがあった。これこそ斑鳩ならではの魅力であり、一度ハマればとにかく斑鳩がプレイしたくなる気持ちが消えなくなり、誰もが時の流れを忘れてしまうほど熱中してしまうのだ。


単に自機を攻撃してくると言う役割しかない敵機と敵弾が、このゲームではプレイヤーに芸術性を与えるための存在へと位置付けされているのだから、考えに考えて敵機を配置していった緻密さには本当に恐れ入る。


理想をつらぬけ
あまりにも斬新なシステムと世界観がスタッフの心を打ったか、アルカディアにおいても発売直前から大特集が組まれていき、全面の攻略が巻頭カラーにおいて行われるという超VIP待遇の扱いであった。しかしそんなプッシュとは裏腹にインカムは伸びず、ランクインも初回のみで終わった。

よって最終的には利益が絶対の世界である以上、セールスと言う観点から見れば明らかな失敗作に終わった訳だが、当時はすでに縦シューそのもののブーム所かゲーセン産業自体も右下がりだったため、ある程度は予想出来た事であった。

そんな逆境の中でもこれほどまでに己の理想を追求する集団は珍しいの一語に尽きるが、こういう姿勢が一部の熱狂的信者を生み出す元となるのだろう。

縦シューならもっと爽快感を味わえるようにすれば売れる事はわかっているのに、そうする事で自身の信念を曲げる事はよしとせず、逆に「爽快感を味わいたいのなら他のゲームをプレイすれば良い」と言い放つ心意気。

手堅くフォークを投げれば楽に三振は取れる。でも例え本塁打を打たれようとも、相手の得意なコースにストレートを投げて打ち取りたい。人は馬鹿にするかも知れないが、世の中には少しはそんな連中が居てもいいだろう。

ただコストはかなり抑えられたようであり、実質の製作は3人だけだったと言う。




個人的な思い出
2001年の秋頃、シューティング系の掲示板でやたらと「斑鳩」と言う単語が書き込まれており、相当な期待作であると言う事を理解出来ましたので、記事目当てに久々にアルカディアも買いチェックするなど、それなりに情報は仕入れていました。

実際にプレイしたのは翌年の1月ぐらいだったと思うのですが、それほどの面白みは感じず、さらに1,2面はクリア出来ても3面の冒頭がのようにしたら抜けられるのか見当も付きませんでしたので、それ以上プレイしようとは思いませんでした。

しばらくして公式において1,2面のムービーが公開された事をきっかけとし、再び各掲示板において盛り上がりを見せ、そのムービーの見事さに圧倒された私も早速プレイしに行った所、ようやく斑鳩の本当の魅力に気付く事が出来ました。

しかしさすがにもうゲーセンへ行ってまでゲームをやり込むほどの気持ちは生まれず、とりあえず出るであろう家庭用発売まで待つ事になりました。

DC版発表時には三度盛り上がりを見せ、私も発売日にヨドバシカメラで購入したものですが、1週間に20時間もプレイしながらもさっぱり上手くいかず、4面の難易度には完全にお手上げ状態でしたのでほぼその時点で終わりました。

やり込めばやり込むほど上達するとは言われてますが、当時は前年に比べ気持ちが落ちており、それ以上やり込もうとはとても思いませんでしたので、ちょっと中途半端な終わり方になってしまいました。しかし久々にプレイしてみるとやはり夢中になってしまうので、本当にこの斑鳩と言うゲームの魅力は計り知れないものがあります。


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