PARODIUS TITLE パロディウスだ!
−神話からお笑いへ−

コナミ 1990年4月25日発売

横画面 横スクロールシューティング

8方向レバー 自機の8方向移動

  ボタン1:パワーアップ
ボタン2:ショット
      ボタン3:ミサイル ベルパワー


お笑いシューティング
グラディウスIIIが発売されてまだ間もない1990年4月、グラディウスシリーズの第6作目として発売されたのが、この「パロディウスだ!」だ。元々パロディウスというゲームは、MSXオリジナルの作品として1987年に発売されているのだが、このアーケード版はMSXの移植という形ではなく、完全にアーケードのオリジナル作品となっている。

システムはほぼグラディウスシリーズの伝統を踏襲したものになっているが、家庭用のスタッフが関わっているせいか、ショットとミサイルが兼用になっておりパワーアップを勝手にしてくれ、ボタンをひとつしか使わなくてすむオートモードや、グラディウスシリーズでは初めてコンティニューが導入されるなど、多分に一般人を意識した作りがなされていた。


もちろんゲーマーたちの間でも大きな支持を受け、最終的には'90年度のベストシューティング賞を受賞するほどのヒット作となった。


4人のキャラクター
プレイヤーはグラディウスIIと同様、最初に機体を4つの中から選ぶようになっているのだが、グラディウスのように装備のみが違うだけというのではなく、装備が変わればキャラクターも変わるようになっている。

その4つの機体というのは、グラディウスの主役ビックバイパー、Mr.パロディウスことこのゲームの主役であるタコ、アーケードでは久々のツインビー、そしてアーケードでは初登場となるペン太郎の4人だ。このうち最も有利と言われていたのがツインビーなのだが、前半面では圧倒的な強さを見せるのに対し、後半面はやや辛い部分が見られる部分があるため、総合的な使いやすさではグラIIの4番装備を装備しているタコであろう。


ビックバイパーは基本装備となるダブルの威力が弱く、ミサイルの連射が効かないなど、前述の2人より辛い部分が多かったが、6面や10面ではレーザーがかなりの強さを発揮するため、後半まで行けば他のキャラよりも楽な場面が多かった。

そして最後に残ったペン太郎だが、スプレッドガンは使う必然性がなく、オプションも分身で使いづらいおかげで、このキャラだけは突出してクリアに最も遠いキャラとなっていた。

因みに「4人」という言い方をするのは、4機体とも全て生き物だからである。




パロディウス独自の要素
このパロディウスでもパワーアップはグラディウス同様、カプセルを取りながらパワーアップしていくのだが、通常のカプセルの他に、ある特定の場所にのみ存在するルーレットカプセルというカプセルもあった。

このカプセルはその名が示すように、取ったらゲージが凄い勢いで回転し始めるというもので、うまく目押しをすれば好きなパワーアップを一回で取ることが出来る。

それはいいのだが、実際のところルーレットのある場所というのは、フル装備で通過することがほとんどなため、フル装備の状態ではこれほど厄介なものはない。


また6個に1回の割合で、カプセルの代わりにツインビーでお馴染みのベルが出現するというのも、このパロディウスだ!では重要な要素のひとつだ。

ベルは通常は黄色だが、5発撃ち込むごとに青、白、緑、赤の順に色が変化する。詳しいことは攻略のページで触れるが、白以外のベルならばどれを取ってもプレイヤーの大きな助けとなってくれるだろう。







最大の特徴・難易度の変化
PARODIUS.8stそしてパロディウスだ!を語る上で絶対に欠かすことの出来ないことと言えば、やはり装備やノーミス時の時間などによって大きく変化する難易度に尽きるだろう。

それまでのグラディウスシリーズのように、普通に2速でバリア張りまくりで進んでいくと、6面辺りから撃ち返し弾が発生するほどに難易度が上昇してしまうため、1周クリアを目指すのは非常に困難となってしまう。

そのため、一見すると非常に難しいゲームと思えてしまうのだが、死ぬと今度は逆にランクが大幅に落ちるため、手堅く1周を目指すためには、スピードを抑え、さらに中盤でわざと残機を潰していくという攻略法が開発された。
      
このような難易度のシステムは、最近のゲームしか知らない人たちにとっては、何でもない、と思うだろうが、このゲームの発売当時はちょっとした事件とも言えるほどの出来事だった。

というのも、本来パワーアップ型のシューティングというのは、とにかくノーミスで進むことが大前提として作られており、「死んだら、それまで」というのがシューティングの絶対的要素として存在していたからだ。

そんな中このパロディウスだ!では、楽に1周を目指すためにはわざと装備をケチり、なおかつ中盤でわざと残機を潰すという、それまでのシューティングとは全く逆の攻略法を使わなければならなかったのだから、当時のゲーマーが苦戦していたのは当然と言えた。

それでは、何故このパロディウスだ!ではそれまでのグラディウスシリーズの伝統を破り、このような難易度を導入したかという疑問が浮かんでくるのだが、これはやはり当時のゲームセンター事情が大きく関係していると思われる。

このゲームの発売前年である89年という年は、テトリスやUFOキャッチャーなどの影響でそれまでゲーセンとは無縁だったサラリーマンやOLたちがゲームセンターに足を運ぶようになり、ゲームセンターの客層に変化が生じた年だった。





そこでセガやナムコなどの大手メーカーは、それまでのゲーマー向けのゲーム作りをやめ、学生たちよりお金を持っており、それでいてプレイ時間も短い一般層をターゲットとした、ゲーム作りやロケーション作りを始めていった。

当然アーケードの大手メーカーのひとつであるコナミも、そういった方針は考えたのだろうが、その手のゲームを作っても一般向けのゲームはやはり直営メーカーのゲームの入荷が優先されるため、直営のロケーションを持っていないコナミは一般向けのゲームをリリースするには難しい環境にあり、そう簡単に発売することは出来ないのだ。



さらに当時のコナミは、ゲーメストやファミマガの読者と一緒になってゲーム作りをしていく企画なども行っており、非常にゲーマー寄りの姿勢をとっていたこともあって、なおさら一般向けのゲームをリリースする訳にはいかなかった。その結果、何とかゲーマーと一般人との両方に受け入れられるゲームは出来ないか、と考えて行き着いた先が、コナミの看板シリーズであるグラディウスのパロディ化だったのだろう。

もちろんゲーマーと一般人の両方をターゲットにする以上、そのどちらにも楽しんでもらえるようなシステムにしなければならないため、上記で触れたようにゲーマーには厳しく、お金を注ぎ込んでくれる一般人には優しいという難易度設定が誕生するに至ったのである。

当時のシューティングゲームは難易度の高騰が著しく、ゲーマーと一般人の両方に受け入れられるゲーム作りなど不可能ではないか、と思われていただけに、このパロディウスが業界に与えた影響は大きかった。


個人的な思い出
私がアーケードゲーマーになった頃は、このゲームはまだまだどこのゲーセンでも見かけることが出来たのですが、やはりゲーマーになりたての頃はグラディウスシリーズをプレイすることがゲーセンでの至上の目的だっただけに、このゲームをプレイするよりもまずはグラディウス、という感じで、パロのことはそれほど頭にはありませんでした。

しかし、当時はすでにグラディウスシリーズが発売されてかなりの時が経っていただけに、あれよあれよという間にゲーセンから消えていき、半年も経った頃には当時よく行っていたゲーセンからはほぼ全て消えていってしまいました。



リアルタイムで体験出来なかったグラディウスシリーズをどうしてもゲーセンでプレイしたい、でもすでにゲーセンには置いてないという、どうにもならない状況の中で、私が辿り着いたところは、グラディウスの流れを組むパロディウスだ!をプレイする、ということでした。

そんな訳で、言い方は悪いですが、私がパロをやり込んだきっかけというのは、好きだから、という訳ではなく、グラディウスをプレイしたいけど出来ないから仕方なくパロでその欲求を解消する、という程度のものだったのです。


1周への壁
私がこのゲームをやり込んでいた頃というのは、まだまだゲーマーになりたての頃だけあって、最初は苦戦続きで、当時は6面が私の前にとても大きな壁となって立ち塞り続けました。

何故6面が壁になっていたか?というと、それは単に5面ボスのよしおをよけるために2速にしてしまい、6面から急激に難易度を上昇させてしまっていたからです。

パロディウスの難易度上昇の法則を知っていれば、そんな無茶なことをせずに済んだとは思いますし、その後の面を楽に進めることが出来たのですが、当時の私はそんなこと知る由もなかったため、まんまと5面ボスの罠にはまっていきました。


ザ・ベストゲームにはしっかりと難易度に関しての記述はあったのでここで残機潰しをしていてもおかしくはなかったのですが、「死ぬとランクが落ちる」ということを「死ぬと装備が全て失われるから、一時的に難易度が落ちる」というように受け止めてしまったため、残機潰しそのものが難易度に直接関係しているとは全く思い付かず、結局残機潰しをするということはありませんでした。

それでも8面までは行けるようにはなり、これなら1周ももうすぐだろうとは思い始めてはいたのですが、いざ10面までは行けても初のアーケードゲーム1コイン1周という、それまで経験したことのない緊張感とプレッシャーに押し潰されてしまい、結局ゲーマー時代にこのゲームを1コイン1周することはとうとうかないませんでした。


当時のハイスコアラーの桧舞台とも言えた、今はなき町田のプレイタウンYOU&YOUと、アルカディア'02年4月号で掲載されたバッティングセンター共営のゲームセンターで1回ずつノーミス10面は達成したことはあるのですが、2回とも中盤の後方からダッカー、前方からジャンパーが出現する辺りで力尽きてしまいました。

特にYOU&YOUでは100円1コイン2クレジットだったのですが、ゲームオーバーになった後もう1度最初からプレイするのは面倒だと思い、当時滅多にやらなかった継続をやったのですが、その継続の1機目で復活し1周してしまったという惜しさでした。以降はパロ自体を見かけなくなったのと、ストIIダッシュのおかげで縁遠くなってしまい、92年は1プレイ、93年は2プレイやっただけで、以降ゲーマーを止めるまでの間パロディウスをプレイすることはとうとうありませんでした。

因みにこの3プレイの内容ですが、'92年はノーミス8面、'93年の1回はノーミスで9面まで行きながら、からかさ地帯の骨の直撃に遭いゲームオーバーという、共に惜しいものでした。特に'93年は私自身かなり調子の良かった年だっただけに、これは今でも悔しい思い出のひとつです。

そして前述したように、この時のプレイがゲーマー時代の最後のプレイとなってしまったのです。


8年越しの夢達成
翌年正式な続編である極上パロディウスが発売されると、私は発売から3ヶ月ほど経った頃からやり込み始めていったのですが、こちらは皮肉なことに1周はやり込み始めてから1週間ほど、スペシャルステージクリアはそれから2週間後ほどで達成してしまい、初代よりもずっとあとに発売された続編の方を先にクリアしてしまったのです。

それから1ヶ月ほどで私はゲーメストの読者を辞め、ゲーセンからは足を遠ざけるようになり、もちろんパロディウスをプレイすることもなくなってしまいました。





しかし、ゲーマーを辞めた後でもパロディウスを1周していないことがどうしても心残りとなっており、いつかは達成したいとは思っていたのですが、さすがに発売からかなりの月日が経ってしまっていたので、そうゲーセンで見かけることも出来ず、プレイしたくても出来ない日々が続いていきました。

'95年にゲーマー時代の行き着けのゲーセンに設置されていたのを見た私は早速プレイしたのですが、当時はまだPS,SSの購入前で、ゲームといえばSFCのファイプロ程度しかプレイしてなかった私ではさすがに腕が鈍っており、あっさりとゲームオーバーとなってしまいました。



翌年前述の両機種を購入し、久々にちゃんとゲームをプレイするようになったため、少しは腕が回復したのですが、相変わらずグラディウスシリーズはゲーセンでは見かけなかったため、その腕を試す機会には恵まれませんでした。

そして時は流れて1999年7月、かつて私がグラディウスIIIと出会ったゲーセンにパロディウスが設置されているのを見た私は、これが最後のチャンスだと思った私は何度失敗しても1周を目指すことを誓いコインを投入していきました。アーケード版が出来ない日々が続いても、PS,SS版は良くプレイしていたおかげで、4年前よりはいくらかマシに進めていけたのですが、それでもアーケード版の難易度は一筋縄ではいかないおかげで、4面辺りから残機を失い始めていき苦しい展開が続いていきました。

しかし、死にながら進んで行ったのが功を奏し、うまく難易度を抑えられながら進めたため、残機が0になりながらも最終面まで辿り着くことが出来ました。

そしてかつて私のノーミス1周クリアの野望が打ち破られた10面中盤のジャンパー地帯を初めて1コインで切り抜け、ザブ、4つのハッチからの雑魚を破壊していき、シャワラン・ビューティーの攻撃もかわしきり、とうとうタコと対面するに至りました。

残機が0だったので、慎重にタコの足と縦座標を合わし、ロケットパンチを放ち…遂に、パロディウスだ!1コイン1周クリアを達成する事が出来ました。


まあ家庭用では何度もクリアしていることもあって、それほど感動はなかったのですが、ようやく長年の心残りが解消されたので、肩の荷が降りた気持ちになれました。そんな訳で、1999年7月、初プレイから8年3ヶ月の日々が過ぎながらも、ようやく私はパロディウスだ!1周クリアの目標を達成し、そして翌年別のゲーセンでタコで1周、そのまた翌年今度はバイパーで1周と、それまで苦戦していたのがウソのように私はこのパロディウスだ!を1周出来るようになりました。

最初はグラディウスの代わりに、という失礼な理由で始めたパロですが、やり込んでいくうちにこのゲームに対する思い入れが深まって行き、最終的にはクリアまでするほど思いが強まっていったのですから、今では私にとっても忘れられないゲームのひとつとなっています。


あとがき

この作品はアーケード版のグラディウス、パロディウスシリーズ全ての中で一番最初に作成されたものです。単に1周クリアのプレイが収められたから、と言う理由なのですが、やはりシリーズ中リアルでプレイ出来た数少ない作品なので、当時の時代背景なども分かりますし、もちろん思い出も満載なためとても書きやすかったですね。

ただもちろん最初期と言う事で、当初の文章は酷いものだったため現在はかなり加筆・修正されたものになっています。画像に意味を持たせなければならないとも思ったのか、コメントが付いていたのも特徴ですね。

今作において絶対取り上げたかったテーマが、難易度についてです。今作独特の難易度は何度も紹介されてきたためすっかりお馴染みなのですが、難しいと言う事は紹介されていても、では何故そうなのか、と言うのがほとんどなかったんですよね。なのでそれに付いてはよそからの受け売り等ではなく、全て私の持論によるものです。当然その理由が正しいのかは分かりませんが、それなりに納得出来る文章は書けたという自負はありますので、個人的にも良くまとまったかな、と思っています。





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