コナミ次世代機第1弾! |
1994年という年は、3DOを筆頭に、次世代機と呼ばれたハードが年末にかけて次々と発売されたいったが、そのうちのSCEのプレイステーションの発売と同日に発売されたのが、この「極上パロディウスだ! DELUXE
PACK」だ。
この当時、プレイステーションというハードを牽引するキラータイトルとしては、、同じくハードと同日発売されたナムコの「リッジレーサー」にかかる期待が最も大きかったのだが、やはりこの「極上パロディウスだ!」もアーケードの大ヒット作だけあって、関係者の期待は大きかったと思われる。
それからほぼ半年後の1995年5月には、今度はSS版がコナミのSS参入第1弾ソフトとして発売された。
PSとSSが競い合っていた頃、コナミやカプコンの移植作は、両ハードで発売されることが多かったのだが、この「極上パロディウスだ!」がその先駆けとなったソフトと言えよう。
|
名作を2本セットで |
この「極上パロディウスだ!」は、タイトル自体はかなり早く発表されており、プレイステーションのサードパーティが発表になった時点で、すでに本体とほぼ同時期に発売されることがすでに決まっていたのだが、この時点ではまだ「極上パロディウス」のままであった。
それからハード発売近くになった頃、前作にあたる「パロディウスだ!」も収録されることが発表され、1枚で2本のゲームがプレイ出来るお得作品ということで、当時はかなりの話題となったものだが、正直なところ、私的には「何故いまさらパロディウス?」という感じが否めなかった。
というのは、その時点ですでに「パロディウスだ!」というハードはありとあらゆるハードに移植されまくっており、すでに新鮮味はなく、そのため移植する意味がどうしてもわからなかったからだ。
プレイステーションの性能をよく理解していれば、そう考えることはなかったのかもしれませんが、いかんせん私の世代というのは、アーケードの完全移植など不可能という認識が頭にインプットされているものですから、いくら次世代機と言っても、アーケードをそのまま再現するのは無理だろう、と思ってしまったため、前述したような考えを起こしてしまったのだろう。
そんな訳で、私はそんな風に思っていたのですが、実際発売されてみると、細かい所に色々粗が目に付いたとは言え、アーケードそのままのグラフィック、BGM、SEを目の当たりにしたほとんどのプレイヤーは、改めて次世代機の凄さを知ることとなり、そして'90年代前半のアーケードゲームであれば、ほぼそのままの形でPSやSSで再現出来るということを知ることとなったのだ。
このことにより、その昔は家庭用のスペック不足から、大幅にクオリティを落として移植された作品などを、改めてPSやSSで完全に移植して欲しい、というゲーマーの要望が高まり、それがきっかけとなってナムコミュージアムや、グラディウスや沙羅曼蛇のDELUXE
PACKが発売されるまでに至ったのである。
そう考えると、、移植に関しては不遇な時代を送ってきた我々のようなプレイヤーたちは、1作品でも十分セールスが見込める「極上パロディウス」という作品に、あえて「パロディウスだ!」をカップリングして発売しよう、というアイデアを思い付いた方に、多大なる感謝の気持ちを捧げる必要があるだろう。
|
PS版とSS版 |
これまで説明した通り、この「極上パロディウスだ! DELUXE PACK」というゲームは、アーケードからの移植作品としては初めてPSとSSの両機種から発売されたソフトとなった訳だが、さすがに両作品とも新ハードの第1弾ソフトというだけあって、後の移植作品と比べてかなりの粗が目立ち、またPS、SS版においての違いもかなりの点が見られた。
後発の分、SS版の方が全体的にはアーケード版に近く出来てはいるのだが、それでも「何でここが違うの?」という点が多く見られた。
そんな訳で、ここでは両機種の特徴を、私がプレイしていて気付いた点のみ解説していこう。
|
パロディウスだ!の特徴 |
両機種共通 |
処理落ちが
全くかからない |
PS、SS共に全く処理落ちがかからないというハードではないのだがさすがに「パロディウスだ!」辺りの世代のゲームでは、意図的に処理落ちのプログラムを組まないと処理落ちはかからないのだろう。後のグラディウスや沙羅曼蛇のDXパックでは処理落ちが再現されていたのだが、まだまだ新ハードの1作目時点では意図的に処理落ちをかけることは難しかったか。 |
猫面船が出ても、
やしの木が揺れない |
これはアーケード版でも注意してプレイしないと気付きにくいので、作りにいい加減さが見られるDXパック版では仕方がない?因みにSFC版ではちゃんと揺れていた。 |
1面ボスの
位置が違う |
1面ボスの海賊ペンギンの胴体が右端に隠れてしまうほど、アーケード版と比べて右寄りに出現するようになっている。 |
黄ベルの点数が
異常に高い |
プレイしていればすぐに気付くのに、SS版でも直っていないというのはどういうことか。 |
難易度の
上昇が緩い |
アーケード版では不評だった難易度の急激な上昇だが、実際になくなってみると、やはりパロディウスだ!にはあの難易度上昇がないと物足りないことがわかる。 |
モアイ戦艦の
下の隙間が広い |
よって微調整の必要は全くなく、緊張感のかけらもない。 |
7面の泡女の
出現位置が違う |
前半の回っている奴らと、後半の後ろから来る連中の上側に隙間があるため、奴らを倒さなくても進めるようになっている。 |
PS版のみ |
ラインスクロール |
7面、9面の背景のラインスクロールが無くなっている。 |
8面ボス |
ハリの色が違う。 |
2面の隠し面 |
最初のモアイ編隊を全滅させ、次の編隊は最初の1匹だけ破壊し、以降敵を1匹も破壊せずに進んでいくと、隠し面へ入ることが出来る。 |
PS、SS版システム面 |
画面サイズが違う |
PS版がアーケード版とほぼ同じ横長の画面になっているのに対し、SS版は画面の左右が狭くなっているARCADEと、左右をフル表示にするFULL
SIZEの2種類から選択出来る。プレイ感覚はPS版の方がアーケード版に近いのだが、家庭用のTVだと画面の端が切れてしまうことがあるため、個人的にはSS版の方が好みだ。 |
|
極上パロディウスの特徴 |
両機種共通 |
こいつ語 |
パワーアップ時のこいつ語がいずれも表示されない。 |
PS版のみ |
各面ボス |
"SHOOT!"の表示がされない。 |
2面 |
ラスタースクロールがない。 |
3面、7面で
処理落ちが
かかりすぎる |
意図的なことか、ハード的なことか判断し辛い箇所だが、これはプレイしていてかなり辛い部分だ。 |
7面 |
壁が剥がれたり、リカが壁を壊してもグラフィックが変化しない。手抜きと言われても仕方がない部分だ。 |
SS版のみ |
2面猫潜水艦 |
右下を抜けるときに、異常に処理落ちがかかる。 |
4面ボス |
登場時、下のハンマーが床にめりこんでいる。ハードの性能によって生まれた違いは仕方ないが、このようにそれとは全く関係ない違いをどうして作るのか、不思議で仕方がない。 |
BGM |
各面ともBGMが一瞬遅れてスタートする。これは通常面ではなんてことないのだが、スペシャル面では敵の登場とずれてしまうため、実はかなり重要な問題だったりする。 |
PS、SS版システム面 |
画面サイズ |
SS版は、PS版と同様の画面の左右が狭くなっているARCADEの他に、左右を広くしたFULLサイズも選択可能となっている。 |
スペシャルステージ |
SS版は、1度でもスペシャルステージをプレイすると、以降はタイトル画面から直接スペシャルステージを選択することが出来る。一見非常に便利なシステムに思えるのだが、難易度が最低の状態からスタートしオプション画面で難易度を8にしても低いままのため、実は全く使えない。 |
サウンドテスト |
両機種で可能だが、PS版は極パロサントラ盤収録の歌が聴ける。当時はまだCD-XA音源というものを知らず、内蔵音源でBGMを鳴らしていると思ったので、初めて聴いた時はかなり驚いたものだ |
|
パロディウス・極上パロディウス共通の特徴 |
簡易リセット |
PS版は総合タイトルへと戻る簡易リセットが不可能なため、ゲームを変える時にはいちいちハードリセットをしなければならないので非常に不便だ。 |
セーブ |
PS版はゲームオーバー後にメモリーカードにセーブでき、次回のプレイからは進んだ面まで自由に選択してプレイすることが出来る。 |
ボタン配置 |
PS版はボタン配置を任意に設定出来るが、SS版は初期設定のままで変更は出来ない。しかしSS版はボタン配置がアーケードの連射付き6ボタンコンパネと同様に上が連射、下が手動という配置がなされているため、変更出来ないからという不便さは全くない。 |
残機増やしコマンド |
PS版はタイトル画面で×を5回、□を7回、△を3回の順に押すと効果音が鳴り、そのままプレイすると残機が99機となる。 |
無敵コマンド |
PS版はプレイ中にポーズをかけ、△、△、×、×、○、□、○、□、下、左の順にコマンドを入力すると音が鳴り、自機が無敵になる。もう一度ポーズをかけ、同じコマンドを入力すると、無敵状態が解除される。 |
|
PS版かSS版か |
両機種ともアーケード版とはかなりの違いが見られるが、PS版はどうしてもPS本体の発売日に合わせなければならなかったためか、完全に完成していないのに発売してしまった、という印象が拭えないため、パロディウスというソフトにかなりの思い入れがあるのならば、迷わずSS版を選択するべきだろう。
1995年という、すでに7年前のソフトではあるものの、推定7万6604本の売り上げ(セガサターンマガジン調べ)を記録したため、今でも入手自体は難しくはない。
ただ帯の付いてくる確率はかなり低いため、それは覚悟しておいた方がいいだろう。
PS版は後にベスト化されたため、今でも新品で入手することが可能だが、内容は通常版と何ら変わっているところはない。コナミはマニュアルに、「同一製品でも発売時期によって多少の違いが生じる」と解説しているので、ベスト版になった時にはかなり改良されているのだろう、と期待したのだがその期待は見事に裏切られてしまった。
(使用している画像は、全てセガサターン版のものです。)
|
個人的な思い出 |
アーケード版の「極上パロディウス」が発売された頃、私は家庭用ゲーム雑誌ではPCエンジンFANを良く読んでいたのですが、その頃PCEの次世代機であった「PC-FX」が特集され始めており、そのライバル機とされていたPSやSSも紹介され、その時にPSのソフトの発売ラインナップを見て、私はこの「極上パロディウス DELUXE PACK」が発売されることを知りました。
まだ画面写真は発表されていませんでしたが、迷わず私はPSの購入を決め、PSの発売日を心待ちにしていたものですが、秋になってアーケードゲーマーをやめ、コーエーの三國志IIにハマり始めたことなどから段々と関心は薄れ、結局発売日を過ぎても購入はしませんでした。
しかし96年3月、「グラディウス DELUXE PACK」をきっかけに遂にPSを購入した私は、初めてのソフトとしてナイトストライカーと一緒に極パロを購入したのです。
ただ購入したのは良いのですが、正直私の世代では完全移植などありえないのが当たり前でしたから、いくら次世代機と言えどその考えは抜けず、あまり期待しないままプレイしました。
それだけにアーケード版と全く同じBGMが流れた時の衝撃というのは、本当に一言では言い表せないものがありましたね。
やり込んでいくうちに段々と粗がわかり、特にパロディウスだ!のいい加減な移植にはちょっと腹が立ったものですが、やはりアーケード版と何ら変わらない高解像度のグラフィックとBGMでプレイ出来るというのは、本当に次世代機の凄さを直に感じることが出来たものです。
それから半年後、ストZEROのロードがPSよりも速いことを知ったのをきっかけとして、SS本体を購入したのですが、その時も本体と同日に極パロを購入しました。
SS版の方が完成度が高いことはすでに知っていましたが、やはり処理落ちがかからないのは非常に快適だったし、リセットも手軽に出来ましたから以後はSS版ばかりプレイしていきました。
|
あとがき
グラディウスのDPほどではないですが、この作品も私がまず一番に製作したかったページです。やはりまだ当時は両機種の違いが知られておらず、PS版が優位に思われていたため個人的にも嫌な思いをした事がありましたので、それなら自分が製作してSS版の出来の良さを知らしめてやろう、と思ったのがきっかけです。なので公開当初はほとんどが両機種の違いで占められていました。その甲斐あってか今ではSS版の方が良い、と言うのが広まってくれましたので、私としても嬉しい限りです。
「名作を2本セットで」の項は最初はなく、PCでのリメイク時に新たに加筆したものです。これは製作前には全く頭になく、執筆時にカップリングについて少し考えたら浮かんだ文章を一気に書き上げたものなのですが、その割りにはそれなりに説得力のある文章が書けたかなと思います。ただ画像がどうしても多く収録出来ませんでしたので、無論面紹介などは出来ませんでした。よって「個人的な思い出」の2枚はSS版からの画像を利用しています。
|
|