ファイナルファイトCD

MD MEGA-CD

セガ 1993年4月2日発売 

8800円 CD−ROM

プレイヤー操作

ボタン配置は数パターンからの選択制



MEGA-CDの特性を活かして
MEGA-CDというハードは、単にMDでCD-ROMを使えるようにしたというだけのハードではなく、PCM音源やポリゴンを使用出来るハードを内部に積んでおり、MDの機能そのものをパワーアップさせる働きも果たしていた。

そしてこのファイナルファイトCDも、MEGA-CDの恩恵を大きくさずかったソフトのひとつだ。

MDである以上画面こそ地味なものの、2人同時プレイが可能ながらキャラクターの大きさや動きはアーケード版と何ら変わりはなく、さらに敵は最大4人まで出現し、設置物もほぼ同じ数設置されているなど、SFC版を遥かに超え見た目はとてもMDとは思えないほどの出来に仕上がっている。

もちろん4面の工場面も前半の炎地帯から最後のゴンドラまでしっかりと移植されており、さらにSEやボイスがアーケード版と全く同じ物を使用しているなど、当時としてはまさに衝撃的な出来だったのだ。

しかし見た目こそ似てはいるものの、プレイ感覚など見た目だけではわからない欠点が多数存在していたため、移植全体のレベルとしては低いと言わざるを得なかった。


実際にプレイしてみないと
前述のようこのMD版には多数の欠点が存在するが、まず目に付くのは何と言っても操作性の悪さだ。

アーケード版は非常に操作性が良く、慣れれば自由自在に画面中を動きまわりながら敵を倒していけたものだが、このMD版では操作感覚がやけに重いため、アーケード版のようなテンポの良さが感じられなくなってしまった。

その中でも一番辛いのがパンチでの攻撃で、いくら連射しても秒間3発程度のパンチしか出せず、アーケード版では連射装置さえあれば負けることはなかったアンドレの体当たりにも余裕で負けてしまう。


そしてパンチの振りが遅いということは、当然武器の振りにも影響が現れており、特にハガーのパイプの振りが遅すぎるのはあまりにも辛い。

また必殺技も出辛く、アーケード版のようにジャンプボタンを押しながらパンチボタンを連打しても必殺技が出ないことがある。一応Cボタンを必殺技ボタンに指定出来るものの、それでもタイミングによっては通常技が出てしまう事も多く、起き上がる時には細心の注意を払わないとあっという間にタコ殴りにされて昇天してしまうのだ。

それだけ操作性が悪いのに、難易度をEASYにしても難易度が高く、特にナイフ使いが激強いのがプレイヤーをさらに悩ませる。

またハガー特有のバグとして、ポイズン、ロキシーにバックドロップをかけると頭を落下させた時に何故か打撃でダメージを与えた時のダメージマークが表示されてワンバウンドしてしまうため、運が悪いとすぐに起き上がられて蹴りを食ってしまうなど、バックドロップ命のハガーには辛すぎるバグも存在する。

オープニングとエンディングはオリジナルのビジュアル画面が使用され、声優によるナレーションやセリフも聞けるのだが、声優の喋りがかなりイマイチで、特にナレーションの緊張感のなさとガイの間の抜けた「ジェシカァ!?」のセリフには、耳をふさぎたくなるほどの惨状だ。



移植とは関係ないオリジナルの要素で、制限時間内に何人の敵を倒せるかというタイムアタックモードもついているのだが、これも取って付けたようなおまけで評判は良くなかった。元々このゲームの発売は93年の3月26日となっており、発売直前になって何故か1週間延期となったのだが、これほど中途半端な出来ならあと1ヶ月ほど延期して十分調整するべきだったように思う。

MDのカプコンのゲームの移植は、大魔界村やストライダー飛竜など完成度の高いものが多かっただけに、このファイナルファイトCDも、もう少し移植に対する拘りを見せて欲しかったものだ。







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