出たな!! ツインビー


コナミ 1991年2月20日発売

縦画面 縦スクロールシューティング

8方向レバー 自機の8方向移動

ボタン1:対空ショット
ボタン2:対地ショット

6年ぶりの復活
この「出たな!! ツインビー」はその名の通り85年にバブルシステム第1弾として発売された「ツインビー」の続編。

同じバブルシステムのグラディウスがこの時点で6作を数えていたのに比べ、ツインビーは実に6年もの空白ののちの続編となってしまった訳だが、ツインビーは家庭用ではアーケード以上の地位を築いた事もありこちらの方でオリジナルの続編が多数発売されていたため、新鮮味と言うものはあまり感じなかった。

とは言ってもやはりコナミを代表するシューティングの続編とあっては注目を集めない訳がなく、特に前述のよう家庭用で知名度があっただけにファミコン雑誌でも大きく紹介されたため、家庭用ユーザーをアーケードに取り込む事に大きく貢献した。




しかしさすがにバブルシステム基板やファミコンと比較した場合、91年当時の基板の性能は比較にならないほど高かったため、BGMやグラフィックがやや初代のイメージとは離れたものとなっており、自機やベルパワーの要素などは初代を踏襲しているもののツインビーであってツインビーではない感じがあった。

そのせいか発売直後はそれなりの人気を集めたものの、次第に熱心なシューティングファンや2周クリアを目指すマニアしかプレイしなくなっていき、大ヒット作とまでは行かなかった。

それでも91年のゲーメスト大賞ではベストシューティング賞に輝き、ウインビー(当時はまだパステルと言う名前はなく、そのままウインビーが名前であった)もベストキャラクターのTOP10にランクインするなど、やはり当時のコナミファンやシューティングファンにとっては忘れ難い作品のひとつだ。





とっつきの悪さ
この「「出たツイ」」が大ヒットに結び付かなかった要因は色々あると思うが、その主な要因としてはやはり「パワーアップの難しさ」と「前半面がつまらない」の2つだろう。

このゲームは自機がフルパワーアップした状態でないとゲームが成り立たないため、スタート直後10秒でフルパワーアップが可能となっているのだが、余程上手い人でもない限り初プレイではここでのフルパワーアップは不可能に近く、ほとんどの場合は1面の道中でベルパワーを取っていく事となる。

パワーアップ自体の方式自体は全く変わっておらず、シリーズをプレイしてきた人であれば何の問題もないのだが、初代はとりあえずベルパワーはスピードとバリアの2個取れば十分であり、あとは地上のキャンディを取れば良かったのだが、「出たツイ」ではツイン、スピード、分身、バリアと計4つも取らなければならないため、スタート時点で取れなかった場合は後の展開が極めて難しくなってしまう。


どのパワーがどの色かと言うのも最初のうちはなかなか覚えられないし、大抵の人はロクにパワーアップも出来ないままノーマル状態でせこせこ進む事になってしまうため、これでは初心者は面白さも何も理解出来ないままやめてしまうだろう。

それらの対策としては1面は難易度が極めて低くなっているのだが、シューティングはある程度敵の攻撃に歯ごたえがないと面白みが感じられない以上、ある程度ゲームに慣れてしまうとどうしても前半面をプレイするのが面倒に感じてしまうため、それなりに上手い人でもなかなか続けてプレイしようと言う気にはならないのだ。

さらに1面をクリアしても2面は2面で同じような背景が続きこれまた面白みに欠けるし、さらにボスを倒すまでにも時間がかかり過ぎるため、前半のとっつきの悪さと展開のつまらなさがこのゲーム最大の失敗だろう。

4面以降は別のゲームのように面白くなって来るし、後半の盛り上がりも凄いものがあるため、もう少し1〜2面がテンポ良く楽しめるようになっていれば、と今更ながら思ってしまう。






VGM
いきなり欠点を挙げてしまったが、前述のよう後半の盛り上げ方は目を見張るものがあるし、ツインビーやウインビーら各キャラクターの絵もよく描かれているなど、ゲーム自体の魅力と言う点では平均点以上の位置にあり、さすがにコナミのシューティングと唸らせるものはあった。

その際たるものがVGMであり、グラディウスやナイトストライカーのようにゲーム史に残る名曲と言う所までには至らないかも知れないが、各面とも非常に高いレベルで安定しているVGMは、当時のゲーマーたちを虜にしていった。

ゲーム開幕を飾るに相応しい元気一杯のメロディから、途中リコーダー的な音色が穏やかなメロディを奏でる1面の「風の贈り物」、美しいイントロから始まり、後半力強い感じへと移行する5面「水上の行進」、シューティングのイメージとはかけ離れた美しく優しいメロディが続く6面「イーバの神殿」、そして最終7面の攻防を一気に盛り上げる「霧の向こうのパラダイス」など、この「出たツイ」はゲームをプレイしていない人までも魅了する素晴らしいVGMの宝庫なのだ。

そして苦労してエンディングに辿り着いたゲーマーを暖かく包む名曲「惑星メルに平和の戻る日」は、私の知る限り全てのゲームのエンディング曲でも、間違いなくトップクラスと言って良いほどの名曲だ。

この「出たツイ」のアルバムは単独アルバムとして発売され、ゲーメストの直営店「マルゲ屋」では品切れ状態が続くほどの大ヒットを記録し、年末のゲーメスト大賞でも3位に入賞を果たした。

このオリジナルアルバムの出来が素晴らしいのはもちろんだが、後発売されたミディパワー収録のX68Kバージョンも素晴らしく、こちらのアルバムも手元に置いておきたいものだ。








地獄の2周目
1周目は頑張れば何とかなる、程度の難易度であり、当時のシューティングの難易度を考えたらかなり易しい部類に入ったが、やはり2周目の難易度は物凄く一般ゲーマーではとても太刀打ち出来るものではなかった。

とにかく撃ち返し弾の数が尋常ではなく、敵を倒してもその爆風からわらわらとさらに撃ち返し弾が飛んでくるというパロ以上の時間差撃ち返し弾に、全国のシューティングマニアは悩まされた。

これでは当分2周クリアは出ない、と言われていたが、意外と2周クリアは早く出現し何とゲーメスト91年7月号で達成され、集計時期を考えれば発売からわずか2ヶ月ちょっとで達成されてしまった。

さらにこのハイスコアには裏話もあり、当時の攻略担当であったじーぶー氏が大阪へ遊びに行った時に偶然達成場面に出くわす、と言う凄いエピソードも付いていた。


その攻略担当のじーぶー氏自身はなかなか2周は達成出来ず、発売から7ヶ月経った9月にようやく達成出来たという。


個人的な思い出
やはり「ツインビー」と言う知名度は家庭用では絶大なものがあったためか、割とゲーマーではなく普通のゲーム好きの方々もプレイしている人が多かったのがまず印象的でしたね。

当然私もプレイはしていきましたが、やはりいまひとつ面白みを感じる事が出来ず、ハマるなんて事はほとんどありませんでした。

しばらくしてCDや攻略が載ったゲーメストを見ていく内に、次第にこのゲームの事が好きにはなり始めていたのですが、まだまだアーケードのシューティングは1周は無理だろう、と言う先入観があったためか意地でも1周する、と言うほどの気持ちがなく、プレイにも真剣味が生まれなかったので最高でも5面までしか進めませんでした。

その頃の思い出として、発売から半年以上経ちそろそろ「出たツイ」も見かけなくなっていた頃に町田のYOU2へ行った時、珍しく「出たツイ」の3面をプレイしている方にギャラリーが多数付いていた場面に遭遇した事がありました。

まだ当時は「出たツイ」自体にもあまり関心はなく、ちょっと見ただけで100円2プレイのパロをプレイしに行き、しばらくして前述の方は隣に置いてあったワンダー3のドンプルをプレイし始めていったのですが、その時に先ほどのお方はじーぶー氏と言う事に気付きました。

ゲーメストの方、しかもザ・ベストゲームでグラディウスを担当していた方のプレイを見る事が出来るなど大変貴重な事でしたから、もっと「出たツイ」のプレイを見ておけば良かった、とちょっと後悔しましたね。

しかしそんな事があっても「出たツイ」はやり込む事はなく、いつしか過去のゲームへとなってしまいましたが、ゲーマーになった初期にはどこのゲーセンでも見かけていた事や、VGMの素晴らしさやキャラクターの魅力にも魅了されていき次第に他のゲームとは明らかに違う思い入れが沸いていきました。




そして翌年沙羅曼蛇を1周出来たのをきっかけとして、これまで中途半端なままで終わっていたゲームをクリアしよう、と決意し、本厚木のゲーセンへ行き「何度失敗しても絶対に1周クリアを目指す」と言う覚悟で「出たツイ」をプレイしていきました。

それだけ真剣にプレイしていったせいか5、6面と難なくノーミスで進み、とうとう7面まで辿り着く事ができ「これはいけるかもしれない」と私の胸は高鳴りましたが、中盤の弾を超連射する雑魚を倒す事が出来ずそこで一気にゲームオーバーとなってしまいました。

さすがにそれは応え、以後も続けてプレイするもののやはりなかなか進む事が出来ませんでしたが、途中ミスしながらも奇跡的に復活出来た5回目ほどのプレイでとうとう1周クリアを達成する事が出来ました。




とにかくクリア優先でスコア無視のプレイを貫いたので、1周時点で129万点と言うかなり低いスコアでしたが、当時は何気なくプレイしていたゲームを遂に1周出来た、と言う気持ちは何とも嬉しいものがあり、今でもアーケードゲームの1周では最も思い出深いものとして心に残っています。

またその時は2周目の2面まで進めましたが、その後1周のクリアは189万辺りまで伸びたものの、2周目1面をクリア出来た事は一度もありませんでした。

そんな思い出があったため未だにこのゲームには思い入れがあり、世間的には決して評価の高くないゲームでありながらも、私の中では今でも特別な作品として心の中に刻まれています。








あとがき

今作はDC製作時代に公開されたものですが、あまりにも酷い出来だったためPCになってからは公開を止めていましたので、現在のものは全て1から製作し直したものです。かなり前から作ろう作ろうとは思っていたのですが、なかなか1周出来ないプレイが続きましたので、ちょっと時間がかかってしまいました。文章的にはリアル世代で思い入れもあるだけに、一気に書き上げる事が出来ました。ステージは攻略ではなく紹介になっていますが、あまり需要も無いだろうし、面倒なので紹介に留めました。





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